2019年3月期第1四半期 決算説明会 質疑応答

Q1:楽器地域別1Q売上に強弱が出ているかと思いますが、年間の見通し進捗を含めもう少し詳しく説明ください

1Qの中国は対前年115%の成長となり、想定を上回りました。通期の見込みは変えていませんが、足元の成長の継続を期待しています。

北米は2017年3月の期末出荷の伸びの反動で前期1Qが軟調でしたが、今年の3月はそういうことがなく、今期の1Qは好調となりました。通期の見通しは変えていません。

欧州は、1Qで前年割れとなりましたが、一昨年の1Qが非常に好調で対前年123%という伸びでした。それに対して前年は若干下回り、今回も対前年マイナスとなりましたが、それほど悪い水準ではないと考えています。

昨年来の販売条件の変更については、この4月の段階で各ディーラーと合意が取れていますが浸透にはもう少し時間がかかるという認識です。

日本、その他の地域は想定どおりとなっています。


Q2:1Qでコストダウンが、部品の値上がり影響等あって効果がでなかったということですが今後の見通しはどうでしょうか。また、最近の米中貿易摩擦の影響について教えてください。

調達コストの上昇については、全体的に電子部品の価格が上昇しており、高止まっています。通期のコストダウンに関しては継続努力していきますが、並行して、販管費を抑制する等の対策の検討を始めています。

米中の貿易摩擦の具体的な関税影響については、米国の追加関税リストに楽器は幸い含まれておらず、音響機器製品の一部が該当していますが、影響は大きくなく、今期、1億円くらいの増と試算しています。


Q3:楽器の営業利益率が上がってきていますが、この背景と、今後2Q以降も継続していくのか見通しを教えてください。

営業利益の改善は、増収、コストダウン、価格の適正化によるところです。増収による効果は、固定費はほぼ一定ですので、増収により利益率が改善していくということです。コストダウンについては計画通りの進捗ではありませんが、価格の適正化を引き続き進めていきます。今期に関しては、デジタルピアノのエントリーモデルの新商品がこの1Qから全世界に出荷開始されていますが、モデルチェンジに際し利益率の改善を図っています。また既存製品の価格の適正化についても、中国等で継続的に行っており、楽器の利益改善につながっています。


Q4:音響機器が、為替のメリットにも関わらず利益の減り方が多いように思いますがその要因についてお答えください。

音響機器が1Q減益となったのは、複合的な要因によるものです。為替影響を除くと前年に対し8億円の減益となり、その内訳は半分が粗利、半分が販管費です。販管費のうちの半分は、新規事業開発費用の負担セグメントの見直しで2億円となり、残りはPA機器を中心とした戦略投資で、要員の充実等に費用を先行して使っています。粗利に関しては、コストダウンが1Qでは全社でゼロになりましたが内訳は楽器はプラスとなり、音響機器は電子部品の値上がり影響で損益でマイナス影響となっています。また、減収による影響に加え、モデルミックスも損益が悪化している要因です。このような複合的な要因で音響機器は減益となりました。


Q5:スライド12の音響機器について、AV商品の1Q状況で挙げている減収の3つの要因についてもう少し詳しく説明ください。
また今後に与える影響についても教えてください。

減収の要因は、アメリカの量販店での失注が大半となっています。今回は失注しましたが、これは一時的なものであり、2Q以降も再度トライし受注活動を進めていきます。新旧商品の端境期影響というのは、1QにAVレシーバーの新商品を出しましたが特にアメリカで前期末に出荷した旧商品の市場在庫が滞留気味となり新商品のセルインが多少遅れているということです。AVレシーバーの需要変化というのは、市場の長期的な傾向のことで市場全体が簡易的なシステムに移行してきているということです。以上のような要因で1Qは減収となりました。


Q6:スライド17の貸借対照表で、たな卸資産が前期1Q末と比べると若干減少していますが在庫の中身について教えてください。

対前年1Qの比較で、在庫は▲8億円となっていますが、為替影響を除くと▲1億円とほぼ前年並みです。内訳は、楽器を中心とした製品は大きく対前年マイナスとなっていますが、出荷が好調なFA機器等で仕掛・原材料を多く抱えており、相殺され対前年では▲1億円となっています。


Q7:1Qの中国での楽器販売が想定よりよかったのは、外部環境によるものなのか御社の政策によるものなのかもう少し詳しくお話しください。

アコースティックピアノは、今期1Qに限ったことではなく、特に昨年あたりから我々がシェアを上げてきています。以前は現地の中小ピアノメーカーが多くあったのですがそれが淘汰され、我々を含むトップメーカーにシェアが集まってきている状況です。これは以前と比べてお客様がSNSで情報収集が可能となり、情報が正確に伝わりよりよい品質を求めるようになってきたことが関係していると思われます。ピアノの市場が大きく広がってきたというよりも我々がシェアをしっかり取れていることが一番の要因だと考えています。

またデジタルピアノやギターは前年に対し3割を超える増収となっておりアコースティックピアノ以外の楽器市場も成長してきています。デジタルピアノは我々に優位性がありますし、ギターは中国での現地生産を生かすことでアコースティックピアノ以外の楽器でも販売が伸びてきています。


Q8:今後の電子部品の調達コストを削減する取り組みについて説明ください。

以前は工場毎に調達をしていましたが、本社主導の統一したやり方で、グローバルで調達し調達コストを下げていくということに既に取り組んでおり、その効果を更に出していく計画です。また各工場でのコストダウンの取り組みと、少し遅れている工程の再配置も行っていきます。工程の再配置が遅れている原因は、現在中国市場が非常に好調で中国市場向けの増産体制に注力しているため、少し遅れています。


Q9:中国が足元好調ですが、今後の見通しと競合状況の変化についてもお話しください。

ピアノの販売好調は当分現状が継続すると考えています。ただ長期的には、日本市場のようにピアノから徐々に電子ピアノに移っていくと予想します。電子ピアノは我々のより強い領域ですので、期待が持てます。現在はアコースティックピアノにデジタルピアノが上乗せされている状況ですが、長期的には電子ピアノへの移行が起きてくると想定しています。いずれにしても楽器全体としては一定の成長が継続すると考えています。電子ピアノの競合については、中国の現地メーカーよりも日本企業との競合と考えています。

アコースティックピアノの競合については、当社を含むトップメーカーにシェアが集まってきている状況です。


Q10:楽器事業のその他の地域の足元の状況と今後の先行きについて説明いただけますか。特にインドの状況について教えてください。

インドについては、1Qで15%の強い成長で、通期も同じような見通しを変えていません。現在、現地に工場を建設しており、来年には操業開始する予定ですので、工場が稼動すると違うレベルの成長を目指すことができると期待しています。

その他の地域の懸念材料としてイランが挙げられます。経済制裁の影響によりイランについては厳しい見方をしています。また中南米も今後のマクロ経済次第では、状況が左右されるのではないかと考えています。


Q11:その他の事業について、1Qが好調でしたが、今後の見通しについて特に利益の出方のイメージについてお話しください。

1QのFA機器に関しては、出荷が非常に好調でした。昨年から受注は好調でしたが、FA業界全体で足元の受注は厳しくなってきています。そのため下期は、売上が落ちてくると従来から予想しています。もともとFA機器は上期に出荷が多く、下期に減るというパターンですが、昨年だけ例外的に下期に減少しなかったということです。

自動車用内装部品は、新規顧客の獲得で従来は国内のみだったところ、アメリカメーカー向けに出荷が進んでいます。


Q12:人民元の為替影響と2Q以降の影響について教えてください。

■人民元/円
人民元/円は、おもに中国子会社のP/L換算で為替影響が発生します。1Qの期中平均レートは、前年16.2円に対し、今期17.1円と円安になっており、約1億円の為替影響のプラスが発生しています。通期については予想を変更しておりません。前年通期16.7円に対し、今期16.7円の想定で、為替影響は軽微です。

■人民元/ドル
人民元/ドルは、おもに中国子会社の輸出入取引で為替影響が発生します。1Qの期中平均レートは、前年6.85元に対し、今期6.37元と元高になっていますが、輸出入差に対する為替影響額は、1Qでは少額です。通期については予想を変更しておりません。前年通期6.63元に対し、今期6.3元と元高の想定で、為替影響は約▲2億円の発生を想定しています。


Q13:部品の値上がりについてですが、部品・部材の価格上昇がいつのタイミングで想定から外れていったという認識でしょうか。

部品の値上がりについては、昨年度から認識していましたが、今年の期初からある程度落ち着いてくるだろうという予測をしていました。実際は、依然として高止まりし、それが継続しているという状況にあります。


Q14:欧州で1Qの楽器販売が対前年97%となっていますが、販売条件変更の影響を説明いただけますか。

欧州の1Qの状況は、想定を若干下回る程度で、それほど悪い状況ではありませんでした。販売条件変更の浸透にはある程度時間がかかるという想定をしていましたが、思った以上にかかっているのが現状です。これは我々のドイツにあるヨーロッパ本社が、広くヨーロッパ全域を包含していますので施策の浸透に時間がかかっているということです。昨年はディーラーの理解を得るのに時間がかかってしまいました。この4月には各ディーラーと合意は取れていて、現地の理解は進んでいますが、やり方が変わったので、実施の浸透に時間がかかっているという認識です。


Q15:戦略経費についてですが、期初計画では53億円のうち戦略経費と販管費で半分ずつという説明でしたが、今回の4億円について内訳と、計画に対する進捗を教えてください。

通期では53億円の販管費の増加を見込んでいます。増収に伴う変動費増のほか、20億円弱を戦略経費として見込んでおります。その他に一時的な費用増(研究開発棟建設関連や海外新工場立上げ)も織り込んでおります。2Q以降で販管費が対前年に対しプラスで出てくると考えています。


Q16:コストダウンが電子部品の値上がりで効果が消されてしまったということですが、年間での見通し影響について説明いただけますか。

調達コストダウンでは電子部品の値段が高止まりしていますが、コストダウン努力を継続していきます。もし実現できない場合は販管費抑制等で対応してきたいと考えています。営業利益550億円に向かって、それを達成するために販管費削減等様々な施策でコストダウン未達分を吸収していきます。