2013年3月期 第1四半期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 欧米、その他地域の楽器売上高の対前年伸び率を、Q1実績よりも通期で高く見込んでいますが、マクロ経済が下振れした場合、経費抑制などで利益を維持できるのでしょうか?

A1 : 5月決算発表時の見通しに比べると、通期の欧米での販売は若干(1-2%程度)下方修正していますが、昨年、商品供給の問題等での一時的なシェアダウンをしたこと等からの回復や新商品効果などを見込んでいます。市況の変化により販売が下振れした場合は、経費削減を含めた必要な対応を行います。


Q2 : 販売管理費等経費削減の余地はありますか?

A2 : 通期の販促費見通しは、対前期で増加を見込んでおり、その中には欧米および中国の販社での販促費増が含まれていますので、市場の販売状況に応じた削減の余地はあると考えています。為替の動きに対する粗利確保への対応も必要に応じ検討が可能だと考えています。


Q3 : 事業構造改革費用17億円の内訳をもう少し詳しく聞かせてください。

A3 : 要員の雇用調整に関する費用として、国内営業で10億円、半導体で7億円を見込んでいます。国内営業は小売販売会社で50名、半導体は鹿児島セミコンで70名の希望退職を募る予定です。また、国内営業の拠点閉鎖、配置転換に応じられない社員への支援制度も準備しており、全体で200名規模の要員への対応となることを想定しています。


Q4 : 半導体は今回発表の施策のみで黒字化が可能なのでしょうか?

A4 : 来期以降の半導体事業をどのように展開していくかについては、構造改革の具体的中身も含めて、詳細検討を進める必要がありますが、できるだけ早急に黒字化を達成したいと考えています。来期はプラスマイナスゼロを目指すという意気込みを持って構造改革に取り組んでいます。


Q5 : 楽器の生産部門を分社化するメリットはなんでしょうか?

A5 : 現在、国内の生産部門は、それぞれの事業部の中にある為、人材の採用・育成、処遇等を生産部門に特化した形にするのが難しい状況にあります。分社化することで、生産部門に相応しい人事制度の導入などによるコスト競争力の強化に加え、技能伝承、海外工場の指導なども進めやすくなると考えています。独自の人事制度は、2014年の分社化の時点で導入する予定で準備を進めます。


Q6 : 生産部門子会社の新しい人事制度とは、賃金の引き下げでコストを下げることが主旨なのでしょうか?

A6 : 単純な賃金の引き下げではなく、メリハリをつけた制度とする計画です。現状は、製造業としての標準的な処遇レベルに対して、乖離があると認識しています。これを一般的な水準に是正する予定です。


Q7 : 今回の、販売、生産の分社化を進めていくと、開発・生産・販売のサプライチェーンが途切れるリスクはないのでしょうか?

A7 : そうしたことがあっては、今回の事業構造改革の意味がなくなってしまうので、当然のことながら、サプライチェーンが途切れないように取り組んでいきます。新体制では事業部の傘下に子会社を置き、開発と製造の密接なリレーションを確保する計画です。


Q8 : 円高対策として実施してきた楽器の値上げの効果は?さらなる値上げの可能性はあるのでしょうか?

A8 : 欧米、アジア地域で、1月、3月、6月に順次行ってきた値上げはほぼ一段落した状況にあります。値上げにより、販売見通しを変えるような大きな影響はありませんでしたが、欧州で6月1日に実施した3%程度の値上げについては、事前に駆け込み受注があり、6月の販売に若干の反動がありました。値上げ後の価格レベルで、年末需要期まで販売を続けても、大きな影響が出るようなことは想定していません。競合相手は、楽器の種類によって異なりますが、例えば、今期期待する電子楽器は、主な競合が日本メーカーであり、為替に関しての条件は変わらず、大きなディスアドバンテージが発生することはないと考えています。
今期の楽器の値上げによる粗利の改善効果として22億円を見込んでいます。


Q9 : Q1の営業利益が前回予想の20億円から43億円になった要因をご説明ください。

A9 : 為替で+6億円、実質増収増産+4億円、実質販管費減+13億円で、対前回予想23億円の増益となりました。


Q10 : 通期の実質販管費は、対前回予想4億円の減少を見込んでいるとのことなので、Q2以降の販管費は増えていくということでしょうか?

A10 : Q1の実質販管費減には経費発生遅れの要素も含まれている為、Q2以降の販管費の増加を見込んでいます。しかしながら、市況の変化により販売の下振れがあれば、柔軟に削減も含めた対応は可能と考えています。


Q11 : 鹿児島セミコンダクタ㈱をセンサー工程中心の工場にしていくための投資をするとのことですが、需要は充分に見込めるのでしょうか?

A11 : 地磁気センサーは、現状スマートフォン市場を対象に展開しており、単価下落の影響を受けていますが、今後、スマートフォン以外の用途にも市場が広がると見込んでいます。
加速度センサー、ジャイロセンサーなど、様々な要素を加えて、さらに機能が進化していく段階で、当社の強みを生かせると考えており、今回、必要な投資を実施することにしました。


Q12 : 楽器の在庫調整のため生産調整を始めるとのことだが、今後の損益影響はどの程度あるのでしょうか?

A12 : 前回予想に対して、Q1で生産高が3億円増え、実質増収増産効果が4億円あったが、Q2は生産高が20億円減、実質減収減産による営業利益減を14億円と見込んでいます。
 対前年では、震災影響を受けた前年Q2に対しては、約2億円の生産高増、増産した前年Q3に対しては20億円の生産高減の計画で、生産調整を進め、期末に向けて在庫調整を図っていく計画です。


Q13 : 楽器のセルスルーの状況は?現地通貨ベースの今後の売上伸長率は強気ではないでしょうか?

A13 : 欧州では、値上げの影響もあり、現時点では流通在庫が多少増えており、今後のセルスルーが大変重要と認識しています。これまでディーラーへの売り込みに注力してきましたが、今後は、ディーラーの販売活動に対する支援策を強化していき、9月以降年末までの重要なシーズンでの成果だしにつなげたいと考えています。尚、景気後退の懸念される欧州ですが、 重要市場であるドイツは比較的堅調に推移すると見ています。
昨年供給が十分でなかったデジタル楽器についても、今年はシェア奪回ができると見込んでいることも理由のひとつです。


Q14 : 人員の自然減による人件費の減少はどの程度見込まれるか?

A14 : 全社で定年退職を含む自然減が年間200~250人で、15~20億円の人件費減となる見込みです。


Q15単独損益改善の目標感を聞かせてください。

A15 : 来期の構造改革効果27億円のうち、単独で17億円を見込んでおり、来期から黒字に浮上する見通しです。但し、利益水準として単なる黒字化で良いとは考えていません。ゴーイング・コンサーンを確かなものとし、しかるべき利益で、配当原資を確保する必要があります。したがって、現時点では営業損失の解消を最優先事項とするが、今後さらに単体の機能のあり方も含め、適切な利益構造・水準のあり方を検討していくつもりです。


Q16 : 半導体事業は、売上拡大によりBEP200億円を達成するという方針でしょうか?

A16 : 様々な施策で損益分岐点の引き下げに努力していくが、基本的には半導体事業としての発展に向けて、トップラインを上げていくことが重要と認識しています。


Q17 : 来期の構造改革効果27億円のセグメント別内訳を教えてください。

A17 : セグメント別の効果は、楽器15億円、半導体12億円と想定しています。


Q18 : 今回の構造改革のみでは半導体事業は黒字化しないと思われますが、施策として充分と認識しているのでしょうか?

A18 : 基本的に半導体事業の継続がベースにあり、付加価値をつけられる商品群として、センサー、アミューズメントへの資源集中を図ることにしました。残念ながらこれによって、来期あるいは2年後にすぐ利益が確実に確保できる見通しは立てられていませんが、今後さらに具体的施策を検討していくつもりです。まずはファブライト化を更に進め、事業の先行きを見通せるようにしたいと考えたのが今回の施策です。


Q19 : 構造改革の時間軸をもっと早められないのでしょうか?時間をかけている内に環境も変化してきてしまうのではないでしょうか?

A19 : 環境変化への対応の重要性は認識しており、改革のスピードを大切にしたいが、インフラ整備など具体的実施に必要な時間も踏まえた計画としています。精一杯のスピードで改革を実施する心構えを持ち続け、環境変化があれば当然ながら追加施策も検討していきます。


Q20 : 半導体事業を継続する理由をお聞かせください。

A20 : 当社の事業領域は楽器・音響を中心としているが、その市場は世の中全体から見ればニッチであり、最先端の技術革新からは少し距離のある特殊な領域と言えます。一方で、半導体分野は、技術開発、提携など最先端の世の中の動きに敏感である必要があり、事業を通じて獲得した技術や情報が楽器・音響事業に間接的に貢献していると考えています。
また、これまで当社が培ってきた技術開発力を生かせる事業であるとも言えるため今回の施策を実施することで事業の継続を確実なものにしていくつもりです。