人権
人権尊重に関する方針について
ヤマハ(株)は人権尊重を原則とする国連グローバル・コンパクトに署名するとともに、ヤマハグループの人権尊重に関する方針および行動基準を「ヤマハグループ人権方針」「コンプライアンス行動規準」に定め、全てのグループ企業に対し、人権を尊重した誠実な事業活動を行うことを求めています。取引先に対しては、「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」に人権の尊重、適正な労働慣行を確保することを定め、順守を求めています。なお、ヤマハグループ人権方針は、専門家からの助言や、全グループ企業からの意見聴取、ヤマハ(株)の経営会議での審議を経て、代表執行役社長が承認しています。
体制と取り組み
ヤマハグループは、自らの企業活動による人権への影響に責任を持って対応するために、代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ委員会の下部組織に執行役を部会長とする「人権・DE&I部会」を設置し、自らの事業活動による人権への負の影響の防止と軽減を推進しています。取締役会は、人権を含むサステナビリティについての報告を定期的に受け、取り組み状況を監督しています。
人権デューディリジェンス
自らの事業が影響を及ぼすバリューチェーン全体を視野に、ステークホルダーや有識者との対話などを通じて、国際的な人権規範や指針※に基づいて人権リスクを特定・評価し、人権侵害の是正や防止・軽減に取り組んでいます。
2023年3月期、専門家の協力のもと、当社グループ事業の業界特性や国・地域のリスクに照らして17項目を重要な人権課題として抽出しました。さらにこれらの課題に対して、人権侵害の発生可能性、発生時の影響深刻度および管理体制・予防是正措置の脆弱性を国内外の各グループ企業へのアンケートにより評価し、「調達慣行(取引先管理)の徹底」「ハラスメントと虐待」「労働安全衛生」の3項目を優先的に対応が必要な人権課題として特定しました。特定した3課題については、人権・DE&I部会にて予防・是正対応の進捗状況を定期的にモニタリングしています。
- 国連ビジネスと人権に関する指導原則、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、ILO中核的労働基準、OECD多国籍企業行動指針、国連グローバル・コンパクト10原則、GRIスタンダード、FLA行動規範、CHRB Key Industry Risk、経済人コー円卓会議(CRT)ステークホルダーエンゲージメントプログラム報告書、SASB Materiality Map、UNEP FI Human Rights Guidance Tool
ヤマハグループにおける重要な人権課題(17項目)
| 人権課題 | ステークホルダー | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| お客さま | ともに働く人々 | お取引先 | 地域・社会 | ||
| 1 | 差別の禁止と法の下の平等 | ● | ● | ● | |
| 2 | (法的)救済へのアクセス | ● | ● | ● | ● |
| 3 | 調達慣行(取引先管理)の徹底 | ● | ● | ||
| 4 | ハラスメントと虐待 | ● | ● | ||
| 5 | 女性の権利 | ● | ● | ||
| 6 | 児童労働(教育を受ける権利の尊重) | ● | |||
| 7 | 強制労働 | ● | |||
| 8 | 労働安全衛生 | ● | ● | ||
| 9 | 労働時間(休憩・休日の権利) | ● | ● | ||
| 10 | 適切な労働環境(水へのアクセスを含む) | ● | ● | ||
| 11 | 賃金(十分な生活水準を享受する権利) | ● | ● | ||
| 12 | 結社の自由・団体交渉権 | ● | ● | ||
| 13 | 研修と教育の不平等 | ● | ● | ||
| 14 | (知的)財産権 | ● | ● | ● | |
| 15 | 先住民族・地域住民の権利 | ● | |||
| 16 | 消費者利益(消費者の安全・知る権利) | ● | |||
| 17 | 消費者の個人情報管理 | ● | |||
- (注)ハイライトは、優先的に対応が必要な人権課題
優先的に対応が必要な人権課題
調達慣行(取引先管理)の徹底
調達先の選定においてCSRへの取り組み状況を確認するとともに、労働や人権、安全衛生、環境、倫理について定めた「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」の順守を調達先に要請しています。同行動基準に沿った書類調査(SAQ)や訪問による実地監査を実施し、改善すべき点について是正要請を行っています。2025年3月期には国内調達先に向けて「ビジネスと人権」テーマのセミナーを実施し、サプライチェーンにおける人権への負の影響の防止に向けた啓発を進めています。
ハラスメントと虐待
「コンプライアンス行動規準」で、人権侵害行為であるハラスメントを禁止しています。ヤマハ(株)および国内グループ企業では、ハラスメントが懲戒および公示の対象になることを就業規則に明記し、人権侵害行為に対する厳格な対応を示しています。コンプライアンス相談・通報窓口の設置・運用によりハラスメント行為の早期発見・是正・再発防止を図るとともに、ハラスメントのない職場環境づくりを進めるために、研修やセミナーなどを通じた啓発活動を積極的に行っています。管理職を対象とした研修では、パワーハラスメントをはじめ、あらゆるハラスメント行為を防ぐため、ハラスメントに関する知識や部下の指導法の習得、上司・部下間のコミュニケーション改善などを図るプログラムを導入しています。また、行動規準のより一層の浸透を図るための研修ツールの制作や月次の情報発信の強化など、従業員向けの啓発コンテンツの拡充も進めています。
労働安全衛生
ヤマハグループでは、ともに働く人々の安全と健康を経営における最重要課題の一つと位置付け、「安全と健康は全てに優先する」という基本方針のもとに、安全衛生活動を推進しています。そして、誰もが安全かつ安心して働くことができる、災害のない職場環境の実現を目指し、さまざまな施策に取り組んでいます。労働災害による従業員への負の影響を未然に防ぐため、安全に関するグループ標準ルールの整備および運用を推進するとともに、リスクアセスメントの実施や、機械・設備の安全審査などを通じて、職場の安全性向上に努めています。国内外の生産拠点においては、安全衛生に関する教育施設「安全道場」を開設し、従業員の危険に対する感受性を高めるための教育を推進しているほか、グローバルにおける安全管理レベルの一層の向上を目指し、中国、インドネシア、マレーシアの生産拠点では、主要スタッフおよび管理監督者を対象とした安全衛生専門教育を展開しています。
2025年3月末時点で、国内外にある18の生産拠点のうち、13拠点が労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO 45001の認証を取得しています。
ステークホルダー・有識者との対話
重要な人権課題の特定・評価など人権デューディリジェンスの取り組みに、ステークホルダーや有識者など外部の視点を組み入れています。CRT日本委員会のステークホルダー・エンゲージメントプログラムに2019年より参加、複数の市民団体や人権専門家によるライツホルダー視点での指摘により、企業・業界と関わりの深い人権課題の把握を行っています。また、取り組み一連を客観的に評価し、さらなる活動に結び付けることを目的として、2024年2月には外部有識者と人権・DE&I部会を中心とした当社役員メンバーとの対話の場を設けました。
相談・通報窓口の設置
ヤマハグループは、従業員(契約社員、アルバイト、派遣社員を含む)が利用できるコンプライアンス相談・通報窓口を社内外に設置し、ハラスメントなど人権問題を含む相談・通報に対応しています。窓口には多言語対応のウェブ受付フォームを整備するとともに、国内には人事部門内に性的マイノリティに関する専用窓口も設けています。これらの連絡先は通達やイントラサイトなどで繰り返し周知しています。
相談・通報窓口の運用にあたっては、通報者が不利益な取り扱いを受けることがないよう、通報者保護を定めた社内規程を整備しています。窓口への相談・通報に対しては、相談・通報者に加え、その行為者(加害者)のプライバシーも確保の上、公平かつ速やかに事実調査を実施し、問題が認められた場合は指導などの是正を行います。相談・通報者や被害者が強く秘匿を希望し事実調査が困難な場合でも、可能な限り職場環境の改善を図るなど、是正や再発防止の措置を講じています。
海外のグループ企業についても、ほぼ全てのグループ企業で社内・社外窓口設置が完了し、従業員への周知徹底を行っています。同時に通報対応のマニュアル作成・配布や窓口対応教育を実施することで、海外グループ企業における窓口機能の強化を図っています。
従業員以外のステークホルダーについては、ウェブサイトに設けた各種お問合せ窓口を通じて広くご意見・通報を承るとともに、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)が運営する対話救済プラットフォーム(ビジネスと人勧に関する指導原則に準拠)で人権侵害の苦情を受け付けています。
2025年3月期は同窓口などにサプライヤーにおける移住労働者への人権侵害の通報が3件寄せられ、事実確認および当該サプライヤーへの対応要請を進めています。
従業員の人権の尊重
公正・公平な採用・雇用
採用・雇用にあたっては、ヤマハグループDE&I方針に基づき、いかなる差別も行わず、公正な選考による多様な人々への就労機会の提供に努めています。従業員の評価・処遇については、各人の職務遂行能力や仕事の責任・成果などに基づき、公正なルールに沿って決定します。
なお、公正・公平な評価ができるよう、評価に携わる管理職層を対象とした評価者研修も実施しています。
労働者の権利の尊重
ヤマハグループは、国際条約や法令に基づき、従業員の結社の自由、組合への加入または非加入、団体交渉、平和的集会などへの参加の権利を尊重しています。従業員が差別、報復、脅迫、またはハラスメントを恐れることなく経営陣と率直な意思疎通を図れる労使対話を確保し、労働協約その他の取り決めを守っています。
適正な労働条件および社会的保障
従業員に対する給与額の設定にあたっては、各地域の最低賃金および生活賃金水準を維持することをグループ規程で定めています。また、労働時間や休日は法令で定められた基準を順守することに加えて、長時間労働・過重労働の防止に向けて総労働時間の短縮に取り組んでいます。
従業員の生活の安定に向けては、法に定められた社会保障の提供を行うとともに、仕事と生活の両立支援制度の拡充を図っています。
人権および労働に関わるコンプライアンス違反などの状況
2025年3月期のヤマハグループにおけるコンプライアンス相談・通報案件のうち、人権侵害および労働に関する法規制などの違反およびそれらに該当する重大なコンプライアンス違反はありませんでした。
強制労働・児童労働の禁止
ヤマハグループでは、「コンプライアンス行動規準」で、あらゆる形態の強制労働および就業の最低年齢に満たない児童を就労させることを禁止し、強制労働と児童労働を防止するために、社内規程に基づき定めた「グループ労働・人権規定」に以下の項目を定めています。
- 外国籍労働者の労働許可証の確認
- 強制労働を招くような手数料を労働者が負担させられていないかの確認
- 従業員に対するパスポートなどの身分証明書の引き渡し要求や使用制限の禁止
- 休憩中や就業後の自由な移動やトイレなどの基本的なアクセスの不適切な制限の禁止
- 適切な事前通達による自由退職の承認
- 年齢を確認できる有効な身分証明書の写しなどの台帳管理
- 18歳未満の若年労働者への健康と安全を危険にさらすような労働に従事させないなどの配慮
また、取引先に対しても「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」に強制労働と児童労働の禁止を定め、順守を要請し、書類調査(SAQ)や実地監査により不適切な状況が明らかになった際には改善対応を求めます。
人権教育
ヤマハグループは、一人一人が「人権」を自分ごととして捉え、企業の人権尊重責任を実践するための人権教育を進めています。国内グループ企業では「ヤマハグループ人権方針」およびバリューチェーンにおいて業務上起こり得る人権侵害と防止策について一人一人が学び、考える機会とすべく、「ヤマハ人権ガイドブック」を用いた共通のe-ラーニングを定期的に実施しています(4,737名実施/2024年3月期実績)。また、海外グループ企業に向けては、ニーズの高い英語・中国語・インドネシア語の3言語で上記ガイドブックを作成するとともに、コンプライアンス教育コンテンツの1テーマに「人権」を取り入れ、展開・教育指示を行うことで、人権に関するより一層の理解促進を図っています。
2025年3月期には、ヤマハ(株)の全従業員とその他の国内グループ企業の管理職(約4,500名)を対象としたハラスメント防止セミナーを実施しました。
ヤマハ人権ガイドブック(抜粋)
また、「労働と人権に関する規定」で、実施すべき人権教育の内容について定め、国内外のグループ企業がそれぞれ主体性をもって人権教育に取り組むことを推進、モニタリングしています。
このほか、人権尊重への意識を高めるために以下の教育・啓発を実施しています。
- イントラサイトを使った企業を取り巻く人権課題に関する情報発信やe-ラーニング
- イントラサイトを使ったクイズ形式のハラスメント防止啓発情報発信
- 業務に関連した人権テーマの研修・勉強会(購買担当者向けのCSR調達セミナー、広告担当者向けの人権侵害予防に関する勉強会)
- 広告表現における多様性への配慮について理解を深めるガイドブックの発行(日・英)
- 役員を含む全社規模セミナー