製品・サービスの安全と品質保証

品質保証

品質マネジメント体制

ヤマハグループは、製品・サービスを通してお客さまによりよい顧客体験を提供し続けるために「グループ品質マネジメント規程」に基づく品質マネジメントシステムを運用し、PDCAサイクルによる製品・サービスの品質向上に努めています。

取締役会の監督に基づき、代表執行役社長の諮問機関として執行役を委員長とする「品質戦略委員会」を設置し、グループ全体の品質方針・目標や重要施策などの審議を行い、代表執行役社長に答申しています。また、代表執行役社長からの指示により各部門およびグループ企業は、グループ品質方針・目標に沿って部門目標を設定し、ヤマハ(株)品質保証部門が、これらの達成状況の確認と品質監査などによるモニタリングを行い、品質戦略委員会に報告します。

これらに加えて、重要な品質問題の発生・対応状況は、ヤマハ(株)品質保証部長に集約することをグループ品質マネジメント規程に規定し、グループ全体における品質マネジメントのガバナンス強化も図っています。

[図] 品質マネジメント体制

品質マネジメント体制

品質監査

ヤマハ(株)品質保証部門の監査員が定期的に各事業部門およびグループ企業の品質監査を実施しています。品質監査では、品質マネジメントシステムの適合性・有効性に関する対面の監査だけでなく、実際に販売されている当社グループの主要な新製品(年間約20製品)に対し安全性・有用性や表示の適切性を確認する製品審査も行っています。監査は製品を扱う部門だけでなく、音楽教育事業やリゾート事業などのサービスを提供する部門におけるお客さま安全の視点でも行っています。品質監査で抽出された問題点やベストプラクティスは、各事業部門およびグループ企業にフィードバックすることによって、品質マネジメントシステムの維持改善・有効性向上、さらにはお客さま満足度向上につなげています。

また、製品を扱う部門では、所管する国内外のグループ企業を指導・監査し、製品品質の向上に努めています。

[写真] 製品審査

製品審査

品質マネジメントシステム認証取得状況

ヤマハグループでは、主要事業である楽器事業、音響機器事業などでISO9001認証を取得しています。自動車用内装部品においては、自動車産業に特化した国際規格IATF16949を取得しています。

ヤマハグループにおける2026年3月末時点の品質マネジメントシステム認証取得率は78.1%(従業員数ベース)でした。

安全性確保

ヤマハグループでは、お客さまの安全を守ることを最優先事項とし、安全に配慮した製品設計や製品試験、関係する法令・規格への対応、国内外の音楽教室の設備・備品に対する定期的な点検・改善などを通じて、製品・サービスの安全性確保と向上に取り組んでいます。

安全に配慮した製品設計

開発時のデザインレビューに製品安全に関わるリスクアセスメントを組み込むなど、安全に配慮した製品設計に取り組んでいます。リスクアセスメントでは、設計段階において、それぞれの製品や使い方に関わる潜在的なリスクを抽出・想定し、これらリスク要因の軽減、排除の検討を設計プロセスに組み入れます。

そのためにリスクアセスメント手法であるR-Map手法の定着を図り、リスクアセスメントの有効性向上の活動を進めています。

  • 日本科学技術連盟が提案した、リスクを6×5のマトリックス上で表現する手法。設計時のリスク低減、製品のリスク評価に用いられる。経済産業省/NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)においても、R-Map手法によりリスクを評価している

製品の信頼性・安全性評価

製品の長期信頼性を確保するため、本社敷地内に耐火・防爆性能を備えた試験棟に加え、耐久試験や環境試験、機械的ストレスを加える専用試験室など、多様な評価設備を整備しています。これらの施設を活用し、長期使用を模擬した信頼性評価、環境変動に対する耐性評価、外力に対する構造健全性評価などを、社内で一貫して実施できる体制を構築しています。

さらに、部品・材料の劣化メカニズム解明や寿命予測モデルの研究にも取り組み、評価データと基礎研究を組み合わせることで、製品が長期間安定して性能を発揮できるための技術基盤を強化しています。これらの取り組みにより、信頼性を中心とした製品品質の向上を継続的に推進しています。

[写真] 試験棟

試験棟

[写真] 研究風景

研究風景

各国の製品およびサービスに関わる法令・規格への対応

ヤマハグループでは、製品の品質や安全性、環境保護に加え、サイバーセキュリティ、データ保護、AIを含むソフトウエアに関する各国の法令・規格を確実に順守するため、各種法規制の動向監視や社内方針の決定、運用の体制を整えています。

法規制の拡大・改定や自主基準の付加などにより社内基準を制改定する一方で、現地法人との情報連携により、各国法規制の変化に迅速・適切に対応し、法規制情報を管理する仕組みを強化しています。

ヤマハ(株)では、無線通信機能の搭載拡大に伴い各国で強化が進む無線規制や、従来の各国電磁波や安全に関する規制強化を受け、無線・電磁波測定設備をはじめ各種測定・分析・評価機器を社内に設置し、製品の試作段階から規格適合性評価を実施しています。

さらに、近年重要性が高まるサイバーセキュリティについても、対象市場の規格・ガイドラインへの適合を見据え、評価体制の構築を進めています。リスクアセスメントや脅威分析のプロセスを設計段階に組み込み、セキュリティ要件の明確化・検証を通じて、製品ライフサイクル全体でのセキュリティ確保を推進しています。

また、化学物質については、製品に含有される化学物質の管理システムを構築・運用し、「製品に関わる化学物質の含有基準」を定めています。設計・開発の初期段階からサプライチェーン全体でデータを管理し、順法性の確保と環境負荷低減に取り組んでいます。

[写真] 電磁波測定に使用する電波暗室

電磁波測定に使用する電波暗室

製品事故時の速やかな対応

ヤマハグループでは、製品やサービスに関わる事故の未然防止に努め、万一の事故発生に備えて、お客さまの安全確保を最優先するための体制を整えています。事故を知った従業員は、直ちに担当部門に伝達し、担当部門は速やかに各事業の品質保証部門に事故発生を報告するとともに、被害に遭われたお客さまへの対応や行政報告、再発防止に向けての対策を推進します。経営レベルでの早急な判断と対応を要する重大案件においては、経営トップへの報告およびヤマハ(株)品質保証部長が全社関係部門を招集し、対応協議を速やかに行います。

情報開示

ヤマハグループは、お客さまに製品やサービスの内容を的確に伝える広告・宣伝を行うとともに、法令に従い製品・サービスに関する正確な情報を表示することをコンプライアンス行動規準に規定しています。

さらに、製品・サービスや施設の提供により人々の生命、身体および財産に被害を与えることのないよう、安全に関する情報提供・開示を適時、適切に行っています。

適正な情報開示

製品・サービスに適正な表示がされるよう、確認プロセスを品質マネジメントシステムに組み入れています。

仕様などの基本情報のほか、安心・安全に使用していただくためのポイントを取扱説明書やカタログ、ウェブサイトなどお客さまの目に触れやすい媒体に掲載し、事故防止のための啓発を行っています。なお、学校用楽器・機器を安心・安全に使用していただくための情報については、ウェブサイトの他「学校用楽器・機器カタログ」にも掲載しています。

万が一製品の不具合や、製品・サービスに起因する事故が発生した場合には、法令に基づく関係当局への報告、お客さまの安全に必要なリコールや積極的な情報開示を迅速かつ適正に行うための手順・フローを定めています。重大性や緊急性、購入・使用などの実態に応じて、ウェブサイトへの掲載や記者発表、新聞・専門誌などへの社告掲載、SNSによる情報発信、ダイレクトメール・電話などによって情報伝達の徹底を図っています。

直近ではACアダプターPA-300C(2010年7月~2012年5月製造品)において、発煙、発火の恐れからリコール(無償交換)対応を進めています。今後もお客さまへの周知を図るため、さまざまな媒体を通じて当該案件の情報を発信していきます。

品質・安全管理のための教育・啓発

ヤマハグループは、製品・サービスの品質・安全性に関する法令や社会要請に対応していくため、従業員への教育を定期的に実施しています。全従業員向けの一般教育のほか、階層別教育や担当者向け専門教育を整備し、従業員の品質や安全に関する意識を高め管理スキルの向上を図っています。また、実際のお客さまの声や品質対策事例に関して、イントラサイト「顧客体験気づきサイト」への掲載や開発部門での物理的な展示を行うことで、従業員一人一人の気付きを促し、品質や安全への感度を高めています。

加えて、11月の品質月間には、品質に関するセミナーや職場におけるチームミーティングの実施など、毎年、従業員の意識啓発を図る施策を展開しています。近年は、品質不良や事故の未然防止手法としても定評のある「失敗学」に基づいた実践教育・セミナーを実施しています。2026年3月期は、失敗学導入活動の一つとして、国内ヤマハグループ全従業員を対象に「創造学」オンラインセミナーを開催しました。失敗学の考え方を応用し新しいアイデアを発想するためのスキルを学ぶことをテーマとし、300名を超える聴講者がありました。

【2026年3月期の教育実績】

名称 開催数 対象者・区分 内容
品質月間セミナー 1回/年 全従業員・一般教育 創造学
失敗学実践教育 4回/年 参加希望部門の代表者・一般教育 失敗学による分析方法(実例による実践学習)
製品安全リスクアセスメントコース 1回/年 製品安全担当者・専門教育 「R-Map」の概要および実践方法
データ分析基礎コース 1回/年 開発、生産技術、品質保証担当者・専門教育 データ分析、統計手法の基礎
生産向けSQCコース 1回/年 生産、生産技術、品質保証担当者・専門教育 (主に製造時に活用する)統計的品質管理手法
法規制対応教育 32コンテンツ/年 各部門担当者・専門教育 意識編、知識編、プロセス編、システム編(eラーニング)

製品・サービスに関する違反などの状況

安全性に関わる不具合・違反などの状況

2026年3月期において、製品の安全面での不具合に関わる新規の市場対応が1件発生しました。

当社が販売しているピアノ椅子No.5におきまして、ごく一部の商品にネジ留めされていない箇所があることが判明したため、ウェブサイトを通じて注意喚起を発信しました。一方、罰則をともなう法令違反はありませんでした。

重要品質問題(リコール含む)の状況

ヤマハグループでは、お客さま・社会に対し重大または広範囲な被害・影響を及ぼす、あるいは及ぼしかねない案件について安全面や製品法規制といった視点から重要品質問題を定義し、お客さま・社会への被害や影響を最小化するために対応に当たります。

2026年3月期において、リコールを伴う重要品質問題が1件、前述のピアノ椅子No.5におけるネジ欠損が発生しました。