2020年3月期第2四半期 決算説明会 質疑応答

Q1:グローバル経済がスローダウンする中、楽器事業の売り上げが堅調な理由について教えてください。

中国での教育需要に支えられた需要増など、数量ベースの伸びに加え、価格の適正化が進捗し、全体に売り上げが伸びています。また、トランスアコースティック・ギターのような新しい価値を訴求した商品が一定の売上貢献をしています。


Q2:中国の楽器販売見通しの上方修正の背景及び中国の市況について教えてください。

1Qでは、ピアノ・電子ピアノの成長鈍化の兆しが見えましたが、ピアノは内陸部での市場開拓に加え、沿岸都市部での需要が回復し2桁成長に戻りました。電子ピアノは現地製廉価版が1QにEコマースのイベントもあったことからエントリーモデルで一時的に影響を受けましたが、中上級帯モデルは依然堅調に伸長しています。管楽器、ギターは好調に推移しており、全体に概ね堅調なことが背景にあります。


Q3:為替影響が大きいにも係わらず楽器事業の収益性が向上している理由について教えてください。

増収や価格の適正化及びコストダウンが進み収益性が向上しています。


Q4:その他の地域の楽器の市況と見通しを教えてください。

韓国は8月以降の現地の消費行動の厳しさより、2Qまでの成長から今期の見通しは前年割れを想定しています。ASEANは跛行性がありますが、特にインドネシア、ベトナムで通期での高い伸びを予想しています。中南米は従来の停滞から、復調を見込んでいます。インドはマクロ経済の影響により、足元では伸びが鈍化しています。


Q5:日本の管楽器販売が構造的に停滞してきていますが、今後、どのような取り組みを考えているのか教えてください。

いくつかの要因が重なり苦戦していますが、中高級の領域へ販売リソースをシフトし回復を図ります。また、学校での吹奏楽活動については、一企業では難しいところもありますが、活性化に取り組んでいきます。


Q6:ギターの北米での状況と今後の収益性改善の見通しについて教えてください。

ギターの北米シェアはまだ1桁です。2桁成長の継続により、近い内に2桁のシェアへ移行できると考えています。収益性については、中級帯やトランスアコースティック・ギター販売の伸び、価格の適正化、コストダウンにより直近では急速に収益性が改善してきており、今後も継続するものとみています。


Q7:下期の音響機器製品が高い回復見通しですが、具体的にどのような商品が牽引するのか教えてください。

AV機器では、1Qで期ずれを起こした北米の量販店向けのサウンドバーの出荷が好調に進むと想定しています。PA機器では、ポータブルPAシステム、パワードスピーカーなど新商品への期待が高いです。ICT機器は在庫調整が進み、下期は前年以上の出荷を想定しています。


Q8:音響機器の今期見通し修正について、為替以外ではどの要素が期初の想定より変わったのか教えてください。

ほとんどが為替影響です。


Q9:PA機器とICT機器の中長期的な競争力と成長性、また景気連動性について教えてください。

ヤマハ独自の強みを商品へ反映しており、それが評価されています。今後、様々な技術革新を強みに成長していくと考えています。PA機器、ICT機器共に市場そのものが成長しており、当社にとっても成長できる領域と考えています。加えて、ICTとPAの技術を組み合わせ、新しい市場を開拓できると考えています。景気との連動性は楽器に比べると強いと思われます。


Q10:FA機器が下期に想定した回復が遅れている点にについて教えてください。また、最終需要先はスマホ関連かどうかについても教えてください。

下期については、先期並みの需要を想定していましたが、市況悪化が続き下方修正しました。需要先は、主にスマホに使用されるような基板関係です。


Q11:日本の消費増税、9月からの米中制裁関税の影響と見通しについて教えてください。

日本の増税前駆け込み需要は11億、内楽器8億、音響機器3億です。下期はその反動を見込んでいますが、通期では大きな影響は出ないと想定しています。利益影響は、数億レベル程度の前倒しと考えています。

米中制裁関税は、米国での関税コストアップが今期約10億円ですが、そのうちの約8割は価格転嫁で対応し、約2億円の影響を想定しています。既に今回の通期見通しに織り込んでいます。


Q12:その他通貨の為替影響とユーロの3Q予約レートを教えてください。

人民元及びUSドルに対するカナダドル、オーストラリアドル、ウォン、ルピア安などで想定を上回る影響が出ています。また、3Qのユーロの予約レートは120円です。


Q13:販管費に関し、2Qは削減、下期は変更なしの想定ですが、戦略経費含め通期見通しについて教えてください。

2Q経費減少の半分ぐらいが出遅れ、残りは削減です。通期では2Q削減分に加え、もう一段と絞り込み全体を抑制しようとしていますが、戦略経費はできるだけ据え置く予定です。


Q14:コストダウンについて、従来より進捗スピードが緩やかに見えますが、調達、生産性向上の両面から、現況及び来年以降の見通しを教えてください。

コストダウンは、今期、調達コストの良化により前回想定より約4億円の進捗を想定しています。今回の中期計画に概ね沿って進んでいますが、新工場建設、既存工場設備の更新投資によるコスト増もあり、進捗スピードがやや緩やかになっています。これらによる生産性の向上は2-3年先から効果が出始めます。


Q15:インドの新工場について、進捗状況と今後の見通しについて教えてください。

インド工場は、稼動が始まったところで、初年度、PKとギターを生産します。PKは既に生産がスタートし順次数量を増やしていっているところです。ギターは、今期中に生産開始予定です。中期経営計画では、インド市場で150%の売上拡大を計画していますが、大部分をこの工場で担っていきます。