2018年3月期 決算説明会 質疑応答

Q1:2018年3月期の販売管理費が前回予想に対し増加となった内容について説明してください。

販売管理費については、主にいったん抑制した戦略経費を、第4四半期の売上が堅調だったことから、楽器、音響機器事業共に支出の抑制を緩めました。
特にPA機器において戦略経費を前倒ししたことにより、音響機器での販売管理費が計画を上回りました。


Q2:スライド8の2019年3月期の営業利益増減要因を見ると、為替を除いた売上の実質増加に対して営業利益の増益幅が大きく見えるのですが、もう少し詳しく説明してください。

増益は、「増収増産モデルミックス等」が一番大きな要因となっていますが、増収に加え、モデルミックスと価格の適正化が増益の要素です。
価格の適正化は、新商品の値付けを含め実施していきます。


Q3:現中期経営計画目標の営業利益率12%の次を見据え、利益率の更なる改善についての社長の考えを教えてください。

ヤマハは中長期の目指す姿として、経営ビジョン「なくてはならない、個性輝く企業」になる(営業利益率20%)を目標として掲げています。現在それに向かい様々な施策を展開している中で、私はブランド力を強化するためのマーケティング施策が大事になってくると考えています。
商品力だけではなくブランドプレミアムを持つためのマーケティング戦略を長期的な視野で取り組むことが、価格の適正化にも寄与し、あわせてコストダウンを行うことで更なる利益改善につながると考えています。


Q4:ギターの伸長が大きく、今までの取り組みが成果につながっているようです。
その一方で競合の経営破たんもありますが、市場環境についてご説明ください。
また、市場の大きな欧米ギター市場についての感触を教えて下さい。

ギターについては中国で高い伸び率をみせ、特に第4四半期では50%を超える成長となりました。
この理由は、中国においてヤマハのブランドイメージが高く、特にピアノを始めとした楽器の信頼感に支えられていることが大きいと考えています。
競合の経営破たんで、ギター市場が縮退しているとは特に感じていません。
欧米では、当社のアコースティックギターはシェアが徐々に増加しています。
エレキギターについてはシェアアップを意識し、新商品を発表してきており今後はアメリカ拠点を生かし、シェア拡大に取り組んでいきたいと考えています。
エレキギターのブランドはシニア層に固定化されている傾向が強く、当社としては若い世代に対ししっかりとヤマハブランドを訴求し、1、2年というよりももう少し長いスパンでギタービジネスを成長させていく考えです。


Q5:中国を除く新興国市場について中期的な展望をお話しください。

新興国は、少し前までマクロ経済の厳しい状況が続いていましたが、だいぶ改善されており、来期も引き続き高い成長を予想しています。
また現在新興国でスクールプロジェクト(Music Time)等の需要創造活動を展開していますが、このような活動も今後の成長に繋がってゆくと考えています。


Q6:今期の市場環境について見通しを教えて下さい。また、2018年3月期の楽器・音響機器の製品在庫が減少した一因で第4四半期に減産調整があったということですが、その内容についても教えて下さい。

2019年3月期は前期に引き続き堅調に推移すると考えています。
地域別には、中国は需要も旺盛で、引き続き好調を持続できると考えています。
新興国については資源国を中心に売上が戻ってきており、2018年3月期は半数以上の現地法人で二桁成長を達成したこともあり、堅調を持続すると見ています。
ヨーロッパも堅調に推移しています。アメリカについては、移民等の人口増もあり、引き続き成長できると考えています。
生産については、売上の見通しを注視しつつ調整を行っていますが、今回は、在庫の観点から多少生産調整を行いました。


Q7:フリー・キャッシュ・フローが2018年3月期の525億に対して、2019年3月期の120億円と大きな差がありますが、内容について教えてください。

前期実績と今期予想のフリー・キャッシュ・フローの差は、前期にヤマハ発動機(株)株式の一部売却による収入があったことが大きな要因です。
また、ヤマハ発動機(株)株式の一部売却に係る税金約80億円の支払いが、2018年3月末は未払いとなっていましたが、今期発生する予定です。
因みに、研究開発棟と海外の2工場の建設で、前期、今期と比較的高い設備投資が続いていますが、来期には落ち着いてくると考えています。


Q8:前期行った価格の適正化の取り組みについて説明してください。

価格の適正化については、お客様に納得していただける適正な価格で商品を提供できれば、一定の理解を得られると考えています。
前期は、主に2つの要因により、価格適正化の取り組みに進捗遅れがありました。
1つはヨーロッパにおいて販売条件を変更したことにより多少の混乱があったということ、もう1つはアメリカにおける流通在庫が高かったために、第2四半期中心にセルインが進めなかった為、販売価格の適正化をタイムリーに行うことが出来ませんでした。
ヨーロッパの販売条件の変更は、従来は数量リベートが多かったのですが、今後は質に転換するということで、業界全体をできれば新しい時代にしていきたいという先陣を切った取り組みだったため、多少時間を必要としたということです。


Q9:昨年のアメリカの自然災害やヨーロッパの販売条件変更の影響について現在の状況を教えてください。

アメリカにおける自然災害の影響と流通在庫が高い為にセルインが進まなかったこと、ヨーロッパの販売条件変更に伴う混乱については、少し時間がかかりましたが、既に正常化したと考えています。


Q10:お客さんの趣味趣向が多様化している中で、御社の中国での若い人に対するマーケティングがうまくいっていると聞いていますが、マーケティング活動についてのお考えをお聞かせください。

地域や世代によってお客様に響くポイントが違いますが、現在はそれに対して有効なツールがあります。
SNSを中心としたデジタルマーケティングを活用することで、従来は難しかった、ターゲットに合わせたきめ細かいマーケティングを展開することができます。当社ではこういうデジタルツールを整備する必要性から、マーケティング統括部門を新設し、取組んでいます。
中国では、現地の若い社員の発想を取り入れ、SNSで発信し、若い人たちにアプローチしていることで効果を出しています。
今後はこういう活動を全世界に発信し、マーケティング活動を展開していきたいと考えています。


Q11:現中期経営計画でコストダウンがアコースティック楽器の生産体制の再編成を中心に進んでいるようですが、今後のコストダウンの見通しについてお話しください。

コストダウンについては、大きなところでは工場の複合工場化があげられます。
今までの単機能工場から複合工場化とすることで、稼動の平準化を通じコストダウンを達成しました。
また、前工程を国内から海外に移す等の工程の変更を進めました。
現在は、海外工場の機械化を進めています。国内は賃金上昇の過程で機械化を進めてきましたが、海外においては国内ほど行っていませんでした。今後進めていくことで、一定の成果が出ると考えています。
更には工程そのものの抜本的な変革も視野に入れ、これからもコストダウンに取り組んでいく考えです。