2017年3月期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 3Q業績が若干減速した後、4Qの業績が好調に推移した背景について確認させて下さい。
ここ数年の4Qの販売状況がかなり異なることを踏まえ説明してほしい。

2015年3月期4Qは、正直、期末の販売施策によって売上を積むといった面がありましたが、2016年3月期4Qについては、3Qまでの販売が順調に推移していたこともあり、無理な販売などせず、自然な形での着地をすることが出来ました。2017年3月期4Qは、販売現地法人によって状況が異なります。北米市場で多少、押し込み的な面があったかと思いますが、全体として、販売網に負荷を掛ける形での販売は無かったと考えており、総じて自然体で販売増が実現できたと考えています。


Q2 : 2017年期末在庫水準の状況認識と、4Qから来上期の生産、損益影響について教えて下さい。

2017年3月期4Qでは、生産を絞りこんだものの、これまでの生産平準化等の施策の効果があり、減産規模程の損益悪化影響はありませんでした。期末在庫水準は、依然として、当初計画からは若干高い水準にありますが、新商品の市場導入の為の事前の生産という要素もあります。引き続き、より慎重に在庫水準の適正化に向けて取り組んでいく考えです。


Q3 : 電子ピアノは前年の年末商戦の苦戦から4Qで回復しましたが、今期の電子ピアノの展望を含めて背景を教えて下さい。

電子ピアノが3Qで対前年同期比マイナスになりましたが、前年同期の販売が好調であったこともあります。
価格の適正化の実施において、市場、競合関係を多少読み間違えた面がありました。そうした状況については直ちに修正することが出来ました。具体的には、現行品番の販売促進策が奏功し、販売回復につなげることが出来ました。今期投入予定の新商品については、楽器業界のトレードショーでお披露目していますが、新設計の鍵盤導入もあり差別化が図れる商品として、期待をしています。


Q4 : 2018年3月期の税金負担が少ない予想になっていますが、その理由を教えて下さい。

2018年3月期の税率の予想は19%です。その一時的な要因としては二つあります。前期に繰延税金資産135億円を計上しましたが、一部積み残しがあり、今期も20億円程度計上します。これに加えまして、繰越欠損金が、ヤマハ(株)では、前期末で解消していますが、子会社においては若干残っていることが要因です。
今後、上記二つの要素はなくなりますが、継続的な要素としては、研究開発費の税額控除があることが税率を引き下げる要因となり、将来的には法定実効税率(30%)を若干割る水準で安定していくものと考えています。


Q5 : 前期から今期予想の価格の適正化について、市場環境、競合関係等を含め教えて下さい。

価格の適正化とは、決して値上げだけではなく、商品の状況をよく見れば、値下げというものもあるという意味で申し上げています。今期は、20年ぶりの新設計鍵盤を搭載した電子ピアノの強力な新商品を投入できることから、こうした機会をとらえて、価格の見直しを進めており、今期も25億円程度の価格適正化の効果を見込んでいます。


Q6 : 価格の適正化について、今後も継続可能かどうか教えて下さい。

過去の円高環境下で、適正な値付けが中々できなかった中で、価格の適正化について徐々に取り組んできました。例えば、管楽器などは、徐々に価格の適正化を進めてきましたが、他社も追随してくるなど、上手く進めることができました。次の段階では、新商品導入のタイミングでの価格の見直しを進めて行きたいと思います。よって、今後は、価格の適正化という表現の見直しも検討します。


Q7 : 価格の適正化については、競合会社の価格攻勢が、影響力をもつものでしょうか?
それとも、ヤマハの意思において実施ができるものでしょうか?

価格の適正化は非常に、センシティブなテーマであり、3Q業績の減速は、端的に申し上げれば、価格を若干上げすぎた感があった為と思います。市場の状況や競合各社の動向を的確につかむことが重要であり、3Qでは少しそこに課題がありましたが、直ぐに状況を把握し、適切な対策を講じることが出来たと考えています。


Q8 : 中国市場が、ギターが好調とのことですが、その他の楽器の状況を教えて下さい。

中国市場については、ピアノが順調に推移する中で、ギターが大変好調に推移しています。
これに加えて、電子ピアノも120%の対前期成長を達成することができているなど、様々な楽器が、高い実質成長を示しており、今期も二桁成長が期待できると考えています。


Q9 : 新興国の状況について確認させてください。

マクロ経済の状況が良くない国々もありますが、今期につきましては、インド、インドネシアは、前期と同様に成長できるものと考えており、ロシアなども回復基調にあり同様に期待できると考えています。
当社の体制についても、従来は、営業部門から各販売会社を指示する形でしたが、アジアパシフィック地域を統括する組織をつくって当該地域の成長のかじ取りを担う体制に改めましたので、その成果を期待しています。


Q10 : 販売管理費の使途について、マーケティング強化ということが多い様ですが、ブランド若しくはプロダクト、どちらに関連する費用の支出が多いのでしょうか?

2018年3月期の販管費の増加について、半分は増収に伴う変動費であり、残りは主としてマーケティングの強化に伴う経費増を予定しています。コーポレートブランドの強化と共にネットワークオーディオの認知向上や業務用音響機器の販売網整備、成長を期待するギターの領域でのプロダクトマーケティングの双方に取り組んでいきます。


Q11 : 中国においても、ヤマハブランドの認知は高いと思いますが、どの様なブランドとして認識されていると考えていらっしゃいますか?

中国においては、高品質メーカーという評価は定着していると思います。アコースティックピアノを中心としたこれまでの認知から、ギターのブランディングが一定程度、効果が出てきており、中級品以上が良く売れている市場になっています。中国では、米国ブランドが他地域と比べ、余り強くないという状況もあります。
ヤマハのブランドは、プレミアムなブランドか身近なブランドかということでいえば、両方の側面があるといえると思います。例えばピアノは、高品質で高級品という評価ですし、ポータブルキーボードは、30年程昔からキーボード教室の取り組みがあり、非常に身近に感じている方も多いと考えています。


Q12 : 音響機器事業、特に業務用音響機器の好調な推移について、市場環境が良化しているのか、それともヤマハの取り組みが効果を上げているのか背景を教えて下さい。

業務用音響機器は、市場も拡大していることがありますが、設備音響の当社内の体制整備が進んできていること、販売網の拡大に当社としても、継続して取り組んでいる成果が表れていると思います。
天井埋め込み型スピーカ等のインストレーション市場への商品領域にも拡大しており、そうした成果も出てきています。