チェレスタのマメ知識
映画やオーケストラに登場するチェレスタ

チェレスタの音色を聴いて、多くの作曲家がイメージしてきたのは、自然界の水や光の音かもしれません。モーリス・ラヴェル(1875~1937)は「海原の小舟」というピアノ曲をオーケストラ向けにアレンジした際、水面のきらめきを表すのにチェレスタを使いましたし、レスピーギ(1879~1936)はローマ三部作の一つ、「ローマの噴水」で水面の輝きを表現しています。また、リヒャルト・シュトラウス(1864~1949)は「アルプス交響曲」で滝の描写に用いるなど、チェレスタは不思議と水や光を連想させるところに多く登場しています。

チェレスタの柔らかく澄んだ響きは、クラシック音楽はもちろん映画音楽にもよく登場しています。たとえば、ジョン・ウィリアムズは「スター・ウォーズ」や「ハリー・ポッター」のシリーズ、「未知との遭遇」「E.T.」などで印象的に使っています。とりわけ「ホーム・アローン」では全編に渡って登場し、きらきらしたクリスマスの気分を盛り上げています。 また、クリスマスソングの演奏にもチェレスタが多く用いられますが、それは、最初にこの楽器を世に広めたチャイコフスキーの「くるみ割り人形」が聖夜を舞台にしていたからのようです。