大正琴&ヴィオリラの弾き方
弦の張り方と音の関係

弦楽器の音の高さは、「弦の長さ」、「張力」、「線密度(単位長さあたりの重さ)」の3点で決まります。音の高さは周波数と言い替えることもでき、これらの関係を表す数式は下のようになります。
fは周波数、l(は弦の長さ、Tは弦の張力、ρ(ロー)は弦の線密度を表しています。

音の高さ(周波数)の関係を表す式

音の高さ(周波数)の関係を表す式

この式からわかるのは、周波数は弦長に反比例する、つまり弦が長くなると音が低くなるということ。それに、弦の張力を大きくすると周波数が大きくなる、つまり音が高くなるということです。
具体的には、弦の長さが1/2になると周波数は2倍になり、音が1オクターブ上がります。
大正琴やヴィオリラでは、中央にある「5」という音階ボタンを押すと、振動する弦の長さがちょうど半分になるように設計してあり、開放弦の時のソの音より1オクターブ高いソの音が出ます。

上の数式を見ると、張力はルートの中に入っているので、音を1オクターブ上げる、つまり周波数を2倍にするには張力を4倍にする必要があります。しかし実際には張りすぎると弦が切れてしまい、開放弦の時のソからシへ2音上げるくらいが精一杯です。逆に張力をゆるめれば音の高さは下がり、1オクターブでも下げられます。
このように音が変わるため、弦の調律はとても大切です。弦をゆるめずに張り続けていたり、ある程度の時間弾き続けたりすると、張力は弱まってくるので、演奏前に音が下がっていないか確かめる必要があります。

台自体も楽器の振動によって共鳴するので、台の材質や構造によって音の広がりも変わってきます。大正琴やヴィオリラの底にはゴムの脚が付けてありますが、これは滑り止めの役割を果たすほかに、台の影響をあまり受けないようにする意味もあるのです。