ワークライフバランスの推進

仕事と生活の調和の取り組み

ヤマハは、さらなる事業の発展と個人の充実した生活の両立を実現するため、多様な価値観・ライフスタイルを尊重したワークライフバランス支援を積極的に推進しています。仕事の質や生産性を高めることで生み出された時間を個々の多様性に合わせて有効活用することは、生活全体を充実させ、心身の活力につながります。その活力こそが、新たな価値創造の原動力となり、企業価値の向上と個人の豊かな生活のための源泉となります。

また、労使による「ワークライフバランス推進委員会」を設置し、総労働時間の短縮や両立支援制度の整備・拡充を推進する体制の中で、自律的で生産性の高い働き方を目指す活動を展開しています。

[図] ワークライフバランス向上の取り組みの狙い

過重労働の防止

ヤマハグループは、過重労働につながる時間外労働・休日労働の削減、休暇制度の充実と取得促進に取り組んでいます。

ヤマハ(株)では労使協議によって設定された時間外労働ガイドラインに沿って、総労働時間の短縮を図っています。毎月の状況をモニタリングし、ガイドラインで設定した上限時間を超過しそうな部門には早期の注意喚起を行っています。なお、これまでガイドラインの月間上限時間を段階的に引き下げてきており、2022年3月期からは60時間/月(年間上限は540時間)に設定しました。労働時間を削減する取り組みとして、長年にわたりフレックスタイム制を導入しているほか、これまでの隔週一斉退社日を見直し、2022年4月より毎週末を18時以降の社内メール禁止ならびに所定労働時間を超えない勤務日と定めるなど、自律的な働き方にも則した施策を行っています。

また、年次有給休暇取得日数の目標を設定し、労使で計画的な取得を積極的に呼びかけるほか、取得不足の本人および管理者への働きかけや、個々人の業務事情に鑑みたフォローも行いながら取得を促しています。併せて、確実な取得につながる一斉休暇制度も導入しています。こうした年次有給休暇に加え、従業員のライフイベント支援やプライベートの充実を図る目的で、忌引など慶弔に関わる休暇のほか、節目年齢や定年、転勤時に付与される連続休暇などの各種休暇制度も整備しています。これらの労働時間短縮や休暇取得促進の取り組みは、国内のグループ企業各社も順次、導入を進めています。

2022年3月期実績

ヤマハ(株)における一人当たりの年間総労働時間は1937.7時間でした。年次有給休暇の取得については、2017年3月期から年間15日を目標とした結果、年々取得率が向上し、2023年3月期実績は、目標値を上回る16.3日となりました。

総労働時間など各データの経年推移については、ESGデータのページに掲載しています。

働きがいと働きやすさ向上の取り組み

ヤマハ(株)では自律的で生産性の高い働き方を目指した制度や仕組みの見直しを行うとともに、従業員の働きがいと働きやすさの向上に取り組んでいます。全従業員を対象としたテレワーク制度、育児・介護との両立支援制度拡充、職場単位での業務プロセス改善や会議の効率化など、従業員が心身の健康維持と仕事・プライベート双方の充実を図りながら能力を発揮できるよう、個別の事情に寄り添った柔軟な制度や職場環境の整備を行っています。2021年10月には、単身赴任者や介護事由者の個別の事情に配慮し、遠隔地への赴任や親族の介護に際して通勤圏拡大を可能とする制度を開始しました。

ヤマハ(株)における働き方改革の取り組みはイントラサイトなどを通じてグループ企業に共有され、国内のグループ企業でも同様の取り組みが展開されつつあります。

両立支援制度の整備・拡充

ヤマハグループは、個々の従業員の多様な事情に対応できるよう仕事と生活の両立支援制度を整備・拡充し、従業員への周知により利用促進を図っています。ヤマハ(株)では、「次世代育成支援対策推進法」に基づいて行動計画を策定・実行した結果、2016年に「プラチナくるみん」の認定を取得しました。育児との両立支援においては、2019年6月より育児短時間勤務についてこれまでの定時勤務からフレックスタイム勤務も可能にしたほか、2022年6月より育児短時間勤務の適用時期を子の小学校3学年から小学校6学年修了まで引き上げました。また、「治療と仕事の両立支援制度」としては、2021年3月期に治療を事由とした短日勤務、短時間勤務制度をあらたに導入するなど、制度整備と拡充を続けています。

育児休職制度などの利用状況については、ESGデータのページに掲載しています。

育児・介護・治療に関する制度(法定基準との比較)

制度 法定基準 ヤマハ(株)
産前産後休暇 産前42日(多胎妊娠98日)、産後56日 産前56日(多胎妊娠98日)、産後56日
妊産婦障害休暇 - 妊娠から出産後1年以内の期間で医師の指示する日数
出生支援休暇 - 配偶者の出産前14日、出産後14日以内の期間に5日間
育児休職 原則として子が1歳に達するまで(特別の事情がある場合は1歳6カ月、2歳に達するまで)の間 子が2歳に達するまで(ただし4月生まれは2歳到達後の4月末まで)
子の看護休暇 小学校就学前の子 小学校1学年修了前の子
育児短時間勤務 子が3歳に達するまでの間 子が小学校6学年修了までの間
育児のための時間外労働の免除制度 子が3歳に達するまでの間、所定外労働を制限 子が小学校3学年修了までの間、必要な期間時間外労働を免除
ライフサポート休暇 - 家族の看護、育児、不妊治療などの目的で取得可。1時間、半日、1日単位で取得可
介護に関する制度の対象範囲 配偶者、子、父母、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫 二親等以内の親族
介護休職 対象家族1人につき通算93日まで(3回までの分割取得可) 対象家族1人につき通算1年間の範囲(半年の延長有り)
介護短時間勤務 介護休業とは別に利用開始から3年の間で2回以上 介護終了まで
介護短日勤務 - 週1日勤務免除、介護終了まで
介護のための休暇 対象家族1人につき年5日、2人以上で年10日 対象家族1人につき年5日
治療短時間勤務 - 治療の終了まで
治療短日勤務 - 治療の終了まで

事業所内保育施設の整備

ヤマハ(株)は、本社敷地内に事業所内保育園(おとのいえ)を設立し、運営しています。

2019年の設立以来、ヤマハグループ企業で働く従業員が利用しており、「音との出会い・ふれあい」を大切にしたヤマハならではの独自プログラムを提供しています。従業員にとって職場復帰がしやすく、子どもが近くにいる安心感からより仕事に集中できる環境を実現することを目指しています。

[写真] 事業所内保育施設(おとのいえ)

事業所内保育施設(おとのいえ)

個人の事情に寄り添った柔軟な制度の整備

ヤマハ(株)では、従業員のライフイベントに柔軟に対応できる諸制度を整備・拡充しています。以下の再雇用制度のほか、2021年10月には、単身赴任者や介護事由者の個別の事情に配慮し、遠隔地への赴任や親族の介護に際して通勤圏拡大を可能とする制度を導入しました。

海外赴任帯同者の再雇用制度

ヤマハ(株)には、配偶者の海外赴任に帯同するために退職する従業員を、帰国後に再雇用する制度があります。2017年3月期には、それまでヤマハ(株)従業員である配偶者に限っていた運用をヤマハグループ従業員にも拡大したほか、ヤマハグループ従業員以外の配偶者の海外赴任への帯同の場合も、退職後5年以内であれば再雇用を可能としました。2009年3月期の運用開始から累計39人が同制度の申請をして退職し、その中から23人が帰国後、再雇用されています(2023年3月末時点)。

介護離職者の再雇用制度

ヤマハ(株)では、従業員が親族の介護のために退職した場合、退職日から再雇用までの期間を5年以内として、再度勤務できる制度を2016年7月に導入しています。

社外からの評価実績

ヤマハ(株)は「次世代育成支援対策推進法」に基づいた行動計画の策定と実行により、2008年に「くるみん」認定、2016年には「プラチナくるみん」認定を取得しました。(株)ヤマハコーポレートサービスも2018年に「くるみん」認定、2020年に「プラチナくるみん」の認定を取得しています。

次世代育成支援に関する認定取得状況

認定 取得時期 主な実行施策
「くるみん」 2008年8月
  • 育児休職期間の延長 など
  • 育児短時間勤務制度の柔軟化
  • 一斉有給休暇導入 など
2014年8月
  • ワークライフバランスセミナー開催
  • 一斉カエルDay導入 など
「プラチナくるみん」 2016年6月
  • 男性の育児休職取得促進
  • 労働時間短縮 など
  • 厚生労働省が「次世代育成支援対策推進法」に基づき事業主を認定する制度。同法に基づく行動計画と実績をもとに審査を受け、認定された企業は次世代認定マーク「くるみん」を取得します。「プラチナくるみん」は、くるみんマークを取得している企業のうち、一定以上の水準で両立支援の取り組みが進んでいる企業を認定する制度です
[ロゴ] 次世代特例認定マーク「プラチナくるみん」

次世代特例認定マーク「プラチナくるみん」