安全と健康

ヤマハグループは、ともに働く人々の安全と健康を経営の最重要課題の一つと考えています。以下に示す「グループ安全衛生規程 基本方針」に則した安全衛生活動を推進し、安全衛生レベルのさらなる向上を目指します。

グループ安全衛生規程 基本方針

グループ企業は、ヤマハの事業活動に係わりを持つ全ての人々の健康と安全を確保することが「全ての仕事に優先する」ことと認識し、全従業員と一体となって健康で安全かつ快適な労働環境の形成を促進する。

【2022年3月期の活動方針および目標・実績】
  活動方針(活動のポイント) 抑止目標 実績
労働安全 拠点・エリアの自律化
  • 全災害54件以下
  • 死亡・障害災害ゼロ
  • 全災害64件
  • 死亡災害ゼロ、障害災害 3件
交通安全 加害事故(過大事故)の抑止
  • 全事故48件以下
  • 業務上過失率大事故ゼロ
  • 全事故60件
  • 業務上過失率大事故 8件
健康管理 2022年4月~ 国内グループ“敷地内全面禁煙”各拠点の準備実行
  • 定期健康診断受診率100%継続
  • 定期健康診断受診率100%(4年連続達成)

安全衛生管理体制

ヤマハグループは、すべてのグループ企業における安全と健康を管理する健康安全推進本部会を設置しています。

ヤマハ(株)取締役常務執行役を統括責任者として、各事業所長、主要グループ企業の代表、統括産業医などで構成され、年2回、安全衛生に関わる施策の進捗確認や総括を行い、方針や活動計画を審議・決定しています。また、毎年期初となる4月には「ヤマハグループ安全衛生大会」を開催し、代表執行役社長と労働組合委員長によるメッセージ、統括責任者による前年度総括と当年度活動方針・目標を、国内外の従業員に向けて配信しています。

大会で発信されるメッセージでは、「安全と健康は全てに優先する」の基本方針、安心して働くことができる職場の追求に向けた「安全と健康」の重要性を改めて強調しています。

代表執行役社長によるビデオメッセージ
本部長による前年度総括と今年度方針の説明

労働安全衛生マネジメントシステム認証の取得

ヤマハの事業活動に関わりを持つ全ての人々の健康と安全を確保することを「グループ安全衛生規程」に定め、必要なルール、活動などの仕組み化、統一化を図っています。

正社員、契約社員、派遣社員、社内外注などヤマハで働く全ての人々を含んだ労働安全衛生マネジメントを行うとともに、特に、楽器・音響機器製品の生産拠点においては、労働安全衛生マネジメントシステムの認証取得を進めています。また、労働安全衛生マネジメントシステムで求められるルール、活動などが適正に行われているかを監査する内部監査員についても研修を通じて継続的に養成を行っており、現在約60人の内部監査員が活躍しています。

ISO 45001認証サイト

  • ㈱ヤマハミュージックマニュファクチュアリング
  • 杭州ヤマハ楽器
  • 蕭山ヤマハ楽器
  • 天津ヤマハ電子楽器
  • ヤマハ・エレクトロニクス(蘇州)
  • ヤマハ・ミュージック・マニュファクチュアリング・インドネシア
  • ヤマハ・ミュージック・マニュファクチュアリング・アジア
  • ヤマハ・ミュージカル・プロダクツ・インドネシア
  • ヤマハ・ミュージック・プロダクツ・アジア
  • ヤマハ・エレクトロニクス・マニュファクチュアリング・インドネシア
  • ヤマハ・ミュージック・インディア
  • * 楽器・音響機器製品の生産拠点15拠点のうち、11拠点(73.3%)が認証取得(2022年4月末現在)

ヤマハ(株)は、労働組合との正式な協定である労働協約で「会社は常に工場事業所の安全、保健衛生上必要な措置を講じ、作業環境の改善を図り、組合員は安全衛生に関する諸規則を守らなければならない。組合員の安全および衛生知識の向上については会社、組合相互に協力する」旨を定めています。その他に「安全衛生委員会」「危険有害業務」「健康診断」「災害補償」などについても、同協約の中で規定しています。

国内グループ企業および海外製造拠点における労働災害は全災害件数目標54件以下に対して、2022年3月期で64件(うち休業災害件数は36件)でした。なお、業務上の死亡者はありませんでした。

[ グラフ ] 労働災害発生件数の推移(不休業災害を含む)集計範囲:国内グループ企業および海外製造拠点

ヤマハグループの職場、特に生産業務では、切り傷・擦り傷のほか、機械・設備などへの挟まれ・巻き込まれ、転倒などが発生する可能性があります。

これらの労働災害を未然に防ぐために、機械・設備の安全審査のほか、リスクアセスメントや安全パトロール、安全衛生セルフ診断※1、施設・設備の監査や化学物質管理など職場の安全性向上、従業員への安全衛生教育・訓練、安全に関するグループ標準ルールの整備・運用を進めています。また、業務内容によっては腰痛、頸肩腕障害や、塗装や研削・研磨工程における中毒、じん肺などの疾病リスクも考えられます。職業由来疾患予防の観点から、特定の業務従事者に対して行う特殊健康診断の確実かつ効果的な実施に努めています。

異動や作業内容の変更による実施もれを防ぐために年2回の対象者確認を実施するとともに、特定化学物質健康診断においては対象物質を追加し法定基準に上乗せした内容の健診を実施しています。

  • ※1 安全衛生セルフ診断:約80の診断項目に対して、自己評価をすることで適合の可否を把握し、改善自助努力を促すものです

機械・設備の安全審査

ヤマハグループでは、生産職場に新たに導入される機械・設備や更新、改造、移設される機械・設備について、稼働前に審査委員による安全審査の実施を義務付けています。ここでは、機械・設備における不具合箇所のみならず、従業員の作業動作や扱う材料の加工方法、溶剤・薬品等の取り扱いについても是正指導を行っています。

リスクアセスメント

ヤマハグループでは、作業に潜む危険を未然に防ぐためにリスクアセスメントを中核的な活動と位置付け、労働災害防止につなげています。作業内容および作業環境に対してリスク評価を行い、リスクの程度に応じた対策を講じています。新たな工程の導入に際しては、事前に災害に至るおそれのあるリスクを洗い出し、危険の除去や作業負荷の低減を図ります。現在、国内外の生産拠点ほかグループ企業に向けて、リスクアセスメントを普及・啓発しています。

リモートでのリスクアセスメントチェック(YMPA)

安全モニタリング

ヤマハグループでは、ISO45001認証サイトにおける現場の監査に加え、グループ全体の安全衛生管理を主管するヤマハ(株)人事部門の主導による、グループ企業を対象とした安全モニタリングを実施しています。安全衛生に関わる専門技術・資格を有するスタッフが安全衛生管理体制に対するチェックや現場の巡視を行うもので、数年で一巡するサイクルで、対象拠点を選択し実施しています。

安全モニタリングの内容

  • 「安全衛生管理診断表」によるレベルチェック(安全衛生管理体制、規程・基準の整備度合いを中心に約80項目を診断)
  • 職場巡視による安全衛生面でのチェック、不具合箇所の是正・指導

安全衛生セルフ診断

国内非生産系グループ企業では、従業員数の規模に応じて、コンプライアンスを中心とした安全衛生セルフ診断を実施しています。診断結果に基づいてヤマハ(株)安全衛生担当からフィードバックを行い、改善活動をサポートしています。2022年3月期は46拠点で実施しました。

安全衛生教育

ヤマハグループの国内拠点では、毎年期初に安全衛生、交通安全、健康管理に関する知識を深めてもらうため、国内グループ企業に配属される新入社員を対象に安全衛生教育を実施しています。2022年3月期は、127名に対して約2.5時間(2回に分けて)実施しました。

また、海外生産拠点(中国、インドネシア)では、ルールや活動の共有および標準化を目指すために安全スタッフによる情報交流共有会議を行っています。2022年3月期は、中国では毎月、ISO45001認証取得のための進捗確認のほか、ヤマハグループで発生した労働災害情報の横展開の仕組み化、また災害抑止のための各種活動統一のための議論を重ねてきました。インドネシアでは、新型コロナウイルス感染症の感染状況や感染拡大防止のための各拠点での対策の共有などについて議論しました(3回/年実施)。今期は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から全ての会議をリモートに変更し、各拠点間の情報共有などを行いました。

リモート会議での情報共有会議(インドネシア)

生産拠点の施設・設備の安全管理

国内外の生産拠点では、ヤマハ(株)の施設管理担当による生産設備などの施設安全監査を実施し、拠点の事故・災害防止、安全レベル向上につなげています。また、災害発生などに備え、避難訓練および緊急事態対応訓練を定期的に実施しています。

インドネシアでの施設監査

化学物質への対応

生産工程には、人体に影響を及ぼす可能性のある化学物質を取り扱う作業があり、職場環境や設備の改善、作業従事者への法定検診、保護具の支給など、疾病防止のためのさまざまな施策を講じています。

また保護具を正しく着用できるよう、作業従事者に対する教育を実施しています。加えて、化学物質を取り扱う職場におけるリスクアセスメントを実施し、リスクの低減を図っています。

2022年3月期、化学物質の取り扱い作業における労働災害の発生はありませんでした。

ルールの整備と標準化

ヤマハ(株)では、安全衛生に関する従業員の心得や基本的な行動基準、設備基準など人・モノに関する安全ルールを順次制定し、手帳や携帯用カードなどのツールを整備、運用してきました。現在は、グループ企業間でのギャップを解消し、グループ全体で安全衛生のレベルを高めていくためのグループ標準ルールの展開に向け、各種ツールの多言語化を進めています。

ヤマハグループは、従業員とその家族の健康が第一であり、従業員の健康は、生産性や働きがい向上による組織の活性化をもたらすとの認識のもと、従業員の健康保持・増進のための諸施策に取り組んでいます。2018年には、ヤマハ(株)代表執行役社長が「ヤマハグループ健康宣言」を発布し、この宣言のもと、より安全で快適な職場づくりのため、健康診断や保健指導の実施、メンタルヘルスケア、喫煙対策など健康経営を推進する諸施策を推進しています。

ヤマハグループ健康宣言

"Sound Minds + Sound Bodies = Sound Living"
  • 社員と家族の健康は、充実した生活の基本であり、会社にとって最も大切な財産です。
  • 会社は、社員の健康への取り組みを積極的に支援すると共に、安全で快適な職場を実現させます。
  • 社員と家族は、心身の健康に関心をもち、健康増進の取り組みを自ら実行します。

2018年4月
代表執行役社長 中田 卓也

[ 画像 ] ヤマハグループ健康宣言

健康診断

「定期健康診断はゴールではなくスタートです」のスローガンのもと、法定の健康診断を確実に実施することに加えて、健康診断を生活習慣病や作業関連疾患などの予防につなげています。2002年から社内診療所での定期健康診断(誕生月健診)を行い、受診者全員に対し、受診日の午前中に健診結果に基づいた医師診察、保健指導、集団健康教育を実施しています。健診結果のフィードバックの速さや、毎年テーマを変えて行う集団健康教育が従業員の健康意識、知識向上に寄与しています。また、診断結果に基づく事後措置の徹底にも取り組んでおり、2022年3月期のヤマハ(株)および国内グループ企業の定期健康診断受診率、ならびに産業医による就業区分判定※2の実施率はいずれも100%でした。

[ 画像 ] 定期健康診断受診はゴールではなくスタートです
  • ※2 就業区分判定:労働安全衛生法第66条の4および5に準じ、医師の意見に基づいた、健診有所見者に対する就業区分の判定

メンタルヘルスケア

従業員の心の健康のため、厚生労働省の指針に基づいたメンタルヘルスケア活動を推進し、疾患予防に努めています。また、休職者へのケアとして、2009年より産業医・看護職・契約精神科医・社外EAP(Employee Assistance Program)※3カウンセラーが連携した職場復帰支援プログラムを導入しました。2012年にはカウンセリング体制拡充や管理職への休職者対応研修の実施など、プログラムを大幅に強化し、現在は初回精神疾患病欠者の復職率は80%以上を維持しています。

主な取り組み

  • 社内産業医・産業カウンセラーによる管理監督者および新入社員向けの研修実施
  • 産業保健スタッフ・管理監督者・人事部門が連携した職場復帰支援プログラムの運用
  • 外部医療機関の精神科医・臨床心理士による相談窓口の運用
  • 社外EAPによるカウンセリング窓口の運用
  • ※3 社外EAP:主にメンタルヘルスに関する従業員・家族のカウンセリング、精神疾患により休職している従業員の職場復帰支援、ラインケアのための管理監督者教育などを行う社外の専門家による従業員支援プログラム
初回精神疾患病欠者の復職率の推移(ヤマハ(株))

喫煙対策

ヤマハ(株)では、喫煙対策を従業員の健康を守るための最優先課題と位置づけ、1998年から定期健康診断などでの禁煙指導や希望者に対する個別禁煙サポートなどの取り組みを継続しています。環境面では2020年4月から本社地区を敷地内全面禁煙としたのに続き、2022年4月からは国内グループ企業全体で敷地内全面禁煙を実施しています。こうした長年の取り組みの結果、全従業員の喫煙率は1998年の36.2%から2022年3月期は11.1%に低下しました。

喫煙率の推移(ヤマハ(株))

敷地内全面禁煙開始後も喫煙者に対する禁煙指導や希望者に対する個別禁煙サポートの継続などを通じて、SDGsの目標3(全ての人に健康と福祉を)達成にも貢献すべく、さらなる喫煙率低下を目指しています。

グループも含めた喫煙率の数値については、社会性データのページに掲載しています。

ヤマハグループ禁煙対策スローガン

感染症への対応

HIV/エイズ、結核、マラリアなど社会的、経済的に大きな影響を及ぼす感染症の蔓延を防ぐことは世界共通の課題です。ヤマハグループの海外拠点の中でも、特に東南アジア地域の生産拠点では、職場や食堂、休憩スペースの衛生管理や害虫防除などの環境整備を行っています。また、海外出張者や駐在者、家族に対しては、現地における感染症の流行情報を通知するほか、渡航前の感染症予防対策として、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、麻疹・風疹などのワクチン接種を推奨しています。

2022年3月期は、世界的規模で感染拡大した新型コロナウイルス感染症対策として、感染症対策基本行動、テレワーク勤務推奨などを継続しました。また早急なワクチン接種を実現するために、7月から社内医療所にて希望者(約3,500人)に対して職域ワクチン接種を実施。またインドネシアでは現地行政との協力のもと、従業員のほか家族や事業所内で働く請負業者の方々(生産工程、清掃、食堂、社用車運転など)まで対象を拡大して接種を実施しました。これらの活動および必要な情報はイントラサイトなどを通じて国内外のヤマハグループ内で常に共有され、『One Yamaha!』として世界中の拠点へと活動に広がりをみせています。

虫の侵入を防ぐエアカーテンの設置
食堂に設置の飛沫感染予防パーテーション
インドネシアでのワクチン職域接種の風景

海外駐在者への健康支援

2022年3月期も新型コロナウイルス感染拡大による、駐在者の行動が制限される状況が続きました。制限が長期化することによる心身への負担に対するケアが必要と考え、帰国できない駐在者に対しては医療スタッフによるWeb健康相談なども実施しました。

ヤマハ(株)保健師による駐在者対象のWeb健康相談の様子(YMPI/インドネシア)

海外駐在者の健康管理のサポート

新型コロナウイルス感染症対策として、昨年から海外駐在者を対象に個別のWeb健康相談を実施しています。これらを定着化させるため、現地管理者と医療スタッフによる情報交換・情報共有を行い、現地の状況把握および定期健診の受診状況を確認しました。

また、一時帰国時に定期健診の受診を希望する駐在者には、効率よく帰国時の定期健診受診を受けられるような体制構築、サポートをしています。

海外駐在者向けのWeb健康相談

ヤマハグループでは、従業員の安全を第一に考え、海外駐在者や海外出張者の事故・事件の未然防止と緊急事態発生時対応の両面からの対策を講じています。

外務省や民間セキュリティ会社、海外現地法人の駐在者や帰任者などから各国・地域の危険情報を収集・分析し、注意喚起や出張規制の形で社内に展開しているほか、海外赴任者に対する赴任前研修と同時に、帯同する家族を対象とした研修も別途実施しています。

また、初めての海外出張者などを対象とした海外出張オリエンテーションでは、海外安全のための基礎知識から緊急時の措置に至る安全教育を行っています。

2022年3月期の研修実績
内容 対象者 実施回数 受講者数
海外赴任前研修 従業員 15回 44人
帯同家族 7回 32人
海外出張オリエンテーション 初めての海外出張者など 0回 0人

「健康経営銘柄」および「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定

2022年3月、ヤマハ(株)は、東京証券取引所の上場会社の中から「健康経営※4」に優れた企業を選定する健康経営銘柄」に初めて選ばれました。これは、経済産業省と東京証券取引所が共同で、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に「健康経営」を実践する企業を選定するものとして2015年から開始されたものです。また、経済産業省・日本健康会議が主催する「健康経営優良法人認定制度」においても、当社と当社子会社の(株)ヤマハコーポレートサービスが「健康経営優良法人(ホワイト500)」に選定されました。今回の選定においては、社内診療所での定期健康診断(誕生月健診)の実施やメンタルヘルス対策、喫煙対策による喫煙者率の大幅低下など、当社グループが実践する従業員の健康管理に関する取り組みが評価されました。

  • ※4 従業員などの健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること
【画像】健康経営銘柄
[ ロゴ ] 健康経営優良法人