人材育成

人材育成の取り組み

ヤマハグループは人材の多様性を新たな価値創造の源泉と考え、あらゆる人材に対し、能力開発およびキャリアアップの機会を公平に差別なく提供することに努めています。「意欲を持って、自らの『役割』を果たし、常に一歩先を目指す人を応援する」という考えのもと、従業員一人一人が存分に能力を発揮し、自己実現を図りながらプロフェッショナルへと成長するための施策を講じています。

教育・研修制度の整備

人材育成を計画的に進めるために、ヤマハグループ全体に適用する人材教育に関するガイドラインを制定しています。このガイドラインに基づいて、グローバルに通用する人材の育成を軸に、能力向上とキャリア開発を両輪とした教育・研修制度を整備し、目的や対象に応じた人材育成プログラムを実施しています。

コロナ禍による制約を受けた中でも、動画を用いたe-ラーニングの活用、オンライン会議ツールの特性を生かした対話中心の研修プログラムなど、教育効果の高い研修が実施できています。

2023年3月期、ヤマハ(株)従業員が1年間に受講した研修の平均時間は一人当たり43時間でした。

主な教育・研修制度(日本国内)

  • 階層別研修:キャリアステージに応じた個々のレベルアップ(新入社員、管理職、部門長ほか)
  • 選抜型研修:事業拠点のリーダー・管理職の育成
  • YGMP(Yamaha Global Management Plan):海外のローカル人材を含む選抜型リーダー育成研修
  • キャリア研修:自律的キャリア開発のマインドセット、キャリア自律に対する支援者育成
  • スキル×パッション・マネジメント研修:状況対応型リーダーシップスキルの習得
  • ヤマハ高等技能学校、ヤマハ技術研修所:生産職場の監督者、核となる人材の育成
  • 役割機能強化研修:語学力や技術分野の強化を目的とした講座
  • 育児休職サポート研修:育児休職からの復職(予定)者およびその上司を対象にそれぞれ実施し、スムーズな職場復帰とキャリア形成をサポート
  • 海外・語学研修、TOEIC社内公開試験
  • ヤマハビジネススクール:従業員の自発的な学習を支援する通信教育
  • セカンドライフ準備セミナー:60歳以降の生活と働き方に関する情報提供

成長と活躍の支援

ヤマハグループでは、従業員の意欲と専門性に寄り添った成果評価と成長支援を行っています。

現状の仕事に対する適性や保有するスキル、キャリア志向を棚卸しし、本人と上司で対話する面談機会を年1回設けています。2022年3月期からは、本人と上司双方に、面談の進め方を示したサポートキットやキャリア開発意欲を引き出し向上させるための情報をあらかじめ提供し、有効な面談機会をサポートしました。また、2023年3月期からは、自律的キャリア開発ワークショップ、キャリア開発支援者研修を新規に立ち上げ、自律的なキャリア形成の意欲を高め、自律的・自発的に組織に貢献する人材を育成するための教育を充実させました。2024年3月期は、キャリア面談の強化に向けたライン長向けのキャリア面談教育を計画中です。

加えて、ヤマハ(株)では若年層育成の一環として、入社2年目、4年目、6年目の節目に、従業員本人と会社(人事部門スタッフ)が育成目標に対する成長度合いやキャリアプランについて確認し、意見を交わす面談を実施しています。社会人基礎力の醸成とともに、働きがい向上や業務上の悩み・不安の解消にもつながるよう、会社として全面的な支援を行っています。また、これらの面談が適正な評価や効果的な成長支援につながるよう、面談を行う管理職に対する評価者研修やOJT担当者を対象者としたOJTトレーナー研修も実施しています。

キャリアの分断につながりやすい育児休職については、休職者本人と会社の間での連絡・情報共有スキームを整えるとともに、本人および上司双方への研修により、意識・スキル両面からのサポートによるスムーズな職場復帰を促しています。

マネジメント人材の育成

あらゆる人材に対し、能力開発およびキャリアアップの機会を公平かつ差別なく提供することを基本に、事業活動の基幹となるマネジメント人材の育成に取り組んでいます。中でも次世代経営・中核人材の創出については、中核となるポジションをグローバルで一元管理し、後継者計画を推進するための仕組みづくりを進めています。

マネジメント人材の育成全般については、人材教育に関するガイドラインに基づいてグループ全体、グローバル規模で階層別研修を徹底しています。ヤマハ(株)では階層別研修を通じてキャリアステージに応じた個々のレベルアップを図るとともに、2023年3月期は階層別研修として基幹部門長研修および部長職研修の2期目を実施し、経営の中核を担う幹部向け研修を強化しました。2024年3月期はYGMP(「主な教育・研修制度」を参照)第3期を計画、国内外グループ企業のコアポジション人材に対し、2024年3月期に実施するプログラムを計画中です。

ものづくりを支える人材の育成

ヤマハグループは、ものづくり領域の発展に資する人材創出に取り組んでいます。

“Made in Yamaha”品質を維持・向上させるために各生産拠点の機能・役割の明確化を図り、それぞれにおいてものづくりを支える人材の育成を推進しています。高付加価値商品の生産拠点である日本国内の各工場では、競争力のある製造技術開発を支える人材育成、生産職場の中核人材育成(ヤマハ高等技能学校・ヤマハ技術研修所)、楽器製造におけるコア技能の伝承(From to運動)に注力しています。中国、インドネシア、マレーシア、インドの各工場においては、日本から技術者・監督者を派遣し、日本で培われたものづくりの基幹技術をベースに人材の育成を進めるとともに、生産拠点共通の階層別研修により各工場の中核人材育成を行っています。仕事力と人間力を高める共通カリキュラムで中国・東南アジアエリアごとに現地従業員延べ100名程の講師により、200名規模の製造中核人材の現地・現場・現物・現実での人材育成を継続し、高品質な生産拠点としての基盤を強化しています。

技術者の育成・活躍推進

企業理念に掲げる「私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」に基づいて、新たな価値創造につながるテクノロジーの探求と技術者の育成・活躍促進に取り組んでいます。従来から、ヤマハグループでは、コア技術であるDSP(デジタル信号処理)技術講座、アナログ回路講座などにより商品開発を支える技術者育成に努めてきました。2023年には、生産技術講座として、木材塗装技術、めっき、設備制御技術など合計7講座を商品開発部門の技術者向けに新たに開講し、商品開発部門と生産部門の技術シナジーの強化を図っています。

主な技術者育成・活躍施策

  • 各技術テーマの講座・アカデミー
  • 組織横断の技術フォーラムなど技術者間の情報共有・交流の場
  • 発明報奨制度

Technical Listening Training

音・音楽領域での事業展開にあたって、音の物理量を正しく理解し他人に正確に伝えられる能力が重要です。ヤマハグループでは技術者をはじめ音に関わる業務に携わる従業員に向け、九州大学で約50年の実績がある教育課程「聴能形成」の技術移転を受け「Technical Listening Training」として開講しています。音の物理量の変化と聴こえの印象の違いを系統立てて体験し、聴いた音の特徴を物理量として正しく理解する能力の向上、音に関する基礎知識の習得を図るもので、これまでに延べ1,000名を超える方が受講しています。