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読売新聞│配信日:2020年1月27日│配信テーマ:Jポップ  

[評]COUNTDOWN JAPAN 19/20


 ◆「髭男」藤原 圧倒的ボーカル 
 年末年始をまたいで行われる恒例の音楽フェスティバル。初日の12月28日は、NHK紅白歌合戦に初出場を決めた気鋭のバンド、ビルボードジャパンの年間トップ・アーティスト……。2019年の「顔」がこれでもかと並んでいた。
 King Gnuは19年、大きく知名度を上げたバンド。作詞作曲を手がける常田大希のワンマンかと思いきや、とんでもない。もちろん常田は豪胆なギターを聴かせ、時に鍵盤(けんばん)に向かい、時に拡声機を取り出しては、多才さをたたきつける。その土台にはベースの新井和輝、ドラムスの勢喜遊が生み出す精緻(せいち)なリズムがある。何よりの聴かせどころは高音の井口理、低音の常田というツインボーカル。裏声を駆使し、美しく力強い井口の歌声が耳から離れない。要するにこのバンド、全員ウマい。日本のロックの水準を一息で押し上げたかのような衝撃があった。
 もう一組、19年にブレイクしたバンド、Official髭男dism。ビートルズのように4人おそろいのジャケットで登場したこのバンド、ボーカルの藤原聡の存在感が圧倒的だ。少年のような声質ながら空間を貫くパワフルな歌。ホーン隊が登場し、ギターの小笹大輔がこれでもかとギターを弾き倒す。曲ごとに彩りが異なり飽きさせないのは、ライブバンドたるゆえんだろう。数万人入る広い会場が、ライブハウスのようにぎゅうぎゅうだった。
 あいみょんは人気の「マリーゴールド」や「君はロックを聴かない」を淡々と、誠実に歌った。ほかのバンドのように客をあおったりはしない。これも一つのあり方。静かに聴けた分、歌が染みこんでくるかのようだった。
 厳しい音楽業界で、ミュージシャンが頭一つ抜けるには理由があることがよく分かるフェスだった。これだけのメンツをいっぺんに見られる機会は、もうない気がする。(鶴田裕介)
 ——千葉・幕張メッセ。

読売新聞2020年1月16日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:鶴田裕介

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