[Main visual] WOMEN WHO MAKE WAVES 2024
ブランドストーリー

WOMEN WHO MAKE WAVES 2024

音楽の力で未来を切り拓く

だれもが尊重され、自由に自分らしさを表現できる世の中を目指して。
世界中から、音楽業界の未来を担う女性たちの声を届けます。

Yvette Young

ソングライター、ミュージシャン、ビジュアルアーティスト
音楽は治療薬のようなものです。その考え方が私の創作や行動を支えています。

AMERICAS北米・中南米

[写真] Yvette Young

Yvette Young

ソングライター、ミュージシャン、ビジュアルアーティスト

私はYvette Youngです。ギタリストであり、ピアニスト、バイオリニスト、ビジュアルアーティスト、ソングライターでもあります。ギターを始めたのは、まさに人生のどん底にいたときです。そのころ私は摂食障害を克服しようとして、とてつもない無力感に苛まれていました。ですが曲を書くことで、自分には何もないと感じるときにも、自分自身の価値を見出し、自己表現できるようになったのです。

音楽は治療薬のようなものです。その考え方が私の創作や行動を支えています。今でも誰にも邪魔されない自分の感情表現のためにギターを弾いていますが、音楽が癒し、精神を統一し、目的を見いだすための素晴らしいツールだという私の信念を広めることにも全力を注いでいます。

音楽は本当に人々の救いとなっています。だからこそ、これが私の目的となったのだと思います。音楽は私の感情表現であり、人々を元気づける手段なのです。

[写真] Charmain Dennison

Charmain Dennison

シンセサイザー、ポータブルキーボード、デジタルピアノマーケティングマネジャー(ヤマハ・カナダ・ミュージック)

伝統的な音楽院のピアノ科の学生から、ヤマハ・カナダの電子楽器スペシャリストを経て、キーボードマーケティングマネジャーに抜擢されたCharmainの道のりは、困難を乗り越える力と情熱の証です。ヤマハ・カナダで22年以上献身的に勤務する彼女は、先駆者であり、その役割を担う数少ない女性の一人でもあります。彼女は、音楽業界における障壁を打ち破ることの重要性を述べています。

私を突き動かすもの、それは、自分独自の人生経験から、提供できるものがあるという信念です。プロとして、そして個人としても、意義のある貢献をしたいと考えています。
音楽を演奏することで、他では出会えなかったであろう規律と創造性を身につけることができました。音楽は、癒しの力を持った喜びの源であり、ステージ上でもその他の場所でも、自己表現をするという自信を与えてくれました。

音楽には本来、世界の共通言語として誰とでも通じ合える包容力があります。包容力が足りないとすれば、それは障壁が生じた結果です。私の使命は、黒人女性の先例となり、多様な経験と考えをもたらし、業界の文化に影響を与えることです。
私の貢献で音楽業界の多様性が高まり、それが例外ではなく当たり前になるような世界を思い描いています。

音楽界での私の夢をうまく言葉にできませんが、多様なオーディエンスのみなさんへのメッセージはシンプルです。それぞれの分野で一番になってください。世界に向かって全力を尽くせば、世界も全力で返してくれるはずです。妥協しないでください。

[写真] Cintia Concia

Cintia Concia

ドラマー、NPO(非営利団体)“Ella suena” リーダー

Cintiaは、女性たちの活躍を推進する活動「Ella Sueña」の創設者です。この活動はもともと、ドラム奏者を対象としていましたが、のちに他の楽器の奏者にも広がりました。パンデミックを機に活動がさらに大きくなり、世界中のアーティストたちと共に「Ella Sueña国際フェスティバル」というオンライン・イベントを立ち上げるようになりました。このようにして、音楽に携わる500名の女性たちのネットワークができました。

また、Cintiaと彼女の夫は、より多くの女性がミュージシャンとして成功するという夢をかなえられるよう、男性が育児に関わることの重要性について訴えています。
「母親になりたい気持ちから、仕事も続けたいという思いまで、女性たちに起こることを認識しながら活動を続けています。女性たちが得られるチャンスの水準を変えていく活動として、私たち女性が活用すべきものなのです」と、Cintiaは述べています。

[写真] Flávia Katerine Sousa Serqueira

Flávia Katerine Sousa Serqueira

キーボーディスト

私が音楽を始めたきっかけは、普通とはまったく違いました。10歳のときに家の裏庭でキーボードを見つけ、弾き方を学びたいという大きな気持ちが自分の中からあふれてきました。様々な逆境や障害がありましたが、何があっても、私は学ぶこと、知識を求めることをやめませんでした。

私の母は、戦士のように頼もしい女性です。親友のようでもあり、そして特に、夢を追う私を誰よりも励ましてくれる存在です。そんな母から、私はたくさんの刺激を受けています。母は私にとって、望むことは何でも叶うと信じなさいと背中を押し、励ましてくれた最初の人だったからです。今では、音楽を作る他の女性からも刺激を受けています。女性だからこそ直面する困難が存在するということを、私は知っているからです。

人生において音楽は私にいろいろなことを教えてくれますが、中でも、私たちは夢を超えられるということ、そして、叶うと信じられるものには限界がないということを教わりました。

もっと多くの女性が、批判されることや支持を得られないことを恐れずに自分の作品を世界に発信し、お互いを励まし、刺激し合うべきだと、私は強く思います。
数年前と比べると今では、音楽という分野における女性の存在感はさらに高まっています。性別ではなく、各々が成し遂げてきたことや努力を念頭に置き、個人の違いに心から共感を寄せることがとても重要です。
私の活動や経験がこれからもより多くの女性にとっても刺激となることを、私は願っています。私たちは夢に向かって努力しており、その努力こそが私たちの原動力となります。音楽への愛はジャンルの壁を超えるのです。

[写真] Ilse Santana

Ilse Santana

ドラマー

メキシコシティ出身のIlse Santanaはプロのドラマーです。男性のドラマーが多いメキシコで、Ilseはその演奏技術で自分の地位を築いてきました。

Ilseの話によると、音楽業界は女性がより参加しやすい環境作りに寄与することができるといいます。
「私たちは、女性もドラムや他の楽器を演奏するというイメージを当然だと思えるものにしなければなりません。例えばマリアッチ楽団の女性たちがギタロン(メキシコのベース・ギター)を弾いたり、他の女性がチューバのようなとても重い楽器を吹くというイメージです。ソーシャル・メディア上でこういったイメージを当然のものとし、女性がこのような楽器を演奏することは何もおかしなことではなく、女性がミュージシャンになることを、医師やシェフ、またはファッション・デザイナーになるのと同様にごく自然なことと受け止められるようにしていく必要があります」

[写真] Maria Finkelmeier

Maria Finkelmeier

打楽器奏者、作曲家、教育者、ニューメディア・アーティスト

演奏を始めたばかりのころ、私はパーカッションがどんなものを使っても演奏できる、というところに魅力を感じていました。これは起業家の考え方にも通じるのではないかと思います。私たちは常に活動的で好奇心が旺盛です。

私はアートと音楽を通じて、私たちにとっての「今」という時間を映し出すストーリーを作りたいと思っています。その素材に、現代の世界で私たちが見聞きするものに関係する音や映像を使用します。私たちアーティストの役目は、この世界の住人であること、そして世界を何らかの方法で解釈して、みなさんに伝えることです。これは私の信念ですが、インスピレーションを感じ取る気持ちを持ち続けることが非常に大切です。自身を取り巻くものをなんでも受け入れる姿勢でいれば、インスピレーションはどこにいても感じ取ることができます。

[写真] Nina Vais

Nina Vais

バイオリニスト、プロデューサー、パフォーマー

私はNina Vaisです。アルゼンチン出身でバイオリニスト、プロデューサー、パフォーマーをしています。私は自分のことを、繊細で情熱的な人間だと考えています。10歳でバイオリンを始め、最終的にクラッシックの教育を受けたバイオリニストとなりました。

怪我で3年間演奏活動を休止した後、指揮と音楽制作を学びはじめ、結果的に音楽の自由で創造的な部分に惹かれている自分に気が付きました。そうしてクラッシック音楽を現代のスタイルと融合するという、自身のプロジェクトを始めました。作曲と演奏は私にとって人生をかけた使命であり、人々の心を動かし、創造力をもって彼らに曲を届けて、世界に自分の足跡を残したいという願いが原動力となっています。

私は、女性同士の連帯、つまりライバル関係ではなく共感を育みたいと考えています。そして、姉妹や友人としての絆を深めるため、夢を追いかけ、先人たちを敬い、団結することの大切さを伝えたいと願っています。

ASIA, OCEANIAアジア・オセアニア

[写真] RINA

RINA

ジャズピアニスト、作曲家

私は日常生活での人との関わりや経験は自分の音楽に反映されると考えています。そのため、嬉しさや悲しみといった素朴な感情も大切にして、自分と向き合って生きることを意識しています。自分の人間性を磨いて、それをそのまま音楽で表現したいと常に思っています。

これまで音楽活動をする中で不快な思いや不公平を感じたことは無かったです。しかし、 よくも悪くも「女性なのに…女性だから…」と言われたときに、まだ性別による偏見があるのかなと感じていました。音楽業界に限らず、先ずは性別ではなく、一人の人間として互いに向き合い、理解していくことでそういった偏見は無くなっていくと思います。

また、これはクラシックやジャズな どの音楽のジャンル分けにも似ていると考えています。ジャンルが分かれていますが、元は 同じ音楽です。その垣根が低くなれば、お客さまも幅広い演奏を聴きに足を運びやすくなると思います。私もジャズやクラシックのジャンルに縛られず、私の音楽そのものを楽しんでもらえる、そんなピアニストになりたいと願っています。

[写真] Aarti Phuloria

Aarti Phuloria

音楽講師

私は音楽が大好きです。音楽の勉強を続けながら、デリー・パブリック・スクール・ハルドワニで音楽講師をしています。音楽を学んで20年、教えるようになって12年です。音楽は私の人生のすべてです。音楽は感情表現を豊かにし、記憶力や集中力を高め、集団パフォーマンスによりチームワークを育みます。生涯の楽しみや充実感の源にだって、なるかもしれません。また、ストレス軽減や総合的なメンタル・ウェルビーイングにもつながると考えられてきました。

より平等な音楽業界の実現のために必要なのは、指導的立場の人たちの多様性に重きを置くこと、過少評価されているグループのアーティストたちを支援すること、報酬の格差に取り組むこと、あらゆるジャンルで公平なレプリゼンテーションを確保することです。才能ある人が一切の障壁を感じず、バックグラウンドに関わらずすべての人が自分の声とストーリーを届けるチャンスを平等に得られる、そんな音楽業界になることが私の夢です。

困難にぶつかったときは、逆境が人を強くすることもあると思い出してください。ひとつひとつの障害物を、成長の機会として前向きに受け入れましょう。レジリエンスがあれば、ハードルを前進のための足場に変えることができます。あなたには能力も、レジリエンスも、克服する力もあります。前進を続ければ、あなたの旅路は強さと成功に満ちたものになります。
困難が生じても道をふさがれたとは考えずに、あなたの人生の物語の一場面として捉えましょう。そこから得た学びは、あなた自身を形成し精神を鍛えるものですから、大切にしましょう。周りに助けを求めてもいいのだと、覚えておいてください。助けを求めることができるのは強さのしるしです。自分の能力を信じ、常に目標に集中しましょう。どんな嵐の中も進んでいける強さが自分の中にあることを信じましょう。あなたの旅路はあなただけのものです。前進への一歩一歩が、あなたの勇気と粘り強さのあかしです。

[写真] Kong Seong-yeon

Kong Seong-yeon

打楽器奏者

私が音楽を始めたのは、マリンバの音色と響きに魅力を感じたからです。現在は、ヨーロッパで勉強しながら演奏活動をしています。慣れ親しんだ環境を離れ、新しい生活習慣や人々との関係に適応しようとしています。このような挑戦の中で、私はさまざまな音楽を演奏することを通して、聴衆とコミュニケーションをとる方法を学んでいます。

音楽の分野も、目まぐるしく変化しているようです。多くの女性アーティストが声を上げ、それが受け入れられるようになっています。私たちは勇気をもって意見を述べ、お互いに変化を求めなければなりません。音楽業界には色んな人たちがいて、共に仕事をしているのですから、こういった姿勢は特に大切です。お互いへの敬意と、多様性を受け入れる努力、そしてあらゆる人への愛情が必要です。それが変化をもたらします。

大切なのは、自分がしたいこと、つまり音楽に携わっているという事実なのだと実感しています。私は常にアーティストでありたいと思っています。私が長年の夢を持ち続けられたのは、自分の気持ちに集中し、目標だけを見据えて決して諦めなかったからです。多くの女性演奏者たちが、大きな夢を持ち、広い世界を経験し、遠く離れた土地でも聴かれるような音楽を奏で、夢をあきらめず、夢と共に生きていくことを応援したいと思います。

私の目標は、もっとさまざまな観客と出会い、パーカッションの魅力をさらに広く届けることです。私の音楽が人々の生活の一部となり、音楽を通して意思を伝えたり、気持ちや感情のやり取りができるようになることを願っています。そして、私の音楽が、少しでも世界中の人々の役に立つことを願っています。

[写真] Le Thi Quynh Thy (PAY)

Le Thi Quynh Thy (PAY)

歌手、作曲家

私は音楽一家の出身で、両親との絆が深く、その影響を強く受けてきました。幼い頃に、自分には歌の才能があると気づき、音楽の勉強を始めました。ギターはその頃からずっと愛着のある楽器です。

今、自分の好きな仕事ができていることに感謝しています。音楽からインスピレーションを得る道を進めば進むほど、自分自身についてより多くのことを発見し、理解することができます。
音楽を演奏するときは、愛を込めて自分自身の物語を伝え、ひとつひとつのメロディーに魂を込めているように感じます。それが私の強みです。

音楽に関しては、ただひたむきにそれに取り組んでいるだけで、音楽業界のあらゆる壁を簡単に打ち破ることができると考えています。特に音楽は、すべての人のためのものだからです。自分の音楽技術に加えて、必要な要素は、音楽を通して私がみなさんにお届けする穏やかなハーモニーとポジティブなエネルギーです。

音楽は感情や個性を表現する手段です。世界中のすべての女性が、自分の個性を常に信じ、音楽を通して一人でも多くの人たちに素晴らしい価値をもたらしてくれることを願っています。

[写真] Louisa Trewartha

Louisa Trewartha

作曲家、トランペット奏者、教育者

音楽がなかったら、自分を見失っていたかもしれません!私は様々なことに挑戦したいと思っているので、これまでに非常にたくさんの分野に携わってきました。特に作曲をしているときは、常に新しいことを学びたいと思っています。

私はとても多くの人々とのつながりに感謝しています。今では世界中に何百人もの仲間たちがいます。

音楽業界は単なる平等ではなく、公平性がすべてです。音楽を創作し、練習する時間を与えられることが重要です。つまり、スキルを磨くためにアーティストに必要な経済的支援を行い、特権のあるなしに関わらず活躍できるようにすることです。そうなれば、たくさんの女性や女の子に勇気を与えることができます。

音楽は、生涯をかけて取り組んでいく、ゆっくりと燃える情熱のようなものです。私は今取り組んでいることが本当に大好きで、これからも続けたいと思っています。
自分自身を信じ、そして、信頼し、尊敬できる意見を持つ人たちを自分の周りに置くことが大事です。

[写真] LU Wen-Tze

LU Wen-Tze

作曲家、中国文化大学音楽学科長

音楽は私の身体に流れ込んでくる栄養分のようなものです。現代社会では、健康意識の高まりからサプリメントが化粧品に取って代わるようになっています。音楽もサプリメントと同様に、体内に摂取され、浸透して、心身の状態を本質的な部分で形作ったり整えたりできるものです。

私は幼少期にピアノを習い始め、著名な作曲家が男性ばかりだった頃に作曲の世界に飛び込みました。ジェンダーについてこれまで気に留めたことはありません。代名詞が何であれ、私は自分自身を「作曲家」であると考えていて、ただ自分の音楽にのみ意識を向けているからです。音楽がひとつの言語だとすれば、男性と女性を不均衡な状態に置くのではなく、それぞれの個性を育てていくべきです。

30年以上教育に携わってきましたが、「教育者のアプローチ方法を見直す時期が来ている」と、強く感じています。そうすることで、次世代の音楽家たちは知識を得たり、必要なスキルを伸ばしたりすることへの情熱を改めて発見することができるでしょう。

私の心からのアドバイスは、どんな分野を選択しても、「集中、情熱、決心」の3つの特性を丁寧に育てることです。同時に、「知識、創造性、観察」の3つの能力も大切にしましょう。この3つの特性と3つの能力を縦糸や横糸のように使い、人生という布を織り上げていけば、きっと皆さんの人生は満足できるものになると信じています。

[写真] Mihika Sansare

Mihika Sansare

ギタリスト

私はMihika Sansare、フィンガー・スタイルのギタリストです。ギターを学ぶようになって6年になりますが、この過程は本当に素晴らしいものでした。父も母も音楽が大好きで、私を音楽へと導いてくれました。そして、職業として音楽と向き合うようになった今、学びには終わりがないと実感しています。
音楽を生業としている周囲の人たちから刺激を受けています。また、現在はアコースティック・ギターも教えているのですが、子供たちが上達するのを見るのは最高の気分です。

何事もそうですが、音楽も進化しています。私たちはそのことを受け入れつつ、自分のルーツを大切にしなければなりません。努力を重ね、音楽業界でやっていくのは決して簡単なことではありませんが、覚悟を持てば成功できるでしょう。私にとっては、ソーシャル・メディアこそ夢をかなえるための最高の場所です。なぜなら、世界に届くステージが解放されている場所なんて、他にないからです!

目標に向かって突き進もう!これは、私が前へ進み続けるための言葉です。クリエイティブな道を仕事に選べば、何事も簡単にはいきません。しかし才能はすべてを凌駕します。
忍耐力と練習量を兼ね備えたひたむきな人に勝てる者などいません。大きな目標を掲げ、毎朝目覚めるたびに将来を思い描いてください。それがあなたの原動力となるでしょう。
立ち止まることもなければ、終わりがあるわけでもない、まさに音楽の道には終わりがないのです!

[写真] NanaFormosa パーカッション・デュオ

NanaFormosa パーカッション・デュオ

Cheng, Ya-Hsin
Chang, Yu-Ying

女性ミュージシャンとしてパーカッションの世界で活動していると、生物学的に避けられない壁にぶつかることがあります。それは男性の奏者にとって簡単に出せるような特定のサウンドを演奏するときです。しかし、この生物学的な違いは単に不利というわけではなく、有利な点もあるというのが私の見方です。私たち女性の筋肉や骨は男性に比べて細身であるからこそ、「力を抜く」ことや、望むサウンドを実現するために多様な技法を習得することの重要性を理解しやすいようです。また、体格の小さい子どもたちを指導しやすいことも強みのひとつと言えます。
私自身の役目は、私たちの愛する楽しい景色を味わうための旅へ人々を連れていくガイドだと感じています。私はこの過程で常に興奮と喜びをいっぱいに感じています。時には、皆をひとつの方向へ導くことのできる瞬間があったり、そろって未知の領域に足を踏み入れる瞬間があったりします。私にとってこれは、心から目標にしている「教えることが一番の学習になる」を体現するものです。― Cheng, Ya-Hsin

音楽は私にとって、感情を表現し解き放つための一番身近で正直な言葉です。家族との結び付きを上回るほど、音楽を身近に感じることも沢山あります。
人に教えるという領域では、生徒全員に生まれつきの才能があるわけではないとわかるようになりました。輝きを見せ、すぐに成功の糸口をつかむ生徒もいる一方で、物事を吸収し成長するのに時間がかかる生徒もいるでしょう。しかし、こうした生徒の努力が実を結ぶのを目の当たりにすることに素晴らしいやりがいを感じます。技術の進歩した現代では、生徒たちは豊富な情報に恵まれています。例えばクロスオーバー音楽など、新しいアイデアに遅れを取らないことは、教育者にとっての共通の課題となっています。だからこそ、私は日頃から生徒に対して多様な視点を受け入れるように伝えています。聴いたり、観察したりする対象を広くして、パーカッションの領域を超えて冒険するように勧めています。こうして獲得した知見が下地となり、活気と想像力に満ちた音楽の世界を描いていけるのだと私は信じています。― Chang, Yu-Ying

[写真] Sally Yiew

Sally Yiew

ミュージシャン、起業家、ギタリスト

15歳で音楽の旅路についたミュージシャン志望のSally Yiewは、バンドの生演奏の魅力に深く心を動かされました。その瞬間、ギターの探求という魅力的な世界に飛び込む決断を自ら下したのです。アコースティックギターから始め、すぐにエレキギターを取り入れた彼女は、自身の音楽的アイデンティティを形づくる尽きることのない情熱を見出しました。
信頼できる仲間のようなエレキギターは、ロックやメタル音楽の直線的なリズムや表現豊かな歌詞に対する深い愛情を持続させるのに重要な役割を果たしてきました。それは感情を伝える船となり、独自の音楽の道を切り開いてきました。

音楽の普遍性を唱えている彼女は、音楽によって言語や年齢といった壁を越えられると熱く信じています。女性たちが音楽表現に込める内なる感情の深みを認識し、心の奥底にある感情に共鳴するメロディーを選ぶ権利を強く支持しています。
今も続く音楽の旅路において、ロックというジャンルを単なる音楽のスタイルではなく文化と捉え、そこに活力を与えたいと願っています。自由な音楽表現を推奨する彼女は、同じように情熱を持つ仲間たちに、絶え間なく変わる音楽トレンドの流れの中で、自身の芸術的スタイルに忠実であるよう呼びかけながら、音楽の芸術性を織り込んだ豊かで多様性に富んだタペストリーに貢献しています。

[写真] Tarn Softwhip

Tarn Softwhip

ドラマー

8歳のときに学校でタイの伝統楽器「ラナト・エク」を演奏してみようと思ったことから、Tarnの音楽人生が始まりました。その後11歳になり、女子校では柔らかい音を奏でる楽器を演奏する生徒が多い中、固定観念を打ち破り、自身の個性を追い求め、ドラマーとしての道を選びました。それ以来、音楽はTarnの人生に無くてはならないものになりました。

Tarnにとって音楽は、日常生活に欠かせない役割を果たしています。音楽は息をするのと同じぐらいに当たり前のものであり、演奏するときも聴くときも、喜び、自由、解放感をもたらしてくれます。彼女が特に伝えたいのは、リズムの力です。さまざまな背景を持つ人たちが、リズムのおかげであらゆる音楽をさらに楽しく感じ、親しみを持てるようになるのです。

また、Tarnは女性ドラマーのロール・モデルである川口千里氏と同様に、音楽業界における性別の固定観念をなくし、性別や年齢に関係なく音楽がもっと身近なものになることを目指しています。彼女はテクノロジーの恩恵で音楽を楽しむ人が増えたと感じていますが、もっと音楽教育が受けやすくなるよう、手頃な価格の楽器の必要性も強調しています。

Tarnは人々に、音楽への愛を追求するように働きかけています。音楽は平等であり、誰でも楽器を演奏できると強く信じており、誰もが挑戦して自分の可能性を発見してほしいと訴えています。
Tarnの音楽人生は、音楽が普遍的なものであることを教えてくれます。音楽に境界はありません。音楽をやってみたいという気持ちを解き放ったとき、そこには無限の可能性が広がるのです。

[写真] Tshering Bhutia

Tshering Bhutia

シンガーソングライター

私はTshering Bhutiaです。グジャラート州のアフマダーバードを拠点にするシンガーソングライターです。インディー・フォークとジャズを中心に音楽活動をしています。長年にわたって、私と同じように音楽への興味を持つ人たちと出会い続けてきました。幸運なことだと思います。私が成長できたのは間違いなくこうした出会いのおかげです。自由な形式で詞を書いて歌にしていくときは、最高の高揚感に包まれます。

英語歌詞のインディー・ミュージックの活動は、特にアフマダーバードのような地域では続けるのが大変です。需要があまり多くないため、報酬を得るのも困難です。ミュージシャンのために、こうした状況をコントロールできる仕組みがあればと願っています。

あるがままに、自分が楽しいと思える曲を作りましょう。地元のアーティストを支援しましょう。今は小さなコミュニティであっても、皆で一緒に成長していける余地があります。

[写真] Xiao Geng

Xiao Geng

音楽教室講師

私と音楽とのつながりは、美しいメロディーへの憧れから始まりました。習得への道のりは必ずしも平坦ではありませんでしたが、勤勉さと粘り強さで、次第に音楽がもたらす喜びと達成感を感じられるようになりました。

初心者から始まり、今では音楽の世界で子どもたちを導く立場になりました。子どもたちが音楽を愛するようになり、音楽を楽しみ、創造するのを目の当たりにして、私の中に責任感が芽生えてきました。それがもっと向上したいと思う大きなモチベーションになりました。私は音楽が伝える力を信じています。演奏はテクニックを見せるためだけでなく、自分の身体、感情、気持ちを表現するものです。演奏が終わったときの充実感は、私にとって最も素晴らしいものであり、それが"Make Waves"の意味なのかもしれません。

音楽は平等な芸術です。だれもがそれぞれの美学を持っています。音楽業界に身を置く者として、個人間の尊重が最も重要であり、それは教師と生徒の間にも、仲間同士にも、世代間にも存在すると信じています。私は、子どもたちが上達し、音楽を楽しめるようになることを心から願っています。教師としては、自分の家庭を大切にしながら、信頼のおける教師でありたいと思っています。

すべての女性は輝く星です!私たちの光が、自分の人生と自分の周りの人たちを照らしますように。勇気を持って夢を追う毎日が、エネルギーと希望に満ちたものになるよう願っています。

EUROPE, MIDDLE EASTヨーロッパ・中東

[写真] Ginevra Pistolesi

Ginevra Pistolesi

ギタリスト

私は12歳でギターを始めました。私が通っていた音楽クラスに女の子は私だけでしたが、当時はあまり深く考えていませんでした。しかし、上達していくにつれて、音楽で生計を立てたいと、はっきりと思うようになりました。

「男性のような演奏をしますね」と私の演奏を聴いた人たちから、声をかけていただくことが本当に多いです。以前は褒め言葉として受け取っていました。究極のロックスターは男性の姿をしていると思って育ってきたからです。でも、今では「私は誰かのように演奏しているのではなく、ただ私らしく演奏しています」とお返事しています。
私は、これまで欧州や米国で活動しキャリアを重ねてきました。現在は中東で、メンバー全員が女性のロックバンドで演奏しています。ずっと思い描いていた願いが叶い、誇らしい気持ちです。

私の姿を通して、女の子たちが「自分らしさを失わず、自分だけの人生を追求していこう」そう感じ取ってくれたらと思っています。

[写真] Cicely Balston

Cicely Balston

マスタリングエンジニア、2023年マスタリングエンジニア・オブザイヤー受賞者 (The Music Producers Guild)

私は2013年以来マスタリングに携わり、デジタル音源やアナログレコードなどさまざまな方式を経験して技術を磨いてきました。もともとは学内オーケストラが私の音楽活動の始まりでしたが、音楽やサウンドレコーディングに魅了されたのは大学のときです。

音楽の仕事ができて本当に幸運だと感じています。聴き手と曲との結びつきを強められるように形を整えていくのは、とても面白い作業です。私が1番好きなのは、誰もが自分なりの方法で曲を解釈してよいという点です。曲との結びつきは、高揚感や心洗われる感覚を与えてくれたり、あるいは何かを変える力になったりもします。

音楽制作の世界をインクルーシブにし、幅広いバックグラウンドと多様な声を迎え入れていけば、私たち皆が耳にする音楽の多様性は広がります。平等と多様性の実現に向けた歩みはこれまでにも進められていますが、まだすべきことがあります。限られた空間を巡る争いのために、より大きな問題の前進が妨げられています。たとえば平等に関する問題は、特に英国のアート業界では長引く課題となっています。

インクルーシブを重視し、ステレオタイプを疑い、自分の感じ方への自己認識を養うことが大切です。人脈が重視される音楽業界では、なおさらです。

成功への道筋はひとつではありません。ほかの人たちとコラボレーションし、ショーに参加し、音楽業界やアート界における多様な道筋を広い視野で探しましょう。

[写真] Ramera Abraham

Ramera Abraham

ボーカルプロデューサー、レコーディングエンジニア、2023年ボーカルプロデューサー・オブザイヤー受賞者 (The Music Producers Guild)

音楽一家で育った私は、音楽、ダンス、芸術で何かを作り出したいという、熱い情熱を持っていました。私の父は働き者で、私たち二人の生活のために休む間もなく働いてくれました。そんな父に育てられた私は、何かに秀でたい、特に音楽業界で成功したい、という意欲が沸々と湧いてきました。

私は自分の技術を高めたいと思い、ボーカルプロデューサーとして、さらに多角的な視点が持てるようにエンジニアリングのスキルを磨くことから始めました。音楽業界にいる多くのWomxn(男性と同等に活躍している女性)たちも同じような取り組みを行っています。セルフプロデュースを怠らない女性や、自分を女性・男性と決めつけないノンバイナリーと認識しているアーティストやソングライター兼プロデューサーが評価されている一方で、業界の上位層では依然として格差が存在しています。業界に足を踏み入れたばかりの頃は機会があるものの、Womxnは依然としてヒットチャートではくすぶり、意思決定の場においては過小評価されてしまいます。

Catherine Marksがガーディアン紙で強調したように、障壁があるために、Womxnたちはマネジメント元が見つけられず、成長や前進を後押ししてくれる人たちに紹介されないのです。この障壁を打ち破るには、このような既存の「認識の問題」に対処することが非常に大事なのです。この障壁を破ろうとする変化を、私は音楽業界に対して一番に望んでいます。「女性のエンジニアやプロデューサーと一緒に楽曲を制作したことがない」と皆が言わなくなる日がいつか来ること、これが私の切なる願いです。