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毎日新聞│配信日:2019年4月29日│配信テーマ:Jポップ  その他  

<Topics>由紀さおり新アルバム「BEGINNING」 Jポップで「生の原点」に戻る


 ◇自分のスタイルと最先端、擦り合わせ

 トップの座に就いたことのある歌手や芸能人は「次」のステップを探すのが難しい。レベルは下げられない。同じだと飽きられる。別ジャンルに進むと客が離れる……。ベテランスターの共通の悩みと言える。

 デビュー50周年の由紀さおりは、「歌謡スター」像に加え、姉・安田祥子と組んでの「童謡デュオ」のスター像も持つ。さらに、2010年代になって、アルバム「1969」で示した「国際派ジャズシンガー」の姿まで重なり、これ以上、何が必要か?という位置まで来ている。そんな頂上で示したのが「最初から始める」という大胆なアルバム「BEGINNING」(ユニバーサル)だった。

 「生きた肉体の声で、目の前にいる観客に伝える。これが歌の原点だと思う。また、そこからスタートしたい」と、意図を語る。その背景には、近年、録音やテレビなど歌の現場にはびこるコンピューターやエレクトロニクスの管理がある。

 「テンポやリズムが電気信号になったり、流れを切り刻んでつなぎ合わせたりすると、生き生きとした歌の命がそがれる。その状況を『生の原点』に戻してみようと思った。若い世代が面白がるか、それを見るのも面白い」と余裕も。

 プロデューサーにJポップ界の第一人者・亀田誠治を招き、作家陣にアンジェラ・アキ、水野良樹(いきものがかり)、永積崇(ハナレグミ)など若い世代のアーティストを起用した。

 「いざ、歌入れが始まると、さすがに“ギャップ”を感じることも多かった。言葉遣いや言葉と音の合わせ方、メロディーの流れなど、まさにポップスの最先端。ただ、こちらのスタイルもあるし、両方のいいところの擦り合わせを丁寧に心掛けた」と自信を見せる。ベテランに新たな幕が上がる。【川崎浩】

毎日新聞2019年4月23日東京夕刊(1版)掲載 執筆記者:川崎浩

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