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読売新聞│配信日:2018年4月16日│配信テーマ:Jポップ  

[トレンド]椎名林檎、aiko、宇多田ヒカル 「98世代」鮮烈な個性 


 ◇週刊エンタメ
 椎名林檎。aiko。宇多田ヒカル。3人の名前を聞いて、どんな共通点が思い浮かぶだろうか。答えは二つ。いずれも1998年にデビューし、今年で20周年を迎えるシンガー・ソングライターであること。そして、現在も第一線で活躍していることだ。
 ライブで拡声機で叫ぶなどセンセーショナルに世に出た椎名は、今や他の歌手に曲を提供する作家としても活動する。aikoは一貫して聴き手と距離感の近い楽曲を作り、今も新しいファンから共感を得ている。宇多田は15歳でデビュー。活動休止期間を経て、飾らない「個」を表現し続けている。
 98年にはモーニング娘。や浜崎あゆみらもデビュー。歩んだ道は異なれど、J—POPの歴史を塗り替える存在が次々生まれた。そしてこの年は、日本で最もCDが売れた。音楽ソフトの生産金額は6074億円(日本レコード協会調べ)。これをピークに、CDの売り上げは下がっていく。
 しかしここには、単なる「音楽離れ」で片づけられないややこしさがある。音楽の聴き方は音楽配信、サブスクリプション(定額制・聴き放題)と多種多様に。チャートはアイドル、アニメソングが席巻。ほかは好みが細分化しすぎて、何が流行しているのか分かりにくくなった。一方でライブ市場は拡大し、音楽フェスは毎年大にぎわいだ。
 音楽を取り巻く環境は複雑化し、込み入っている。思えば、98年以前は小室哲哉の時代だった。彼が生んだのが、共通のCDを買い、カラオケで歌う「みんなの音楽」だったとすれば、聴き方も好みも細分化した今は、その反動かもしれない。この時代の転換期に椎名、aiko、宇多田という強烈な個性と創意を備えた存在が生まれ、「一億総細分化時代」を生き抜いてきたことは、振り返ってみれば必然だったのだ。(鶴田裕介)

読売新聞2018年4月 7日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:鶴田裕介

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