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読売新聞│配信日:2018年1月8日│配信テーマ:洋楽  

[評]スロウダイヴ公演 耽美派シューゲイザー健在


1980年代後半から90年代前半にかけ、「シューゲイザー」と呼ばれるサウンドが、英国を中心に流行した。ノイジーな轟(ごう)音ギターと甘い歌の組み合わせが特徴で、根強い人気がある。
 このバンドはシューゲイザーの中でも、ぐっと美しく、幻想的な雰囲気の楽曲で知られる。ニール・ハルステッドとレイチェル・ゴスウェルという男女ボーカルを中心に活動。95年のサードアルバム発表後に解散したが、2017年は22年ぶりの新作アルバムを発表した。
 公演は、昔の曲に「スローモ」など新曲を交えた構成。音の壁とでもいうべき分厚いギターサウンドに圧倒される。ベースやドラムスの音も浮き立つように立体的に響き、全体のバランスがよかった。その隙間からこぼれるように、ニールとレイチェルのシャイな感じのボーカルが聞こえる。レイチェルは喉の調子が万全ではないようだったが、浮遊感のある声は、やはり魅力的だった。
 時に美麗なギターフレーズを交え、「耽美(たんび)派」らしい部分を前面に出す。どこかメランコリックで内省的。それは先輩格のグループ、コクトー・ツインズや現在売り出し中の若手バンド、エックス・エックスらに通じるサウンドで、英国ロックに連綿と受け継がれる美意識のように思えた。この日はシド・バレットの「金色の髪」のカバーも聴かせた。初期ピンク・フロイドの中心人物で、独特のサイケデリックロックは、後進に大きな影響を与えた。強い陶酔感を与えるスロウダイヴの音楽。そのルーツが分かったような気がした。(桜井学)
 ——12月12日、マイナビBLITZ赤坂。

読売新聞2018年1月 4日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:桜井学

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