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読売新聞│配信日:2018年1月8日│配信テーマ:Jポップ  その他  

おかしくも味わい深く 大竹しのぶ アルバムで明石家さんまと共演


 女優の大竹しのぶがアルバム「ち・ち・ち」(ビクター)を出した。元夫の明石家さんまとの共演曲や、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔が手がけた曲などを収録。バラエティーに富んだ楽しい1枚だ。(桜井学)
 以前から歌に取り組んできたが、オリジナルアルバムは久々だ。「18歳でレコードデビューした時のディレクターが『もう一回アルバム作らない?』と言ってくれたんです。自分の好きな人とかに頼んで、歌を作っていただいた」
 さんまが参加した「キライナヒト」は、シンガー・ソングライターの高橋優の作詞・作曲。「優さんは友達で、彼のメッセージソングが好きなんです。『そういう曲がいい』と話していたんですが、私の還暦パーティーで、さんまさんと私の掛け合いを見て『もうこれしか書けない』って」。高橋にとって、2人のやりとりは、よほど印象深かったのだろう。
 微熱で大騒ぎするさんま。2人で映画を見て、夫婦げんかのシーンで噴き出したこと……。様々な思い出がちりばめられている。そして「サヨナラさえも 笑い飛ばしてる」と歌う。「離婚して25年たって、この言葉を歌わせてもらった。嫌な思い出も全部チャラにしてくれるというか、浄化されるというか」。つらいことも、笑いに転化させ乗り越えていく感覚。それがよく出ている。さんまとの軽妙な会話も挿入され、おかしくも、味わい深い曲だ。
 鬼龍院の手による「Miren」は男の女々しさを歌い、2016年のNHK紅白歌合戦で披露したシャンソン「愛の讃歌」では、熱情を力強く表現。松尾スズキが作詞した「変な芸術の先生」は、スイングジャズ風の演奏に乗せて、生徒に恋する教師をコミカルに歌う。
 一方、山崎まさよしによる「願い」は「どうか私でいられますように」「私であればいい 今までもこの先も」と歌う。「私のことを3日ぐらい考えて、作ってくれたそうです」。意志の強い女性像が浮かび上がる。「流された方が楽なこともあると思うんですけど、やっぱり自分にウソをつかないで生きていきたいな」
 近年では、2013年の泉谷しげるの作品に参加。翌年には様々な歌手とデュエットしたカバーアルバムも出した。音楽は人と人を即座に、直接的に結ぶ。そこが大きな魅力という。「初めて会った人でも、一緒に歌った瞬間、心がつながる。ミュージシャンに憧れました。ちゃんと歌手になりたいな」とほほ笑んだ。

読売新聞2018年1月 4日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:桜井学

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