「新しいワークプレイス」を創出する、
ヤマハならではの音環境整備

「働き方改革」が提唱され、労働時間やワークライフバランスの適正化、多様な働き方への対応が推進される中、モバイルワーク・テレワークやオープンスペース型のオフィスの浸透が進んでいます。それらを背景に、人々が働く「ワークプレイス」のあり方が改めて問い直されています。

ヤマハでは、こうした世の中の大きな潮流を見据えて「オフィスの音環境」に着目し、働く人々が高い生産性や豊かな創造性を発揮できるワークプレイスづくりの新たな事業を展開しています。


オフィスやワークの多様なスタイルを、ヤマハの技術が支援

個々の働く環境の変化やワークライフバランスの重視を背景に、「オフィスのあり方」も新しい時代を迎えています。株式会社矢野経済研究所は、「国内ワークスタイル変革ソリューション市場」について、同市場が2020年度には5,000億円を超える規模に成長すると予測しています※1。ヤマハも、さまざまなパートナー企業と協力しながら、自社製品を活用したオフィスでの新しい働き方を世の中に提案しています。

例えば、時間や場所の制約を受けないテレワークが浸透してきましたが、そこでの業務内容はまだ偏っているというのが実状です。メールやスケジュール確認、資料作成が大半であり、スピーカーフォンを使った遠隔会議システムなどは低い利用率にとどまっています。その障壁の1つとなっているのが「音環境」問題です。オフィス内のオープンスペースやモバイルワーカーが仕事を行うカフェなどでは、騒音に悩まされたり、逆に周囲の人の耳が気になったりして、ストレスなく会話や遠隔会議を行うのが難しいこともしばしばです。

そこでヤマハは、これまで別用途で展開していた既存製品を組み合わせてオフィス用途に応用することで、「音環境」問題を解決する提案ができるのではないかと考えました。主に楽器練習などに用いる防音室「アビテックス」や独自技術でサウンドマスキング(会話を他の音で隠す)する「スピーチプライバシーシステム」、これらに遠隔の会話を快適にする「ユニファイドコミュニケーションマイクスピーカーシステム」や室内の響きを整える「調音パネル」を組み合わせることで、音漏れや周囲の音を気にすることなく会話や遠隔会議ができる、オフィス内の快適音空間を実現します。2019年6月には、スピーチプライバシーシステムの新モデル「VSP-2」が発売されました。よりオフィス環境に導入しやすいように、音源となるアンプと音を発するスピーカーを分離させたセパレート型を採用。手のひらにのるコンパクトなスピーカーは壁や天井にも柔軟に設置できて、オフィス空間にごく自然に溶け込みます。

  • ※1 出典:株式会社矢野経済研究所「2018 ワークスタイル変革ソリューション市場の実態と展望(ソリューション編)」(2018年9月)
[ 図 ]スピーチプライバシーシステムを使った、オープンスペースでのサウンドマスキング
スピーチプライバシーシステムを使った、オープンスペースでのサウンドマスキング
[ 図 ]ユニファイドコミュニケーションスピーカーフォンと調音パネルで、遠隔会議の会話も快適に
ユニファイドコミュニケーションスピーカーフォンと調音パネルで、遠隔会議の会話も快適に

従来とは異なるパートナー企業とのコラボレーション

2019年2月、オフィス家具メーカーのイナバインターナショナル株式会社様(以下、イナバ)とシステムインテグレーターのNECネッツエスアイ株式会社様(以下、NECネッツエスアイ)、そしてヤマハは、3社による共同検証プロジェクトの成果を発表しました。共同検証のテーマは、「オープンなオフィス空間におけるビデオ会議の音対策」です。背景には、オフィスのオープン化に伴う、会話漏れ対策のニーズの増加があります。

検証にあたって、イナバの吸音ローパーティション「YURT(ユルト)」を組み立ててセミクローズな空間(パネルを連結させた固定タイプのレイアウトと、キャスター付パネルを並べた可動タイプのレイアウトの2つ)を構築。会話にはヤマハのユニファイドコミュニケーションスピーカーフォン「YVC-200」とHDカメラ付スピーカーフォン「CS-700AV」を使用しました。NECネッツエスアイが販売するオンライン会議システム「Zoom」を使って検証したところ、4種の実験モデルで音圧を40%~70%低減できるという結果を得ました。これにヤマハのスピーチプライバシーシステム「VSP-2」を加えて外への音・会話の漏れを防ぐ、「吸音+マスキング+カメラ付きマイクスピーカーのトータルシステム」は、近々の発売が予定されています。なお、これらの製品は2019年6月に千葉・幕張メッセで開催された国内最大級のICTイベント「Interop Tokyo」※2でも展示され、注目を集めました。

基本的なオフィスの音対策には、「吸音」「マスキング」の他に「遮音」があります。BOX型のブースで密室に近い状態で遮音すれば高精度で音の侵入や漏えいを防ぐことができますが、コストや設置スペースなどの問題があります。そこでまずは、3社の共同検証で提案されたような、低コストで手軽に設置できるパーティションタイプを用いた音環境の整備が普及していくことが期待されます。ヤマハにとっても、他の事業領域とは異なる業界のパートナー企業とコラボレーションする、新しいチャレンジです。

  • ※2 出展企業各社からエントリーされる選りすぐりの新製品を、有力メディア各社のキーマンと学術界の識者によって編成される審査委員会が審査し、「今年の一品」を決定するBest of Show Award「セキュリティ部門」において、ヤマハの「VSP-2」が審査員特別賞を受賞しました
[ 写真 ] Interop Tokyo 2019での出展の様子
Interop Tokyo 2019での出展の様子
[ 写真 ] 共同検証のレイアウト(固定タイプ)
共同検証のレイアウト(固定タイプ)

働き方改革の進展により、オフィスがオープン化しテレワーク用のWeb会議などが、広く活用されるようになりました。
そこで課題となるのが、オフィスの「音対策」です。

弊社では、消防法をクリアした上で、独自性の高い傾斜型パネルを組み合わせたローパーティション「YURT」を開発し、漏えい音圧の約70%削減を実現しました。ヤマハ様のスピーチプライバシーシステムと組み合わせることで、さらに音ストレスの低減が図れることが、アンケート調査により確認されています。

「音」のプロであるヤマハ様との協業を進め、より最適なオフィス環境の構築に向けたソリューションを、今後も皆さまにご提供してまいります。

[ 写真 ]イナバインターナショナル株式会社 ワークプレイス事業本部 オフィス クリエイティブディレクター 平 勝文 様

イナバインターナショナル株式会社
ワークプレイス事業本部 オフィス クリエイティブディレクター

平 勝文 様


多彩なワークスタイルの先にある、新しい可能性

仕事内容に合わせて働く場所を選ぶ「アクティビティ・ベースド・ワーキング(Activity Based Working:ABW)」という考え方が欧米や中国を中心に浸透してきています。打ち合わせはソファやラウンジ席で行い、集中したい作業は静かなブースに移るといったスタイルで、より生産性と創造性を高める効果が期待されます。日本の大手オフィス家具メーカーもこぞってABWへの対応を進めており、日本にも大きな波が来ることが想定されますが、ワーカーが仕事内容によってさまざまな場所に移動しオフィス空間がオープン化することに伴って生じる「音」の問題への対応が、その時に不可欠になってきます。そうした、セキュリティーの担保を含め音環境を整えるソリューションを提案することに、ヤマハの役目があると考えます。

前述の「吸音+マスキング+カメラ付きマイクスピーカーのトータルシステム」のような、手軽に導入可能なサービスに加え、将来的には「アビテックス」のような本格的な組立型防音室などを含めた多彩なシーンでの音環境作りに応えていくことが、ヤマハの目指すサウンドソリューションの理想像です。音の技術で「オフィス空間」に豊かな機能や意味を与えることで、ワークプレイスにおける課題解決だけでなく、建物などの不動産リソースの新たな価値創造にもつなげていきます。

― オフィスの音環境を支えるヤマハのソリューション ―

声漏れ、音漏れを防ぐ
防音室・防音部材

AVITECSアビテックス

[ 写真 ]AVITECS-アビテックス-

部屋の響きを整え
良い音環境を実現する

調音パネル

[ 写真 ]調音パネル

遠隔会議で
参加者の声を
クリアに伝える

マイク&スピーカー

[ 写真 ]マイク&スピーカー

会話に含まれる
プライバシー・
機密情報を守る

スピーチプライバシーシステム

[ 写真 ]スピーチプライバシーシステム