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法務

「予防法務」「臨床法務」「戦略法務」の
それぞれのフェーズで会社の方向性を牽引する

法務部は、会社の経営や事業、業務の遂行を、法律の観点でナビゲートする役割を担っています。主なミッションは以下のようなものです。

  • グループ全体の法務問題を体系的に把握・評価して、法務リスクを低減すること
  • グローバル事業遂行のため、法的な視点から経営・事業を牽引すること
  • コンプライアンス意識の向上を通じ、内部統制システムの強化をすること
  • 関係法規に則った会社株式法務機能を担い、適法性・妥当性の判断を通じて遵法経営に資することおよびコーポレートガバナンスの向上を図ること

法務部には14名のメンバーが2グループに属し、この他にもアドバイザーや顧問弁護士がオフィスにおります。グループ全体の法務機能としては、最新の法令把握・文書管理の仕組み化、コンプライアンス推進・内部通報制度運営、実際に紛争や不祥事が発生したときの相談・解決への助言などを行っています。また、本社の法務機能として株主総会の運営などを担当しています。

法務の仕事は、常に経営の傍らに位置します。何か事が起きてから対処するというより、仕組みが機能しているのかを日頃から注意深く見守り、また新規事業に挑むときなどは、関連する法律など事業環境のリサーチや助言を行います。このような「予防法務」で経営を牽引することを目指しています。
各部門から日々相談に来てもらえるように信頼関係を築くことは、長期的にみると「予防法務」の基礎になります。その一方で、助言できなかったことがあったときの反省は、専門性を高めるための大切な機会となっています。

また、新しいビジネススキームや新しい取引先など、会社の方向性に関わるような助言が反映される「戦略法務」、発生したトラブルを解決する「臨床法務」は、法務の仕事のやりがいにもつながる、大きな経験です。
例えば「戦略法務」には、事業会社を買収するケースがあります。デューデリジェンス(査定・評価)にあたって、弁護士と一緒に契約書を事前にレビューしたり、そもそも買収の目的は何なのか、技術なのか人なのかといった要点を明確にしたりしていきます。そのため、案件を推進するマネジメント層と近いところで、早期の段階で助言をすることになります。また、買収後の統合で内部統制が機能していくかなどを確認していくことになります。

[ 画像 ] 法務の図

契約審査で基礎を学び、業務のグレードを上げながら、
ゆくゆくはグローバルに活躍を

法務部に配属された後は、外部の研修とOJTが基本です。外部研修は座学で一通りの法務を学びます。OJTでは契約審査を担当し、これを通じて社内外のビジネスについて学ぶとともに、契約・取引に関する法を学び審査スキルを身につけてもらいます。契約審査という仕事では、持ち込まれる契約の相談に際して、契約の目的などを正確にヒアリングして、そのための最適解を探して提案します。ヤマハの法務として活躍していくための、いわば「トレーニング」であり、各部門の相談者と直接対話するプロセスのなかで、さまざまな学びがあると思います。
その後は英文契約や法務相談など業務の幅を広げ、リスク感覚を磨きながら、専門性が高まったところで紛争対応やM&Aなどを経験します。最近は、グループ会社の法務との連携や、仕組み作りの業務もあるため、必ずしも法律の専門家になる必要はなくなっています。
現在の中核メンバーには、海外ロースクールに留学し、米国弁護士資格を取得した者や、人事や内部監査など法務と関連する業務へ異動した者など、多様な経歴を持った社員がいます。

求める人材像としては、もちろん法律知識や語学力があれば望ましいのですが、それ以上に法務の仕事では「対話」が重要です。知的好奇心とコミュニケーション力を持つ人、何事にも「誠実に取り組む」人であることがとても大切です。
現在の法務部には他の部門を経験している人が多く、個々のバックグラウンドを活かして仕事をしています。例えば、知的財産部門での仕事が長く訴訟対応などの経験が豊富な社員は法務部の業務がやりやすい、といった具合です。

高い専門性とスキルを発揮して、
事業戦略の一翼を担う法務部のあり方を目指す

「あるべき法務」の姿として、以下のように捉えています。

  • グローバルで体系だった法務リスクマネジメントのもと、ビジネスが遂行されている
  • 平時および有事対応により、紛争・事件による経営への影響が最小化されている
  • 法務の高い専門性とスキルにより、事業戦略の一翼を担っている
  • 子会社のコーポレートロー対応を含めたコーポレートガバナンスが高い次元で統制されている
  • グローバル基準による新しいプラットフォーム、働き方、事業参入等が、法的リスクを克服して導入されている

ヤマハグループでも、グローバル化の加速に伴い、各国の法令を遵守する体制作りの重要さが増し続けています。本社の法務部が海外の法務担当者などと密に連携をとって、適切にカバーしていくことが期待されています。基本的には現地の自主性を尊重しつつ、グローバル化に沿った仕組み作りや、その改善に力を注ぎます。例えば現地で紛争が起きたといったとき、本社の法務部が現地の弁護士を直接雇って解決にあたったりするのではなく、あくまで現地で判断や行動がしやすくなるように助言を行うなど、間接的な関わり方に留意しています。現地の個別の状況はグローバル会議のような場で共有し、一方通行のコミュニケーションにならないようにしています。

部門の当面の課題としては、各国での法令情報基盤・報告ルートの整備と、リーガルテックの導入(AI審査・契約管理)などがあります。
直近のテーマとして構想しているのは、法令の台帳を参照できるデータベースの構築です。業務履歴は個々の経験に依存しがちで、法令を把握することが難しいため、データベースによって判断基準の共通化を進めたいと考えています。