Yamaha Design “Synapses”
STORIA
2019 / ACOUSTIC GUITARS
GOOD DESIGN AWARD
iF Design Award
あなたらしさにそっと寄り添うアコースティックギター。
イツマデモ何時までも / Timeless
見た目の美しさや愛らしさにこだわり、自分を彩る要素のひとつとなるような、ギターを目指しました。デザインを気に入って付き合いが始まり、演奏のしやすさから奏でる楽しさに目覚め、将来的にはステージでの演奏まで、永く広く共に愉しめるパートナーとなります。
チョウワ調和 / Harmony
『Color your day』をコンセプトに、朝の澄んだ空気感、昼の活発な空気感、夜の安らいだ空気感を表現しました。音質も含めてそれぞれ異なったキャラクターで、自分好みのインテリアやファッションに合わせて選ぶことができます。
ミナオス見直す / Reconstruction
音質などの基本スペックだけでなく、ギター未経験の若者達が求める共感性やちょっとした特別感を大切にしました。これまでラベルを貼っていたボディ内部にはモデルに合わせた塗装と直接スクリーン印刷をするなど、さりげない演出を施しています。
シアゲ仕上げ / Well-Made
一般的には配色がバラバラであることが少なくないペグやストラップピンなど、個々の金属パーツまで新たに見直して全体のトーンを統一。ファッションを楽しむように1つ1つの組み合わせを検討し、トータルでコーディネートしました。
イトオシイ愛おしい / Beloved
傍に置いておきたい、弾いてみたいと思われる外観からのアプローチ。細めで握りやすいネックはコードも押さえやすく、ボディは小ぶりで抱えやすく、 “初めてギターに触れる人にとって弾きやすい形状”にこだわって辿り着きました。
- Daisuke Saito
- Designer
- Yamaha Design Laboratory
- Maya Kojima
- Planning and Marketing
- Yamaha Guitar Group, Inc.
- Shannon McKee
- Marketing
- Yamaha Guitar Group, Inc.
- Taiki Oshiro
- Marketing and Sales
- Yamaha Guitar Division
ギターの“当たり前”を変える。
このSTORIAの開発は、当時まだ入社して数年で、ギターに関する知識もほとんどない企画担当者が中心となり行われました。それは、ヤマハとして今までギターに興味を示さなかった若者でも手にとりたくなる製品を開発したいという思いがある中で、まさに「ギターを弾くことのなかった若者」というペルソナを持つ担当者自身がそれを開発する、チャレンジングな試みでした。
「ヤマハのギターはこうあるべき!」といった歴代の担当者の考えから視点を変え、ペルソナ自身が「どういうギターなら欲しくなるのか?」という想いを起点にプロジェクトを進めています。
まずは一般の方の正直な意見を聞くため、ギターを初めて弾く人から経験者まで幅広く多くの方にインタビューを実施しました。その結果として見えてきたのは、想像以上に外観は重要な要素であるということ。一般的なアコースティックギターには残念ながら「古臭い」「昭和っぽい」といったイメージがあると同時に、彼/彼女等は音に関係する材質や寸法の情報よりも「自分の部屋に合うか」「色味や質感の雰囲気が好きか」といった、自分に近しいものを求めていることが解りました。伝統的なデザインが確立されているアコースティックギターを、それにとらわれず顧客の意見に素直に従ってデザインすることは、ヤマハの中でも新しい試みでした。すべてのプロセスにおいて、ステレオタイプな発想やギターに対する既成観念は疑って、“本当に必要な要素はなにか?”を考えながら作り上げていきました。
例えば、ギターを始めた人が最初にぶつかるFコードの壁。このコードが弾けなくて、過半数の人がギターをやめてしまうと言われています。そのため、まずは初心者の方に向けて、弾きやすいギターを作ることが大切だと考え、その形状を具現化しました。
また、ギターを弾くことや持つことの満足感を高める工夫もしています。服で言えば裏地にあたるようなサウンドホール部分にも気を配り、普通の中にあるさり気ないオシャレさという部分を大切にしています。
STORIAは、見せつけるような派手さではなく、一見すると普通に見えるけれどもきちんとコーディネートされていて、自分だけに特別感があるものに仕上がっています。
これまでのギターの「当たり前」を徹底的に疑って創り上げた製品ですが、決して従来のギターを否定するためのものではありません。ひとりひとりのSTORYを彩る要素になってほしい、という願いを込めてつけた名前の通り、身近なものとしてみなさんの生活に溶け込み、毎日の生活を彩り、長く愛用してもらえる存在になれば嬉しいです。