生産技術 塗装・メッキ

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「楽器作りに有機化学が役立つ」という気付きから出発、
他の知識にも刺激を受ける日々。

久米 洋平
楽器・音響生産本部 製造プロセス統括部 金属技術部 化学技術グループ
2007年入社/工学研究科了(化学工学専攻)

学生時代のこと

学部の専攻は量子物理学で、医療用PETに使われる材料の研究を行い、その後大学院では有機合成化学/触媒化学を学んでナノ粒子触媒の開発を行いました。修士2年秋まで研究成果がなく、悩んだ時期の方が長かったですが、冬に結果が出始めるとそこから2ヶ月は充実した日々でした。修論発表の数日前にやっと結果が出た時は、周囲の助けに感謝しつつ、諦めないでよかったと強く感じました。プライベートでは科学雑誌で学生ライターをしたり、TVやCMのエキストラをしたりと、面白そうなものにはとにかく飛びついてやっていました。特に、友人に誘われて始めた混声合唱が契機となり、アカペラチームを作ってイベントに出るなど歌の世界にどっぷりつかっていた学生時代でした。

入社動機と今の仕事

いろいろなことへの興味が強く、化学だけやるのは自分には合わない!と思い、就職活動を始めたころはさまざまな業種の説明を聞いて回りました。ちょうどそのころに行ったライブでヤマハのギターを見た際に、楽器を作るには化学の知識が役立つかもと思い立ち、ヤマハを強く意識しました。化学系の仕事が楽器会社にあるとイメージしにくいですから、これは大きな気付きでした。楽器の経験がほとんどなくて縁が薄かったことも、逆に興味を引き立たせてくれた一因だったと思います。そして最終的にヤマハを選んだ理由は、自分の音楽に対する興味を満たしつつ、やってきた化学も生かせる仕事だから、です。加えて老若男女問わず使われている製品を作っていることにも惹かれました。当時、自分が携わった製品を学生たちが抱えてる姿を見たらうれしいだろうなとイメージしましたが、今はそれが現実のものとなっています。

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現在は、製品に関わる仕事では塗装やめっき、洗浄など表面処理技術と呼ばれる分野で、温度や濃度、使い方など生産ラインの条件設定を行っています。これは外観の品質やデザインにも大きく関わります。新商品が出る時には新しい薬品を試すために化学実験も行い、製品の試作も行います。さらには実際に生産ラインの設計をしたり、工場を運営するために必要な法規制対応や、排水などインフラ関係の管理も行っています。1日の大半は生産職場に出ています。突発的なトラブルが起こった時は分析装置など用いた技術的なアプローチで原因調査をして、改善に結び付けるのも私たち生産技術者の役目です。多くの人と連携、特に生産職場と密接に関わりながら仕事を進めています。

働くモチベーションとヤマハで得られる成長

生産職場で何か困ったことがあると、相談・依頼を受けて製品や設備の不具合対応を行います。化学的な要素ばかりでなく、時に金属加工や研磨のような磨き、電気的な不具合や気温、湿度といった自然現象がその不具合の「犯人」であることもあります。いろいろな知識を持っていないと何が起こっているか解析する力も十分に発揮できません。自分の専門が何であるかではなく、持てる知識を最大限に使って解決に結び付けるのが最も求められることだと仕事をする中で学びました。このようなやり取りの中で、一緒に仕事をした人、依頼者と親しくなり、知識の共有ができることも醍醐味だと思います。現場からは日々多くのことを学んでいます。

印象深いエピソード

入社して間もないころ、機能性の高いめっき条件を作る仕事を担当しました。厳密には10年以上前に作られた条件を見直す仕事でしたが、当時の開発者は既に退職しており、状況も変わっているためにたびたび不具合も見られ、見直しが求められていました。生産と同じ設備を作り、朝から夕方までひたすら製品の試作、夜は翌日の試作計画作り。1年後、得られた結果から条件を設定し、分析管理手法を整備し、生産ラインに導入しました。自信を持って条件設定したものの、初めてのことばかりでかなりの不安もありました。その後、数年が経過しましたが、現在も一度の不具合もなく運用が続いています。時間がたって改めて見返すことで、自分のやった仕事の価値を感じ、大きな安堵感とともにやりがいを感じた業務でした。

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オフタイム

サッカー部や先輩・友人たちとサッカー・フットサルをしたり、音楽鑑賞や乗馬、スポーツ観戦といろいろ楽しんでいます。