研究者紹介:松山 和馬
所属 | 研究開発統括部 第2研究開発部 素材グループ |
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業務内容 | 音響複合素材の開発 |
学生時代の専攻 | 高分子化学 |
入社年度 | 2020年度 |
現在の仕事内容
ヤマハグループの主力製品であるピアノや弦打楽器・木管楽器は、多種多様な木材を使用し、生産されています。
かつて木材で作られた製品が次々と新素材へと転換していく中で、未だ楽器が天然木材を原料として生産される理由に、木材の持つ特徴的で優れた音響性能があります。
私は、多種多様な木材を扱う企業の研究開発部門として、木材に学び、木材を代替し、木材を凌駕する技術の開発に取り組んでいます。
我々の最も身近な材料といっても過言ではない木材ですが、繊維・樹脂・それらを繋ぎとめる物質等による、非常に複雑かつ緻密な構造を成しています。我々は木材を構成する「物質」と「構造」の両方に、特徴的で優れた音響性能を生み出すカギがあると考え、特徴の抽出と解釈に取り組みました。そうして得られた知見を根幹として、「資源量が減少傾向にあり今後の入手性が危ぶまれたり、ワシントン条約などで輸出入が制限されたりしている木材」を対象に、様々な材料を組み合わせて「同じ音がする代替材」の開発を行っています。
この開発では、「材料を組み合わせて物性を自由自在にコントロールする技術」を得ることができ、その技術は「既存木材を超えた、未だかつて誰も聞いたことのない音」の開発へ展開され始めました。
自分の研究の足跡が残せるように
私は生まれも育ちも浜松で、生粋の遠州人です。小学校や中学校では社会科の授業として浜松の三大産業の一つである、楽器産業について詳しく勉強しました。社会科見学ではヤマハの工場見学にも何回か訪れた事が有り、子供のころからとても親しみのある会社でした。
入社前は、何十年も基本形が変わらない楽器やオーディオ機器に、果たして今後研究・開発の余地があるのだろうかと疑問に思う点もありましたが、入社してみると未開拓の範囲も多く、まだまだ課題は山積だということが分かり、驚くと同時に意欲も湧いてきました。自分の研究の足跡が残せるように、日々努力したいと思っています。