ヤマハらしく「書く・描く」道具とは?
Scribe Tool Design
2024
Overview
「かく」ことは、なぜ心地よいのだろうか
これは、ヤマハとヤマハ発動機のデザイナーが共通テーマのもとに取り組んだ思考実験的デザインプロジェクトです。デジタルツールが生活に浸透した現代で、私たちはあらためて原始的な道具と身体的な行為に目を向けました。今回のテーマは「かく(書く・描く)」ことです。
文字を書く、線を描くという行為は、単なる情報伝達ではなく、身体を通して表現する喜びや、思考を形にする楽しさを含んでいます。「筆が走る」「筆が乗る」「筆が滑る」といった言葉は、バイクが軽快に走る感覚や音楽のリズムに乗る感覚とも重なります。つまり「かく」ことも、身体と道具が一体となることで生まれる体験なのではないでしょうか。
本プロジェクトでは、楽器とモビリティのデザイナーがそれぞれの視点からこの行為を見つめ直しました。思い通りに操る心地よさ、上達の喜び、気づけば夢中になる没入感。楽器やモビリティで培われた価値を取り込みながら、「かく」という行為の新たな可能性を探りました。
単に文字や絵を生み出す道具ではなく、使うこと自体が楽しくなる道具へ。本プロジェクトは、身体と道具の関係を見つめ直し、新しい「かく」の体験を提案する試みです。
Works
Pick-Scribe
鉛筆の芯の素材であるグラファイトでできたギターピックのような筆記具。
ギタリストがプレイスタイルに合わせて自分のお気に入りのピックを選ぶように、このPick-Scribeも様々な芯の形状、濃淡、硬さを持ち、書く触感やリズムなど様々な書き味を味わうことができる。「書く・描く」というプリミティブな行為に奥深さを与えることで、書き手の表現をより豊かにします。
Designer: Hinako Matsui/Yamaha Design Laboratory
Swing-Scribe
メトロノームのようにリズムを刻みながら筆を走らせるペン。最も古いペンの一種とされている羽根ペンから着想を得たデザインです。筆跡に応じて、ゆらゆら揺れる羽根は小さな空気抵抗を筆に与え、筆の走りにリズムを与えます。
このリズムを意図的に生み出すのがメトロノームのようなペン「Swing-Scribe」です。しなる金属棒の先端におもりを付けることで、筆跡に応じて揺れ動く機構をとります。揺れにより生じる微細な抵抗が次の筆の動きにリズムを与え、ペンを走らせるのです。おもりの位置を変えることで、揺れ具合や抵抗を調節でき、その時の気分に応じたリズムで筆を走らせることができます。
Designer: Kazuya Washio/Yamaha Design Laboratory
Pluck-Scribe
モチーフになった墨壺とは、もともとは長い木材に真っ直ぐな線を引くための大工道具の一つ。まるで弦楽器のピッチカート奏法のように、一本一本を狙って打つような緊張感があります。そこから生まれるみずみずしい音を線に置き換えて視覚化してみると、まっすぐなだけではない、震える線、弾けるような線、さまざまな表情をもつ生き生きとした線たちが浮かび上がってきます。線を引くという行為に味を加えることができる道具です。
Designer: Hinako Matsui/Yamaha Design Laboratory
Mix-Scribe
二種類のインクの配合をコントロールすることで多彩な色の濃淡を生み出せるペン。
本体に二種類のインクカートリッジを搭載し、バイクの手さばきのようにレバーを操作することで、二つのインクをペン先までくみ上げ、色を混ぜ合わせます。色彩の異なる2色を混ぜ合わせて自分の好きな色を創り出すこともできれば、片方を薄め液にすることで、濃淡を変化させることもできます。
意のままに即興で色を混ぜ、筆を走らせる行為は、道具を使いこなす楽しさをより与えるでしょう。
Designer: Etsuto Mimasu/YAMAHA MOTOR DESIGN
Conquer-Scribe
どのような地形の地面にも自由に絵を描けるサイドウォークチョークホルダー。本体の先端のチョークを支えるボディは二股に分かれており、二輪車のフロントフォークのように衝撃を吸収するサスペンションの役割を果たします。これにより凸凹したコンクリートやアスファルトのような地面にもスムーズに絵を描くことができます。狭い紙を飛び出し、広い地面というキャンバスに身体全体を使ってダイナミックに絵を描けたなら、きっと気持ちが良いでしょう。
Designer: Tomoya Ikegaya/YAMAHA MOTOR DESIGN





















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