初めて音に出会う体験をデザインする
MATERIAL ORCHESTRA
2023
Overview
子供たちは、どのように音を発見するのだろうか
ヤマハは、子供たちがさまざまな素材を通して音と出会う体験のデザインに取り組みました。舞台は、ニューヨークのメトロポリタン美術館に新設された子供向けインタラクティブ・ラーニングスペース「81st Street Studio」です。ヤマハデザイン研究所は、その中の「Interactive Musical Station」の企画・デザインを担当しました。
私たちが創り出したのは、「MATERIAL ORCHESTRA」と名付けた6つの体験型展示です。木や金属、空気などの素材や現象に触れながら音を生み出すことで、子供たちは弦楽器・打楽器・吹奏楽器の仕組みや、音が生まれる原理を自然に学ぶことができます。
しかし目的は知識を伝えることだけではありません。子供たちが手を動かし、耳を澄まし、「なぜだろう?」を繰り返しながら音の世界を発見していく体験を目指しました。音は目に見えませんが、素材に触れ、振動を感じ、自分の行為で音が生まれる瞬間には驚きや創造の喜びがあります。そうした体験の積み重ねが、子供たちの好奇心や感性を育てると考えています。
「81st Street Studio」は、子供たちのための創造的な学びの場です。この空間で、一人でも多くの子供たちが音と素材の不思議な関係を発見し、自ら探索する楽しさに出会ってほしい。そんな願いを込めて、この体験をデザインしました。
Works
Marimba Woods
森のように立ち並んだ様々な種類の木で作られた音板を叩いて、心地良い音を奏でます。それぞれの音板は正しい音階で鳴るように調整されていますが、叩いてみると、木の種類によって「音の響き」や「サイズ(長さ)と音階の関係」が様々に異なることに気づきます。これは硬さや密度など、様々な性質が木によって異なるためです。楽しく音を奏でるうちに、演奏者は次第に素材の不思議さに気づき、興味を持つことができます。
Designer: Masaharu Ono/Yamaha Design Laboratory
Standing String
垂直にそびえたつ木の幹のようなボディに張られた、たった1本の弦をはじいて音を奏でます。押さえる指の位置を変えることで弦の「長さ」が、またペダルを踏むことで弦の「張る強さ」が変わり、それによって音が変化します。楽器の最も基本的な発音体の一つである「弦」が振動して音が生み出される原理を、身体全体で経験し、理解することができます。
Designer: Masaharu Ono/Yamaha Design Laboratory
Woodpecker Chime
紐を引いてリリースすることで、キツツキを模したハンマーがチャイムを叩き、音を響かせます。音源であるチャイムが天井各所に散在しており、それぞれの鳥が異なる音階を鳴らすため、まるで森の中にいるように、空間に広がる様々な音色や鳥の動きを楽しむことができます。
Designer: Masafumi Futo/Yamaha Design Laboratory
Wall Castanet
大量のカスタネットで埋め尽くされた、インタラクティブな音の壁です。カスタネットの木の種類の違いにより音質が変わり、壁を切り抜いたリングのサイズにより音階が変わります。全身を使って演奏しながら、カスタネット特有の軽やかな音色を楽しむことができます。壁一面のカスタネットは子供たちの好奇心を掻き立て、材質の違いや切り抜きの大きさによってどのように音が変わるのかを学ぶことができるのです。
Designer: Masafumi Futo/Yamaha Design Laboratory
Sound Surfboard
揺らすと波の音を奏でる、バランスボードのような遊具です。中に入った小さな鉄球が発泡材と擦れながら移動し、ホワイトノイズのような音を生成します。勢いの良い波から、静かなさざ波まで、体の動かし方で音の表情が変わります。小豆とざるを使って波音を再現する昔ながらの音の表現方法からヒントを得て、子どもたちに自然と受け入れられる音遊びを目指しました。
Designer: Natsumi Kobayashi/Yamaha Design Laboratory
Bellows Pipe Organ
整然と並べられた管に風を通すことでパイプオルガンのような音を響かせます。土台にある蛇腹蓋で空気を送り出し、管の排気口で生じる空気振動を利用して音を生み出します。管の長さの違いで音程がどのように変化するかを学べ、また複数管へ同時に空気を送り出すことで奏でられる音の重なりを楽しむことができます。リコーダーのようなフルー管の発音原理と和音の仕組みを遊びながら理解できるのです。
Designer: Kazuya Washio/Yamaha Design Laboratory

81st Street Studio
Courtesy of The Metropolitan Museum of Art





























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