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2023年6月13日

ブランドストーリー​

João Bridi

The school of Music at Carlos Gomes Theaterの教師兼吹奏楽指揮者

尊敬と共感

ポジティブな変化をもたらす音楽の力を信じる

João Bridiさんに、これまでの経験や、音楽や社会における多様性をめぐる考えについて伺いました。

LGBTQ+のムーブメントやそれに関連する奮闘をどうお考えですか? また、この話題と音楽の関連性は?

この闘いは、私個人のニーズだけでなく、コミュニティー全体が「普通」の生活を送れるようにするためのものでもあるのです。そこに、私がどう働き、交際し、デートし、結婚し、子どもたちを養うことができるかという、人間が本来するような行為に罪悪感をもったり、とがめられたりすることなくできるのかが含まれます。

確かにここ10年でムーブメントは大衆化し、そのおかげで、コミュニティーは外に出て、真実を当然のこととするための勇気をもらいました。若い世代は、セクシュアリティや多様性の受容という点で、より大きな自信を持っていると考えています。しかし、厳密にいえば、近年、保守的な考え方が強まるにつれ、ムーブメントは常に拒絶の標的となり、得難い権利の数々を失う恐れすらあることが顕著になってきています。どのような権利も盤石ではありませんから、後戻りすることなく、常に闘い続けなければなりません。

私は、このムーブメントの普及と強化のプロセスにおいて、芸術の各側面が大きく、等しく重要な柱を形成していると考えています。一般に芸術は、人間の文化と絡み合っていますから、異なる方法で異なる聴衆に訴えかけるものであっても、その目標はすべて同じです。音楽は、こうしたプロセスの基本的な柱のひとつであり、コンサートやテレビ番組、音楽配信など、形はどうあれ、世界中に広く普及しているアクセスしやすい言語です。ですから、私たちが演奏すると「心に届く」わけです。つまり、私たちが歌や演奏に力を込めれば、人々の心にも触れることができるのです。

[写真] João Bridiさん

LGBTQ+コミュニティーの人々が人生で直面する可能性がある課題や困難とは何でしょうか?

最大の課題とは、やはり個人的なレベルでのことだと思います。中でも自己受容は、人が持つことのできる最も力強いツールでしょう。偏見に立ち向かい、日々私たちの存在をかけて、あえて自分らしくあろうとする課題に向かう力を与えてくれるものなのです。

私たちが直面する最大の困難は、間違いなく身体的に加えられる暴力です。暴力はしばしば死を招きます。考え方の相違や言葉の暴力といったものがLGBTQ+の人を深く、心理的に傷つけたとしても、人を亡くす苦しみとは比べものにはなりません。しかも、真実の自分を愛し、そうあろうとする勇気を持ったことだけで「傷」とされた人を失うのです。LGBTQ+の人たちが、良いと思う習慣や神、家族を守るために、身体的な攻撃を受けたり、時に命を落としたりするニュースが飛び込んでくることさえ、珍しいことではないのです。

LGBTQ+の人々が社会からよく受け入れられ、尊重されるために、アーティストはどの程度貢献できるものなのでしょう?

この2つの側面は切り離すことができません。私の人としての社会性は、ミュージシャンの仕事によるところが大きい。自己受容のプロセスを通じて、音楽が私の力だった。そして、プロフェッショナルとしての、そして個人としての視界を与えてくれました。今日、どこで私が本当の自分にたどりついたのかに人々が目を向けてくれるなら、この安全でインクルーシブで受容的な場所、つまり音楽が提供する場所を感じてほしいと思っています。みんなで一緒に演奏している時、その瞬間、私たちは皆同じ言葉を「話している」ことになるのです。

アーティストというのは普通の人々よりも、表現の自由、意見の自由という点で、受け入れられやすい。自分の作品が賞賛されファンを持つことで、アーティストは芸術においてだけでなく、行動や考え方においても参考とされます。したがって、インクルーシブ、差別の撤廃、多様性の尊重を進めていくことは、いわばアーティストの義務なのです。自分の好きなアーティストに包容力があり、偏見がないことを知れば、その影響を受けて、その人も包容力を持ち、偏見を持たなくなる傾向が大いにあるのです。

コミュニティの一員であるアーティストだけが私たちの闘いを擁護することにはリスクがあります。私たちは「このバブルを崩壊させる」ことができないのです。しかし、異性愛者のアーティストのサポートがあれば、私たちの理想は、おそらく私たち自身では届けられないような人々に届きます。この2つのケースは同じ重要性がありますが、効果が違います。異性愛者のアーティストが「私たちのバブルを崩壊」させたら、私たちの運動をさらに発展させるでしょう。一方、LGBTQ+のアーティストは大抵の場合、生活環境において抑圧されているコミュニティーの人々に力を与え、励まし、自分をさまざまな角度から見つめ、より思いやりを持ち、自己受容できるようにするでしょう。

[写真] João Bridiさん

偏見を減らすために貢献できる主なポイントは何でしょうか?

2つの要素が不可欠です。つまり、尊敬と共感です。自分の生活に関係ないから、あるいは感じていないから、他人を傷つけないというわけではありません。つまり、違いを尊重し、相手の立場に立って考える能力は、私たちのケースだけでなく、どんな状況においても、どんな闘争やどんな人間の理想においても非常に重要です。

「『マイノリティ』といわれる人々は、すでにこの現実を生きているため、ほとんどの場合、他の要因を受け入れ、それを自分のものとして感じることができます。中でも、現在のシナリオで最も議論されているのは人種問題や女性差別との闘いであり、この諸問題が最近私の心を最も突き動かしています」

人物紹介

João Bridiは9歳の時にキーボードとピアノを習い、音楽の勉強を続けた後、2001年にThe Martial Band of Colégio São Luiz(ブルスケ/サンタカタリーナ州)で管楽器を学び始め、ドイツでの楽団交換留学に参加しました。16歳でLeandro Gaertner教授からトラヴェルソの指導を受け始め、2008年までブルメナウのThe Carlos Gomes Theater Music Schoolで教育を受けました。2007年、The Degree in Music of FURBの入試で首席を獲得、2009年にはThe School of Music and Fine Arts of Paraná(EMBAP)のThe Superior Course of Instrument - Transversal Flute(器楽-トラヴェルソの上級コース)で、Giampiero Pilatti教授に師事。首席を獲得し卒業。訓練期間中、Univali Symphonic Band、Univali Orchestra、FURB Orchestra(2008年Santa Catarina Circuit of Orchestrasでソリスト)、Curitiba Flute Quartet、EMBAP Symphonic Band,、EMBAP Orchestra、Blumenau Municipal Bandなどのグループに参加。Alberto Almarza(チリ/USA)、Curt Schoeter(ブラジル/イタリア)、Michel Bellavance(スイス/カナダ)、Maurício Freire(ブラジル)などの複数のマスタークラスやフルーティストの音楽祭に参加しました。Joãoは、The School of Music of CESCB(ブルスケ/サンタカタリーナ州)、Barão do Rio Branco School(ブルメナウ/サンタカタリーナ州)、School of Music Txai(ポメロード/サンタカタリーナ州)、School of Music ABC(ブルメナウ/サンタカタリーナ州)で管楽器を教え、2009年よりThe School of Music of the Carlos Gomes Theater(ブルメナウ/サンタカタリーナ州)で教員兼吹奏楽指揮者を務めています。

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