[メインビジュアル] Felipe Araujoさん

2023年6月13日

ブランドストーリー​

Felipe Araujo

The Orchestra Sopro Novo Paulista指揮者

愛に障壁はないはず

誰もが心安らかに暮らせる社会へ

Felipe Araujoさんに、これまでの経験や、音楽や社会における多様性をめぐる考えについて伺いました。

LGBTQ+のムーブメントをどう思いますか? また、音楽との関連性は?

コミュニティーは異性、同性、ジェンダーに関係なく、人々が望むような幸福である権利のために戦っていると思っています。愛に障壁はないはずです。LGBTQ+のムーブメントが大きくなればなるほど、より多くの人々がこの動きは自分たちの意見を代弁していると感じます。それによって人々は自分が何者であるかを自覚し、受け入れる勇気を持つことができるようになるのだと思います。
芸術(音楽を含む)は、その時代のリアリティーを表現する手段であり、アーティストやパフォーマーが自分自身を表現するものです。そうすることで、世界で何が起こっているかを考え理解することができます。これが芸術の役割です。

LGBTQ+コミュニティーの人々が人生で直面しうる課題や困難とは何でしょう?

多くの若者が自分の性的指向を理解した時、彼らは家族や友人、社会から自尊心を傷つけられ、軽蔑され、批判される。それは彼らの人生全体を揺るがし、あらゆる側面に反映されるでしょう。このような時こそ、家族が主となって寄り添うべきですし、異性愛以外の指向は病気などではなく、まして、その人が誰なのかを変えるものではないと理解すべきです。個人の生活がダメージを受けると、他の分野にも影響が出てしまいます。

今のところ、最も大きな困難といえるのは偏見です。まだまだ、社会の中でも大きく、コミュニティー自体の中でも発生します。あまりにもゲイだから、それほどゲイではないから、カミングアウトしないから、人から隠れているからなど、あってはならない諸々の事情で偏見が生まれ、それに苦しむのです。人それぞれ、その時々で個別の背景・事情があるのですから、批判する前にそう理解すべきです。

社会全体でLGBTQ+の人たちをもっと受け入れ、尊重するために、アーティストはどの程度貢献できるのでしょう?

個人への尊敬の念は、実際には習慣や指向に関わりなく湧くはずなのです。ステージで私は、自分がLGBTQ+コミュニティーの一員であると考えるより、まず、一人の人間として、ベストを尽しています。これが大事なんです。

私たちの社会に、働いたり、パフォーマンスしたり、夢をかなえたりするLGBTQ+の人々がもっと大勢いれば証明になるのです。これは欠陥でもなければ、けなされるべきものでもないと。むしろ、パフォーマンスし、好きなことをしている一人の人間として見られるべきで、それは普通のことなのだ、有害とされるべきものではないのだ、と示すことになるでしょう。

アーティストは重要なトピックにアプローチし、観客に考えさせ、気づきを与えます。異なる性的指向を持つ人々が社会の中で調和しながら生きることが、できないわけがないのだと。

偏見を減らすために貢献できる主なポイントは何ですか?

主なポイントとしては、性的指向より、まず初めに人間性ありき、だということです。新しい社員を採用する時、会社にとって何が一番重要なのか。履歴書やスキル、性的指向、さてどれでしょう?

それに、コミュニティーが協力して、皆を助け、これ以上人々の中に偏見を助長しないようにし続けることもポイントでしょう。

「LGBTQ+コミュニティーについて社会に説明する一番良い方法は、私たちが受け入れられる必要があるかどうかを示すことではありません。私たちは皆、あるがままの自分を大切にする、その価値がある人間なのだ、ということを示すことだと思います」

人物紹介

The Foundation of the Arts in São Caetano do Sul(サンパウロ州)によるリコーダーテクニカルコースを卒業。2007年より研究を開始。Patrícia Michelini、David Castelo、Marta Roca、Hélcio Müllerの指導を受け、Lisete da Silva、Lúcia Alves、Mary Waldo、Marion Verbruggen、Paul Leenhoutsの各教授のマスタークラスに参加。フルーティストのキャリアとして、ブラジルをはじめ、ボリビア、フランス、アメリカなどで数回のリサイタルを開催。Mosaico Harmonicのグループ活動、デュオとしてMadeira de Bloco、EMMSPのミュージックコアに加わり、FASCSリコーダー四重奏、Quinta Essentia quartetに参加しながら、The Sopro Novo Programに入り、2018年からThe Orchestra Sopro Novo Paulistaの指揮者である。

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