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ブランドストーリー

Im Yuri

サクソフォン奏者。韓国・釜山のIm Yuri Saxophone Academy代表。2022年8月より、Yamaha Music Korea(ヤマハ・ミュージック・コリア)アーティストとして活動中。

サクソフォンで新たな波を。サクソフォン奏者 Im Yuri

サクソフォン奏者のIm Yuriさんは、特別なアーティストです。女性アーティストの進出が難しいと思われていた韓国のサクソフォン界において、18年にわたり他の追随を許さない存在感を発揮してきました。さらにその技巧と豊かな感情表現は、数々のオーケストラ公演でも多くの人々を魅了しています。アーティストとして、またサクソフォン指導者としてのIm Yuriさんの音楽の道のりと、韓国サクソフォン文化を新たにする夢について伺いました。

彼女自身と音楽の経歴について

Im Yuriさんは、ピアノアカデミーを経営する母親と、ギターを演奏する父親のもとで育ちました。音楽に触れる機会の多い環境で育った彼女は、周囲の環境や当時の思い出が、音楽を始め、続けていくきっかけとなったと語っています。

[写真] Im Yuriさん

音楽と教育との関係

サクソフォンの演奏を始めたきっかけは、とてもシンプルなものでした。私の父がサクソフォンを始めて、ある日私に演奏してみないかと尋ねたのです。それまでサクソフォンを習ったことは一度もありませんでしたが、リコーダーの演奏と似ているだろうと思いました。そこで、その場で「Hometown Spring(「故郷の春」という韓国の歌)」を演奏しました。それを見た父が、「君はサクソフォンをやるべきだ」と言ったのです。そして、サクソフォン奏者のLee Byung-jooさんから正式に習えるようにしてくれました。私が高校1年生の時でした。

当時からサクソフォンを正式に学んで培った経験を、サクソフォンの指導に応用することができました。私は、サクソフォンの文化や認識を、私が経営しているIm Yuri Saxophone Academyを通して変えたいと考えています。20~30年後にこのフィールドのレベルが上がっているように、サクソフォンをきちんと学べる場所が必要だと思うのです。

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音楽とサクソフォン分野での女性アーティストの苦労

女性アーティスト・奏者として演奏できる場所が限られているのは残念なことです。男性奏者はバーのような場所でも当然のように演奏できましたが、私は女性なので、周囲の目線が違いました。地元のマーケットで開催されるイベントに行っても、男性奏者と女性奏者では扱いが異なりました。私は若い女性なのでぞんざいに扱われていると感じることもよくありました。当時のことを思い返すと、あのころは人々の間にサクソフォン奏者をリスペクトするという認識がなかったのだと思います。そこで私は、サクソフォン奏者に対する人々の認識を変えるためにたくさん努力したのです。

かつては、サクソフォンに特化したイベントやステージは多くありませんでした。また、ミュージシャンたちはイベントの雰囲気を和らげるためだけに韓国のトロット(伝統歌謡)を演奏していました。私はまず、サクソフォンがステージの中心となり、リスペクトされるようなイベントを重視しました。そして質の高いサクソフォン音楽を聴き、演奏する練習をしました。K-ポップを演奏する場合でも、トロットではなく90年代以降にリリースされた私たちの世代のポップソングへとセットリストを変更し、トレンドに合うようにしたのです。オーケストラとのコラボレーションも、そういった活動の一環です。幸運にも、多くの人々がこの努力を認めてくださいました。

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音楽分野における女性の強みとは何ですか?

女性は感情が細やかで、「歌を表現する」ことに長けていると思います。アーティストの感情が大きく変化すれば、演奏しながら歌を繊細に表現できるという利点があります。
うれしいときと悲しいときでは、演奏が変わります。私自身の経験に照らしてみると、女性は恋や結婚、妊娠、出産といった状況に応じて心から感じる感情を捉えることができます。それをうまく生かしてほしいのです。

サクソフォンでなくても、女性には楽器を習って演奏してもらいたいと思っています。楽器を演奏するだけで、何の変哲もない人が特別な存在になれるのですから。そう、まさに私がそうでした。皆さんにも楽器に挑戦し、演奏を楽しむことをお勧めします。

夢と次世代へのメッセージ

偉大なアーティストになりたいのではなく、私はサクソフォンを演奏したり生徒に教えたりする中に「幸せ」を感じられる人になりたいのです。つまり幸せなアーティストということです。幸せな演奏をして、聴く人に心地よさや感情を届けるような奏者になりたいです。同様に、私が教える生徒の皆さんにも、人の心の琴線に触れることのできるような奏者になってほしいです。私の気持ちが生徒の皆さんに十分伝わり、演奏を通して表現してもらえたらすてきだろうと思います。

時代は変わりました。かつて、多くの女性は良い妻になることを望みましたが、現在は女性としてできることが無限にあると思うのです。アーティストとして、指導者として、長く活動を続けながら、私はこういった可能性や夢を広めていくことにも取り組んでいきたいと考えています。

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