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Tan Shi Bei

ヤマハ音楽教室講師

ヤマハ音楽教室講師のTan Shi Beiさんに、これまでのキャリアと、ピアノや音楽、教育についてのお話を伺いました。

音楽との関わり

私は人と打ち解けるのに時間がかかるタイプだと思います。ですがお互いによく知り合えば、率直で楽しく、聞き上手であることがわかると思います。また、とりわけ音楽に関しては、熱意と情熱を持った人間でもあります。初めての音楽との出会いは、3歳の時でした。当時両親は、私がいつもピアノのところへ行って、それまで音楽のレッスンなど受けたこともないのに、鍵盤をたたいていることに気が付きました。私がピアノに興味を持っていることに気が付いた両親は、ピアノを習いたいかと尋ねました。そして、私は無邪気に「うん!」と答えたのです。こうして私は、ヤマハ音楽教室の幼児科に通い始めました。

私の記憶にある中で最も幼いころの音楽にまつわる思い出は、母が歌う讃美歌や童謡を聴いていたことです。母はまた、私と弟にそれらの歌い方を教えてくれました。ヤマハ音楽教室の幼児科に通うよりも、ずっと前の話です。

私は子どものころからずっと音楽を教えたいと思っていたのですが、学生時代には医療と科学にも興味があったため、大学で音楽の学位を取ろうとすることはありませんでした。大学時代に、音楽から離れれば離れるほど、自分は音楽を教えることに一生をかけて取り組みたいのだと確信するようになりました。そこでヤマハ音楽教室の講師に応募し、晴れてオーディションに合格し、マレーシアのペナン州にある教室に配属されました。

[写真] Tan Shi Beiさん

音楽と教育に対する思い

私の原動力は、思いがけない美しいハーモニーに鳥肌が立つような、新しい音楽に出会いたいという気持ちです。クラシックでもサウンドトラックでも、ゲーム音楽でもいいのです。楽曲を聴くと、使われているコードをつかみたい、これをピアノで弾きたいという気持ちになり、同じコード進行を自分の曲に使ってみようという意欲がわいてきます。そういった美しい曲を作った作曲家たちには、ただただ感謝するばかりです。

私にとって、音楽の創作とは自然に沸き起こってくるものです。常に頭の中で音楽が流れているので、いつでも、どこでも行えます。女性ならではの豊かな感情表現が音楽の創作にもつながるのだと思います。

演奏するときは、あらゆる心配事や考えをいったん横に置いて、別世界へと入り込み、音楽だけを楽しんでいるような感覚になります。こうなると、知らず知らずのうちに時間がとても早く過ぎていきます。

ずっと音楽を続けてきたことで、いくつかの強みを身に付けることができたと思います。新しい曲を学んだり、難しいフレーズを克服したりすることで、忍耐強くなりました。また、自分を律して目標に向かうことができるようにもなりました。これらの力は、音楽の技能向上を目指す終わりなき道のりの中で、私を支えてくれるでしょう。最後に大切なこととして、予測不能で臨機応変にレッスンプランを変更することが求められるグループレッスンの場面では特に、柔軟性と創造性を身に付けることができました。

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音楽や教育の分野で直面した課題

ジェンダーによる固定概念に直面することも、確かにあります。たとえば、ヤマハのピアノ演奏グレード5級を取得した時、私は両親にドラムを習ってもよいか尋ねました。ですが、ドラムには男の子のほうが向いていると言われ、結局代わりにバイオリンを習うことになったのです。バイオリンも大好きですが、大人になり自分で選ぶことができる今なら、時間さえ許せばドラムレッスンに申し込むと思います。指導中には、児童期の男の子からはよく「歌は女の子がすることだから歌いたくない」と言われます。彼らの背中を押すために、有名な男性アーティストを例に挙げたり、彼らが好きなポップスを選んで歌ったりしています。

生徒に対する思い

生徒たちが弾きたい曲を弾けるようになり、試験で良い成績を取り、クラスで音楽を楽しんでいる姿を見ることが、私の目的意識の源です。彼らが、あるソナタの楽曲、たとえばショパンのワルツなどを習いたいと言ってレッスンに来てくれると、本当に満ち足りた気分になります。それは、彼らがクラシック音楽の楽しみ方を知ったということだからです。

私の指導スタイルでは、生徒をできる限り巻き込み、質問をして楽曲への理解を確かめながら展開していきます。音楽レッスンの中で、生徒たちが「もう一度やろう!」「もう一回!」と言いながら、友達と一緒に音楽、特にアンサンブルを楽しむ姿は、私にとって大切なことです。

指導しているときは、自分にすべてが委ねられているように感じます。船の船長のように、クラス内のあらゆる状況を制御するのです。私には、全力を尽くして指導し、コミュニケーションを取り、耳を傾け、一緒に音楽を楽しむ責任があると感じています。生徒と音楽を創り上げるときは、友達同士のように感じます。一緒に話し合い、意見を交換し、その中で彼らをより深く知ることができるからです。

[写真] Tan Shi Beiさん

次の世代へのメッセージ

音楽に携わる女性には、特に音楽制作、作曲、DJ、サウンドエンジニアリングなどで平等な機会が与えられるべきで、教育の分野だけに限定されるべきではないと思います。

音楽を奏でてみたいなら、チャレンジしてみてください。そして、決してあきらめたり希望を失ったりしないでください。あきらめなければ、音楽は一生にわたってあなたの友人となり、仲間となり、強みとなって、あなたが送る日々を支えてくれるでしょう。

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