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Lopeno Ovung Queah

音楽教師、アーティスト

Lopeno Ovung Queahさんに、これまでのキャリアと、音楽や教育についてのお考えを伺いました。

ご自身のこと、そして音楽の道に至る経験についてお聞かせください。

私の名前はLopeno Ovung Queahです。インド北東部のナガランド州にあるコヒマという町で生まれ育ちました。幼いころから、教会で歌う讃美歌やコーラスを通して、音楽に親しむようになりました。両親は音楽家ではありませんが、音楽を非常に愛していて、その愛に励まされ支えられながら、私は職業として音楽を選ぶことになりました。最初の楽器はアコースティックギターで、10歳でコードを習い、そこから音楽に引き込まれていきました。

高校の時、クラスメートの影響で、ドラムやロック、メタル・ミュージックと出会いました。当時は、ドラムのレッスンをしてくれる音楽学校もありませんでしたし、インターネットという便利なものもなかったものですから、私は、もっぱら耳で、カセットテープレコーダーの音を聴き、ドラム演奏を自分のものにしていったのです。ドラムを始めたのは15歳の時でした。

2002年、私はナガランドでドラムを教え始めましたが、単発の仕事で、フルタイムというわけにはいきませんでした。しかし、2004年のシンガポールのヤマハ音楽教室での生徒としての経験が、私の音楽教育に関する見方を変え、フルタイムで教えてみよう、という決心へと舵を切らせてくれました。

[写真] Lopeno Ovung Queahさん

音楽とご自身の関係は、どのようなものですか?

私はチャレンジすることが好きなんです。そして、音楽は美しいものです。私は音楽を聴きたい、演奏したい、学びたいのです。最後の瞬間まで、そうするつもりでいます。1996年、私は女性バンドを結成しましたが、そんなものは当時、インドでは聞いたことがありませんでした。かつてのナガランドは、いろいろと、うるさいところで、たとえば、男性のバンドメンバーと街をぶらついたり、深夜に演奏したりする状況に好意的ではありませんでした。ならば、いっそ、バンドのメンバーは全員女性にしてしまおうと思いました。そうして、私たちは、一緒に自分たちの時間を楽しみました。残念ながら、進学時に違う大学に行くことになり、バンドは解散しなければなりませんでした。しかし、私は、音楽への信念と情熱を、ただただ、強くしたのです。

[写真] Lopeno Ovung Queahさん

音楽教育との関わりについて、お聞かせいただけますか?

知識を分かち合うことの喜び、それが、私が教えることを楽しんでいる主な理由です。2007年にニューデリーで教える仕事をスタートした時、珍しい経験をしました。それまで子どもを音楽教室に入れたいから、教師のオーディションをしてくれなんていう親は見たことがありませんでした。その逆ならいつものことですが。ドラム演奏の業界は男性が仕切っていますから、私が本当に教えることができるのか、確かめたかったのだと思います。驚きましたが、腹が立ったわけではありません。それに、子どもたちの前で、ドラムのような素晴らしい楽器とドラム演奏を紹介できる機会をもらえてうれしく思いました。

音楽教師として、私たちは一人一人の子どもたちが違うのだということを理解しなければなりません。ですから、スムーズに授業を進めるために、私はいつも全教材が準備できているかを確認し、生徒たち全員の上達の度合いをチェックしています。子どもたちが達成したら褒めます。それはそれぞれの子どもの至らない点を理解し、克服することと同じように重要です。こうすれば、さらに自信をつけていくことになるでしょうから。ひとつの楽器を演奏する技術を習得させる機会であるだけでなく、自己管理、思いやり、忍耐、誠実さを身に付けさせる機会でもあります。私の生徒たちの誰もが、職業として音楽を選ぶわけではありません。いつの日か、あの子たちが責任ある大人になり、積極的な人間的価値観を携え、人生の旅を続けていく際に、音楽が助けとなってくれると信じています。

[写真] Lopeno Ovung Queahさん

音楽分野にいる女性や少女たちを後押しするには、どのような変化が必要ですか?

ピアノや歌だけでなく、小さいころからいろいろな楽器に触れ、女の子に優しい環境を整えることが、大きな効果を生むと思います。音楽という分野で、もっと大勢の少女や女性が活躍するために、音楽のキャリア形成のための平等な機会と支援が不可欠でしょう。

次世代の方々へメッセージをお願いします。

いつも夢を持っていてください。大きくても小さくてもいいのです。自分自身に正直に、その実現に向けて努力してください。音楽は世界共通の言語です。異なる文化を伝え、理解し、相手の一部になれます。皆が経験しなければならない言語なのです。

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