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Bing Chen

ヤマハ音楽教室講師

Bing Chenさんに、これまでのキャリアと、音楽や教育についてのお考えを伺いました。

はじめに、ご自身についてのご紹介と、音楽に関するこれまでの経歴をお聞かせください。

ご自身を言い表すとしたらどのような人物ですか?

音楽が好きで、子どもが好きで、人生が大好きですね!

音楽を始めたきっかけを教えてください。

幼いころ、両親がよく家でポップミュージックを演奏していました。両親の話によると、私は音楽に合わせて歌っていたみたいです。幼稚園の時、音楽教室の先生たちがコースの紹介をしに来て、それがきっかけで音楽を習い始めました。

記憶にある最初の音楽との思い出は何ですか?

6歳か7歳の時、演奏会に参加しました。たくさんの観客が集まるイベントでした。祖父はソワソワして、友人たちにイベントの写真撮影を頼みました。私は演奏前からそのことを知っていたので、とても気が散ってしまい、結局散々な演奏になってしまいました。つらい経験でしたが、それから、気を散らさずに演奏に集中しようと決心しました。

教育に携わるようになったきっかけを教えてください。

私が音楽を習った先生方は、みなさん素晴らしいプロ意識をお持ちでした。Tianjin Conservatory of Music(天津音楽学院)のGao Jiyong先生には、とても長い間指導していただきました。父からよく、「Gao先生のもとで、音楽だけでなく、より良い人間になる方法も学びなさい」と言われたものです。先生は、音楽に対してものすごい情熱をお持ちです。また、生徒への接し方も心得ているので、私たちは先生のことを心から尊敬し、大好きなのです。先生は、楽器を演奏する方法だけでなく、ハーモニーやアンサンブル、ジャムセッションについても体系的に教えてくださいました。

音楽を学ぶ目的は、演奏だけではないということが分かりました。音楽に関する豊かな知識を生徒に伝えられるような指導者になれたのは、Gao先生のおかげと感謝しています。

だからこそ、2006年にヤマハ音楽教室が北京で音楽講師を募集していた時、私はその一員になろうと決めたのです。

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音楽とご自身との関係を言い表すとしたら、どのようになりますか?

あなたのインスピレーションの源、あるいは原動力は何ですか?

興味のあることなら何でも、たとえば展覧会へ行ったり、映画を見たり、旅行をしたり、散歩でさえも、インスピレーションの源となり得ます。

先生や両親からは、「やるからには全力で取り組みなさい」と教えられました。ですから私は、作曲する時には徹夜もするという先生の習慣を「受け継いだ」のです。この「伝統」は現在、私の生徒へと受け継がれています。

どのようにして音楽を作り上げるのですか? ご自身にとって、他の女性とのつながりは大切ですか?

中国には「何事も初めが難しい」という言葉があります。作曲に関して私は音楽教室の生徒たちと何ら変わりません。つまり私も、いつもあれこれと迷いながら、苦労して作曲のモチーフを考えているのです。モチーフが決まると少し楽になります。たいていの場合、この段階で頭の中を空っぽにするようにしています。

「モチーフを選ぶことができない病」の私としては、第二の問題はどのモチーフを使うか決めることにありました。それも決まると、ピアノの前に座り、一気に曲を書き上げます。ぐずぐずしたり注意力が散漫になったりして、アイデアが途切れないようにしています。

ひとつはっきりしていることがあります。それは、他の女性とのつながりは大切だということです。誰にでも他の人にはない長所があるものなので、常に学び合うことができます。たとえば、私にはジャズが得意な女性の仕事仲間がいます。ジャズについて知りたいことがあるときは、彼女に質問すれば、惜しみなく自分の見解を伝えてくれます。彼女が仕事仲間であることに、とても感謝しています。

音楽を演奏しているときはどのような気持ちですか?

両親に感謝しています。物質的な成功にかかわらず、いつも私の音楽への情熱を支えてくれました。また、音楽界の素晴らしい多様性や、作曲家や作詞家の卓越したアイデアに感動しています。音楽と友だちでいられるのは、とても幸せなことだと思います。

音楽の演奏における、ご自身の強みは何だと思いますか?

エレクトーンを演奏することです。エレクトーンはさまざまな楽器の音を奏でられるので、奏者はすべての楽器を理解する必要があります。エレクトーンの良さを生かすには、音楽の構成や和音、伴奏について学ばなくてはなりません。また、エレクトーンは演奏のための楽器でもあるので、上手に弾けることも必要です。

ですから、演奏するときは、理論と実践を融合させています。エレクトーンで学んだ知識は、巨匠の作品やキーボード・ソロを弾くときにも役立ちます。

音楽活動において、ジェンダー平等の問題に直面したことはありますか? どのように克服しましたか?

現代の中国社会は男女平等だと思います。私から見ると、女性の能力は十分に評価されています。個人的には、ジェンダーに関する問題に直面したことはありません。その代わりに、前進したときにはたくさんの励ましをいただきました。

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教育とご自身との関係を言い表すとしたら、どのようになりますか?

どのような目的意識を持ち、何を原動力に活動されているのですか?

ヤマハ音楽教室の体系的なコースに参加する子どもたちが増えることを期待しています。
中国の有名なピアニストであるSheng Yuan氏はかつてこのように言いました。
「すべての教育、特に芸術教育は、学習者の到達度を高めることを目的としています。それは単に芸術を教えるだけでなく、芸術を通して人を育むということです。優れた教育者にとって、教育における規律は、より高いレベルや質の高い教育者につながる道なのです。音楽理論、演奏、音楽史に関わりなく、芸術は愛や美、温もりを教えてくれます。生徒は正しい学び方や、他者との関わり方、考え方、そして最終的には練習方法を理解することができます。音楽を通して、気持ちについて学ぶことができ、これこそが教育の真の意義なのです。ある意味、学びの過程は結果よりも重要です。知識や技能など、見たり感じたりできるものは、目標と呼ばれていますが、それらは手段にすぎません。見ることも感じることもできない温もりこそが、真の目的なのです」。
これは突き詰めると、ヤマハ音楽教室の目指すところでもあります。

もっと多くの子どもたちに、その恩恵を受けてほしいと願っています。これは、講師1人や数人の努力では到底かないません。たくさんの人が加わり、それぞれが自らの役割を果たす必要があります。関係者すべてが力を合わせて取り組むのです。これができれば、私たちの音楽教育はより良いものとなるでしょう。

教育に取り組む中で私の原動力となっているのは、生徒と創造的活動について学び、取り組みながら話し合う中で、彼らが音楽から喜びを得ていると実感すること、そして最終的には満足のいく演奏をしているのを見ることです。

あなたの教え方はどのようなものですか? 音楽クラスで重視していることは何ですか?

重要なことを教えるときは、生徒に厳しくなりがちです。これは、生徒に早く趣旨を理解してもらいたいからです。また、重要なポイントを覚えやすくするために、複数の方法を使っています。

グループレッスンは特に効果的な学習方法であり、非常に重要です。生徒たちは、クラスメートの音楽を理解することで、たくさんのことを学びます。一緒に習うことで、無意識に自分の作品を他の子と比べることもできます。
私は、生徒の和音を作る能力に大いに注目しています。和音の調性は音楽に影響を与えますが、それは唯一のものではないため、状況が許せばいくつかの内容を教え、和音に関して豊かな経験を積んでもらっています。

教室で教えるときや、生徒と音楽を作り上げるとき、どのように感じていますか?

教え方と学び方は、連動して上達します。生徒たちが成長してくると、私は何らかの歴史的な出来事を題材にした作曲に挑戦させます。彼らが書く音楽は、その出来事に合っていなくてはなりません。ですから数カ月間は、いかに音楽を歴史と融合させ、絵画的な印象を持たせるかに重点を置きます。中国の史実であれば容易ですが、他の分野の題材となると、教える側も楽器の歴史について詳しく勉強する必要があります。生徒たちに複数の題材から選ばせることもできるし、方向性を示すことも可能です。
この取り組みは、このクラスの面白いところであり、私自身もここ数年で成長したように感じています。

音楽指導における、ご自身の強みは何だと思いますか?

私が生徒たちから好かれているのは、子どもたちのように振る舞うからだと思います!
生徒たちとは友だちのように接していますし、クラスではアイデアを伝える感じです。
適切な教え方を選んでいるので、私のクラスでは生徒たちの理解が早いのです。

これまでの指導経験の中で、ジェンダー平等の問題に直面したことはありますか? どのように問題を克服しましたか?

(音楽教室では)ほとんどの講師が女性なので、ジェンダー平等に関する問題に直面したことはありません。実際、生徒たちや保護者たちも私のことをとても気に入ってくれています。生徒たちのほとんどは母親に付き添われてやって来ますが、父親が一緒に教室に来ることもよくあります。たいていの保護者たちは講師とうまくやっていますし、生徒たちをしっかりと励ましてくださいます。

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音楽分野で女性の地位が向上するためには、どのような変化が必要だと思いますか?

音楽業界で活躍する女性の奏者、作曲家、教育者はたくさんいます。女性が自らの努力によって成功を遂げるのを妨げる問題はないように思います。

可能であれば、少女たちがアイデアやテクニックを発表できるようなコンサートや音楽イベントがもっとあるべきです。また、女性に関する歴史的、哲学的テーマを表現するような音楽作品があれば良いと思います。

次世代の方たちへ、アドバイスをお願いします。

すべての美徳の中で最も大切なものは、「孝行」です。親孝行をしてください。ご両親はあなたにできる限りのことをしてあげようと、いついかなるときも、応援してくれています。

夢を持ち続けてください。目標を定め、きっとうまくいくという姿勢と辛抱強さでどんな困難も乗り越えてください。たとえつまずいても、自分を奮い立たせ、立ち向かっていく勇気があるはずです。こうして身に付く姿勢は、結果そのものよりもはるかに価値のあるものなのです。

  • 儒教思想の影響を受けた社会で、親や年配者、先祖を敬う態度のこと。

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