Viviane Louro
インクルーシブな音楽教育を取り入れる教育者
Viviane Louroさんに、これまでのキャリアと、音楽や教育についてのお考えを伺いました。
ご自身についてのご紹介と、音楽に関するこれまでの経歴をお聞かせください。
私は意志が強く、芸術を愛し、人生や人の心に興味があり、世界の不公平に憤り、残酷な現実を変えることの難しさを知っている理想主義者です。幸せは存在しないけれど、生きる価値のある瞬間は存在し、それが私たちの存在に意味を与えているのだと知りながら、流れに逆らって生きることにほとんどいつも疲れています。自分の理想を上回る世界を見ることなく逝くのだとわかっていても、いつかそんな世界が、せめて私たちの願望の中でだけでも実現するようにと願って闘っている人間です。
私には生まれつき病気があります。何の病気なのか現在まで診断がついていませんが、身体中の筋肉に影響しています。子どものころは手が開かなかったのですが、2歳の時におもちゃのピアノをもらい、それを弾きたくて手を開こうとし始めました。それを見た母は、私に音楽を勧めるようになり、4歳の時、ピアノのレッスンを受けさせようと先生を見つけてくれました。こうして私は、偉大な愛、つまり音楽と出会ったのです。
記憶にある最も古い音楽の思い出は、もらった小さなピアノを弾いて、「ノアの箱舟」アルバム(5歳まで)の歌を歌っていたことです。初めて本物のピアノの前に座った日のことも覚えています。黄色がかった鍵盤に自分の手が乗っているのを見ていたのを思い出します。
12歳の時、当時4歳だった弟にピアノのレッスンを始めました。黒板に絵をかいて遊ぶゲームを通して、ト音記号やヘ音記号を教えることができました。15歳の時にはすでにピアノと理論を教えており、みんなが教え方をほめてくれたので、やめずに続けました。
音楽や教育とご自身との関係を言い表すとしたら、どのようになりますか?
私と音楽との関係は、最高の愛です。
プライベートでは、母がいつも私を励まし、ミュージシャンになれるよう手を尽くしてくれました。音楽生活の中では、私の人生を変えてくれた先生方がいました。
教育は現在、私の生活の糧であり、人として満たされる場所でもあります。現在私は、教育に取り組むことのほうが、演奏よりもはるかに重要だと考えています。なぜなら、音楽を作ることよりも教えることによって、世界により大きな変化を与えられると思うからです。
音楽教育において私が目指しているのは、全国の音楽の場に神経科学とインクルーシブ教育を広めることです。生徒の人生にインスピレーションを与え、教育を通してより良い先生になる方法を学びたいとも思っています。
私の教え方は柔軟です。単一あるいは閉鎖的な方法は信用していません。なぜなら人はそれぞれ違っていて、捉え方も違えば、スキルも難しさも違うからです。ですから私としては、教え方がひとつであるわけがないと考えています。私のやり方は、まず生徒それぞれをよく知り、彼らのニーズ、困難、要望から方法論の道筋を作ります。この道筋における主人公は、いつでも生徒自身です。神経科学と脳の学習に関する研究に基づき、個々に合わせた方法で学びを充実させています。
ジェンダー平等の問題に直面したことがありますか? その問題をどのように克服しましたか?
男性優位はあまりに構造的な問題なので、あまり気づかないのだと思います。女性であることへの偏見に気づいたことはありません。しかし、障がいを持っていることや、見た目が人々のイメージする高潔で偉大な研究者や教育者と一致しないことへの偏見なら、たくさん感じてきました。
音楽の分野で女性や少女を後押しするためには、どのような変化が必要だとお考えですか?
女性の地位については、音楽ビジネスの分野でより多く議論できると思います。作曲、リージェンシー、編曲、制作の分野でより多くの機会を提供すべきでしょう。演奏の分野は、先に述べた分野に比べるとジェンダーが平等であると思います。
次世代の若者たちへメッセージ
あきらめないで…抵抗して…あなたに何ができて、何ができないのかを、他の人に決めさせてはいけません。音楽はみんなのものなのです、絶対に!