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ブランドストーリー

Julie Duty

教育者

音楽をより高い次元で活用すること
教育者Julie Dutyが語る、機会の創出と障壁の撤廃

音楽との関わりと教育に対する思い

教育の場とは、子どもたちが家庭の外にある世界について知るところです。そういった場で初めて音楽に触れる子も多く、ほとんどの子にとっては、グループで音楽を作り上げる機会に参加できる唯一の場所でもあります。そして、障がいを持った子どもや大人にとって、音楽に参加する機会というのは、人生を一変させるような出来事ともなり得ます。こういった理由から、Julie Duty氏は教育者になることを決意し、今日「私にとって教育はすべてです」と語っています。

Duty氏が初めてサクソフォンを手にしたのは、彼女がまだ7歳の時でした。彼女の父親もサクソフォン奏者で、祖父は楽団のピアニストを務めていました。「彼らがやっていることに、すごく参加したかったのです」と彼女は語ります。「パーティーで、卵の木箱に座って自分の楽器を吹きました。足は床に届かず、アルトサクソフォンの右手のキーに指が届くのがやっとでしたが、私が習った曲を演奏すると、祖父は私のパート以外のすべてを弾いてくれたのです。自分が大物になったような気分でした!」

3年生の時、Duty氏は学校の楽団に参加しました。彼女は今でも、当時の帰属感を鮮明に覚えています。「私は音楽に自分の『適性』を見つけ、そこで自分が必要とされていると心から思えたのです」と彼女は語ります。サクソフォンの奨学生としてアリゾナ州立大学に入学したものの、当初は工学を専攻し、音楽は副専攻でした。「工学部を出て音楽学部に戻るたびに、ほっとして、家にいるような気持ちになりました」と、最初の学期を終えた後、音楽教育学に専攻を変えた理由を語ります。2014年に、Duty氏は「音楽を通じて障壁を取り除き、社会の変化を促すこと」をミッションにUnited Soundを設立し、現在エグゼクティブ・ディレクターを務めています。Duty氏は人生の今の時期に、音楽を作る機会を他者に提供すること、とりわけ他では取り残されてしまうような人たちのために、そういった機会をつくることがとても重要であると感じています。現在は、学校や地域のアンサンブルにおいて、障がいを持った人のためのアクセスを確保することを中心に活動しています。

[写真] Julie Dutyさん

多様性の尊重に対する思い

Duty氏は個人的な経験から、ジェンダー平等の問題は時代とともに変化していると考えています。「高校生のころ、いくつかのグループ、主にジャズのグループに参加していました。そこでは女子は私一人で、強い圧力を感じていました。当時は90年代で、ジェンダーに関する発言や批判がもっと許容されていました。大人になっても、特に男性優位の分野で働いていると、女性であることを理由に居場所がないと感じることは多々ありますし、ある年齢以上の男性の中には今でも当たり前のようにそのような発言をする人もいます。何か不適切なことが起こったとき、反応するか、より大きな目的のために受け流すか、選ばなければならないことがよくあります。私たちは皆、自分自身に対してさえも暗黙の偏見を持っていますし、コミュニケーションの取り方や仕事に求めるものも異なります」

Duty氏は、生徒に自立する力を与えるように教育が大きく変化しつつあると感じています。「United Soundでは、誰もが気持ちよく参加できるようにユニバーサルデザインを考慮した教室を構成するよう、先生方を教育しています」と彼女は言います。「私たちは、マイノリティーの作曲家にも広く門戸を開き、スキルを高められるように取り組んでいます。同時に教育者には、レパートリーの多様化がもたらす機会と重要性について教えています」

彼女の考えでは、女性や少女たちの地位向上のために必要な最大の変化は、システム的なものであり、多くの場合は直接目に見えないものです。「少女たちに、発言してもよいということ、謝ってばかりいなくてもよいということ、『良い子』は必ずしも従順という意味ではないこと、適切な境界線(これを維持することが必要であること)について教えることは、素晴らしい最初の一歩です。教育者として、雇用者として、私たちは自分の内側にある暗黙の偏見を見つめ、演奏の場が常に平等であるよう努力すべきなのです」

次世代へのメッセージ

「まずは自分で自分の邪魔をしていないか確かめてみましょう。その問題を解決したら、チームをつくり、あなたの目標に立ちはだかる障壁を取り除きましょう。もし音楽を使って人間関係を築けたり、誰かが環境になじんだり、安らぎを感じたりするのを助けることができたなら、それは音楽をより高い次元で活用していると言えると思います」

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