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Estefane Santos

トランペット奏者、教育者

Estefane Santosさんに、これまでのキャリアと、音楽や教育についてのお考えを伺いました。

ご自身についてのご紹介と、音楽に関するこれまでの経歴をお聞かせください。

私は黒人のトランペット奏者であり、戦士です。質素で、善良な心の持ち主です。私が特に言いたいのは、私は貧しい家庭の出身だったため戦いに満ちた人生を歩んできていること、でも私の生い立ちは夢を追求する上で障害ではなく、モチベーションになったということです。こうして私は、夢を実現するために努力し、Latin Grammy Foundationからの奨学金を4年連続で獲得して、音楽教育分野での学士と大学院学位を取得しました。

私が音楽に出会ったのは非常に早い時期でした。生後間もなくから教会に通い、歌い始めました。管楽器については、まずフルートを習いました。トランペットを好きになったきっかけは、実は男性だけが演奏することに対して疑問を持ったことでした。そして私は、少なくとも私の通う教会では、その考えを変えたかったのです。私はトランペットに転向し、音楽学校、大学、そして現在は大学院に通いながら、真剣に取り組んでいます。

私は教会で育ったので、音楽は常に私にとって身近なものでした。ですが、本当にクールな思い出があります。私はラジオを聞くのが大好きだったのですが、あるとき、(Radio Cultura FM 103.3)に合うまでラジオ局をザッピングしていました。真夜中過ぎに人気のレパートリー(ジャズやブラジル音楽)が流れてきて、トランペットの音(Miles Davisの演奏する『Round Midnight』)を聞いた時、私は恋に落ちました。この時のことは今でも今日起こったことのように覚えています。

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音楽や教育とご自身との関係を言い表すとしたら、どのようになりますか?

教会とソーシャルプロジェクトの両方で音楽を学び始めた時、私はすでにバンドやオーケストラで演奏していたものの、トランペットのレッスンは受けていませんでした。基本的にはメソッドを取り入れて独学で学びました。EMESP Tom Jobim音楽学校に合格してようやく、トランペットの先生に教わるチャンスを得て、理論的な授業を受けることができました。卒業後、私は大学に入学し、特に金管楽器を教えている女性があまりいないことに気づき、教えることにますます関心を持つようになりました。私は家庭教師を始め、それから学校でも教えるようになりました。私は昨年学士号を取得し、すでに音楽教育分野の大学院修士課程に進学しています。

想像もしていなかった場所に私を連れて行ってくれる音楽に、とても感謝しています。物質的なことだけを考えるのではなく、説明のつかないような方法で私を満たしてくれます。私と音楽との関係は、感謝と計り知れない敬意ともいえます。

楽器を演奏している時、ここに来るまでに乗り越えてきたすべての困難が鮮明な映像となって頭の中で流れています。私がいつも大好きなことをしているということ、そして種をまいたすべてのもの、手にしているすべてのものを見ることができ、感謝と幸福の気持ちが絶えません。振り返って、それらすべてに価値があったと実感しています。

私は音楽を教えることを通して、学んだあらゆることを他の世代に還元しています。教えずには生きていけないでしょう。教えることでたくさんのことを学んでいます。学ぶことをやめたくありません。私自身も辺境の地の出身なので、私と同じような出身の音楽を愛する人々に良い音楽教育を提供したいと思っています。しかし、私のような黒人女性の居場所がほとんどないような場所である大学で教えたいとも思っています。そして、そうした場所に学びに来る女の子たちはいつの日か自分たちの表現方法を確立し、自分たちの時代が来ると信じるようになるでしょう。

芸術を通じて人々を助けることが、私が教えることの目的です。音楽を通じて、生徒たちが音楽の道に進むかどうかに関係なく、自分の考え方や性格の一部を変えて、さらに忍耐強く、自制心や覚悟を持ち、他の文化との違いを尊重することができると信じているからです。生徒たちの目標によって、趣味で学ぶのかプロを目指して勉強するかによって、着眼点は異なりますが、目標に関係なく、着目すべきは芸術にもっと触れる中で人々をさらに人間らしくすることです。

その場で観て感動してくれているすべての人にメッセージを届けている感覚になります。アドリブ演奏の時は特にそのように感じます。私がソロで演奏する時、それはただの音符ではなく、私の物語が語られる瞬間になります。そして私の出自を克服し、少なくとも観てくれているすべての人にその瞬間を与えられて、私は何て恵まれているのだろうと感じます。

とても重要なのは、自制心を持つことです。常に思うのは、良いミュージシャンになるということは、才能や「ギフト」を持って生まれてくるということではないということです。時には本当に気楽になってもいいのですが、自制心を持って学ばなければ何も実を結びません。決心し、忍耐強く、歌や即興演奏で間違えても明日は明日の風が吹くと考えること。あきらめてはいけません。もうひとつ重要なのは、常にクリエイティブであること、そこで演奏されている音楽やリズムを尊重することです。これらすべてが、より優れたミュージシャン、より良い人間を生み出すと信じています。

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ジェンダー平等の問題に直面したことがありますか? その問題をどのように克服しましたか?

ええ、いくつか問題に直面してきました。常に音楽を何よりも大切にすることが一番だと思います。そして、その当事者や悪意あるコメントに振り回されないことです。私は他の女性、特に私よりも長く活躍している女性たちと一緒に、自分自身を強くしていこうと考えています。最も重要なことはいつでも、私たちのアート、私たちの音楽なのです!

音楽の分野で女性や少女を後押しするためには、どのような変化が必要だとお考えですか?

対話においても作業においても、私たちは団結する必要があると信じています。ライブへの参加を呼びかける時、一緒に歌ったり学んだりする時は、いつでも強くいられます。他の女性ミュージシャンが私を歓迎してくれたように、団結することが次の世代のためになるでしょう。

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次世代の若者たちへメッセージ

2022年、私はここブラジルで最大級の国際トランペット・フェスティバルであるJazz Trumpet Festivalでワークショップを行いました。私は、参加者のほとんどが男性であるこのワークショップを行った初のブラジル人黒人女性でした。授業が終わった時に、とある女子学生が私のところに来てこう言いました。「あなたは私に最も大きなインスピレーションを与えてくれました」と。その瞬間、私の目は涙であふれ、心の中でその言葉を反すうしてすべてが腑に落ちたのです。次の世代に希望を与えるために、必要なのは何かを言葉にすることではないことが多く、音楽という手段を利用すべきです。手と手を取り合えば、インスピレーションを与えてくれる人がもっと増えていきます。私がその女の子にインスピレーションを与えたのと同じように、彼女もまた別の人にインスピレーションを与えるでしょう。

いつも私を強くしてくれるElla Fitzgeraldの言葉を引用します。「本当にやりたいことに挑戦するのをあきらめないで。愛とインスピレーションがあれば、うまくいかないことなんてないわ。大事なのは今までのあなたじゃなく、これからのあなた」

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