[メインビジュアル] Erin Buschさん

Photo Credit: Alexey Alexandrov

ブランドストーリー

Erin Busch

作曲家、教育者、チェロ奏者

サポート、援助、コミュニティーの重要性
変化をもたらす - 作曲家、教育者、チェロ奏者 Erin Busch

音楽との関わり

「子どものころ、私は自分がミュージシャンになる『つもり』であるかどうか、疑問に思ったことすらありませんでした。私がミュージシャンであることは自明のことでした」そう語るのは、作曲家、教育者、チェロ奏者のErin Busch氏。ペンシルベニア州フィラデルフィア出身の彼女は、わずか8歳のころに作曲を開始しました。驚くべきことに、彼女はその時点ですでに数年間のピアノ歴がありました。教育への関心を常に抱いていた彼女は、テンプル大学在学中にピア・メンターシップ・プログラムに参加し、音楽理論と作曲の学部での指導を続けました。

チェロ奏者としての駆け出し時代を振り返って彼女が思い起こすのは、演奏の依頼を受けたすべての曲が「今の時代よりもずっと前に亡くなった人たち、つまりモーツァルト、ベートーベン、バッハといった名だたる作曲家たちによって書かれた」ものであったということです。存命の作曲家による作品を彼女が初めて演奏したのは、高校生になってからのことで、それはChristopher Theofanidis作曲の「Rainbow Body」でした。成長著しい若手演奏家にとって、この体験は忘れられないものとなります。「フレッシュでわくわくするようなハーモニーが聞こえてきて、オーケストラの楽器一つ一つが、これまで聞いたことのない美しい音のコラージュに溶け込んでいました。私もそんな作品をいつか書こうと思ったのを覚えています」と彼女は回想します。

それはまた、これまでに演奏してきた曲はすべて男性によって書かれたものであることに気付いた瞬間でもありました。「当時、作曲の世界には女性の居場所がないように思えて、どうしたらいいのか本当にわかりませんでした。オーケストラに演奏してもらえるような作曲家になれると信じていたので、ただ悲しかったことと、そんなふうに信じていたことに少しばかばかしさを感じていたことを覚えています」彼女はその後、若い女性やトランスジェンダーやノンバイナリーの作曲家のサポート、資金提供、コミュニティー提供を行う組織であるWildflower Composersの創設を決意し、現在は組織のエグゼクティブ・ディレクターを務めています。また、OAcademy Gabriela Ortiz Composing Studioの共同創設ディレクターも務めています。

[写真] Erin Buschさん

Photo credit: James Diaz

教育に対する想い

Busch氏の教育者としての方法論は、柔軟で洞察力に富んでいます。「生徒と一対一で向き合うときは、生徒が演奏する音楽をよく聞き、優しく対応するように努めています」と彼女は説明します。「未完成の音楽を他の人に披露するのは、信じられないほど傷つきやすいことなのです。だから、私は温かく受け入れ、相談しやすい環境をつくるために最善を尽くしています。生徒が将来のセッションで同じことを繰り返す必要がないように、私の方から質問し、自分用にメモを取ります」彼女のやり方は通常の教室で繰り広げられる状況とは少し異なり、コンセプトをゆっくりと段階的に説明することに重点を置いています。彼女の指導目標は、すべての生徒がサポートを受けながら教材に取り組んでいると感じられるようにすることです。

彼女が仲間の教育者に勧めているのは、教育学的見地を十分に取り入れた、ストレスの少ない方法で、授業で定期的に作曲を実践させることです。「たとえば、私は生徒たちに、シンプルで短い即興曲を書いてもらい、その中から数曲選んで毎週みんなで歌わせています」と彼女は言います。「このようなリスクの低い課題に何回も取り組むことで、生徒たちは何がうまくいき、何がうまくいかないのかを知る機会が得られます。また、より長く、より複雑な作曲の課題に取り組むまでに生徒はたくさんの練習を積んでいることになり、もはや及び腰になることはありません」さらに彼女は、生徒達に幼いころから女性作曲家に触れさせることの重要性を強調します。
「私は、現代の女性作曲家のことを1人も知らずに育ったため、音楽の世界における自分の立ち位置に疑問を抱くことになりました」と彼女は振り返ります。「今日の音楽の世界で『成功を収めた』女性作曲家について知ることが、私にとってどれだけ大きな意味を持つかを肌で感じています。皆さんには、生徒たちに変化をもたらす力があります」

次世代へのメッセージ

次世代の女性、トランスジェンダー、ノンバイナリーの作曲家やミュージシャンに向けたErin Busch氏のアドバイスは単純明快です。「音楽を作り続けてください。コミュニティーから歓迎されていないと感じることがあっても、資金援助等を受けるのが難しい局面があっても、決してあきらめないで。世の中にはあなたのコミュニティーがあります。私たちは、あなたが創りあげるものを見るのが待ちきれません」

View Dr. Nadia's Journey