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Anita Dey

小学校音楽教師

「音楽は私の癒し」

Anita Deyさんに、これまでのキャリアと、音楽や教育についてのお考えを伺いました。

まずは、ご自身について、そして音楽の世界でこれまで歩んでこられた道のりについてお聞かせください。

私は小学校の音楽教師です。毎週450人ぐらいの生徒たちを教えており、4年生から8年生(8歳から14歳まで)の学校の全生徒が対象になります。毎年この生徒たちを教えていますから、4年という期間を通して、生徒たちの音楽的な成長を見ることができるという素晴らしい機会をいただいています。

私が音楽の道を進み始めたのは、5歳の時でした。私の両親はインドからカナダへ移住してきた移民でした。伝統を受け継がせるため、彼らは素晴らしい女性が教えてくれる歌のレッスンに私を通わせてくれました。この女性は、カルカッタ大学(the University of Calcutta)の音楽の教授でした。私がごく幼いうちに学ぶことになったこの教授は、とても傑出したものを持っていらっしゃいました。教えていただいた中で最も重要だったのは、それぞれの人間が持つ音楽の個人的な歓びを認識し、それを土台にするということでした。

音楽や教育とご自身の関係は、どのようなものですか?

私と音楽には、素晴らしい関係があります。私にとっては、遊び場のようなものです。他の人と一緒に音楽を演奏するとき、音を合わせたり、自由に即興演奏したりするのに集中するのは、マインドフルネス・テクニック(今この時を大切にする技術)です。同時に多くの感覚を使いながら、その瞬間をとらえなければなりませんから。リズムや音程をチェックするために聴覚を使い、楽譜を読む間には視覚を用い、脳が指に指示を与えるときには感覚と運動能力を使い、楽器を演奏するのです。私にとっては、マインドフルネスを実践するための優れた方法です。

音楽を奏でるとき、私は自由を感じます。日々の重荷やストレスに邪魔されず、あらゆる思考を手離して、音楽に集中します。完璧を求める気持ちは置いておいて、今その瞬間の音楽の楽しみを見いだすことに専念します。アップビートな音楽やドラムを演奏していても、私はリラックスしていると感じるのです。まるで自分が大いなる力とつながり、ある普遍的でスピリチュアルな周波数に同調しているかのようです。

ジェンダー平等の問題に直面したことはありますか? こうした問題をどのようにして克服しましたか?

年齢を重ねた女性であることが、ともすれば思春期の男子生徒たちとの関係を難しくする可能性もあります。特に、ラップやメタル、怒りの音楽を好む男の子たち。彼らは大人の女性がこの分野の音楽を高く評価しないだろうという先入観を持っているのです。

私は、音楽は個人の好みの問題であり、誰かが他人の趣味を評価するものではない、ということを明確にしています。また、怒りの音楽を聴くことは怒りを煽るのではなく、怒りを発散するのに役立つと彼らに話しています。ちょうど、悲しい音楽を聴けば、悲しみを乗り越えることができるのと同じように。自分に語りかける音楽であり、なぜ好きなのかを自分が明らかにできる限り、私は生徒たちにどんなタイプの音楽でもいいので創作を勧めています。悪口を言うのは教室では許されませんが、気持ちを表現するのに別の言葉を見つけることができるはずです。類語辞典が要りますね!

一方、女子生徒とは良い関係を築きやすいと感じています。低学年のうちは、リコーダーの演奏や読譜という細かい技能を身に付けるのに、私は根気よく接していますが、彼女たちにはそれがわかるのです。でも、12歳ぐらいになると、自分のスキルを見せながら教えるようにします。私がロックギター、ドラムキット、サクソフォンを演奏するのを生徒たちが見ます。こうして、自分たちもこれらの楽器を演奏できると彼女たちに示すのです。私は、こうしたことが子どもたちを力づけ、自分で音楽を学び、演奏するようになり、何らかの楽器の道に入っていくことにつながるのだと思います。私が女性で、有色人種であることは、私たちが学校で預かる生徒たちの多様性を思い起こさせ、女の子たちに、音楽の世界では何事も可能なのだと示すことになるでしょう。

音楽分野にいる女性や少女たちに力を与えるには、どのような変化が必要ですか?

音楽という分野で女の子たちや女性の能力を高めるためにすべき最も大きな変化は、多様な音楽教育を受けたり、多様な音楽制作のツールを使ったりすることです。その理由は、私たちは伝統的に音楽教育を植民地的な感覚で考えているからです。私たちはヨーロッパの標準的な楽器で標準的な楽譜を読む方法を教えています。このことは素晴らしいですし、確かに人々は音楽に熱狂しています。しかし、学校によって、子どもたちが使用できる楽器が限られるということがよくあります。買う余裕があるとは限りませんから。もちろん、これらの高価な楽器を学校で試すことができるということは素晴らしいことです。大人でも皆、若いころ、演奏をするチャンスがあったことを覚えているでしょう。音楽分野で少女たちに力を与えるには、彼女たちが学校の外で継続したいときに、学生でも一般的な楽器を買うことができることを、私は付け加えます。一般的な楽器というのは、ピアノ、ギター、ウクレレ、ドラムなどが例として挙げられるでしょう。しかし、それだけにとどまりません。テクノロジーが私たちの世界を席巻し続けている今、女の子たちは自分たちのデバイスで利用できるプラットフォームを使って、自分で音楽を制作する方法を教わるべきだと思います。私はこのことにとても情熱を持っていて、大きな成功事例も出ています。GarageBandや同様のDAWを使って女の子たちが曲を作っているのです。そう考えると、女の子を音楽でエンパワーするための最大の変化とは、彼女たちにもっと学ぶ時間を持たせ、気に入る音楽制作の形を見つけ、それを成長させ、花開かせることなのだと思います。

次世代へのメッセージ

自分の音楽的創造性を刺激する火花を見つけ、自分の世界を照らしてほしい、それが次の世代の音楽少女たちに向けた私からのメッセージです。

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