インドローズウッド
南インドの大都市バンガロールを州都とするカルナタカ州は、林業、林産業も盛んな土地。
この地で、ギターづくりに欠かせない木の保全活動が始まっています。
インドローズウッド Indian Rosewood
学名:Dalbergia latifolia
IUCNレッドリスト Vulnerable
ワシントン条約 CITES 附属書II 掲載種
アコースティックギターの側裏板、指板に使われるインドローズウッドは、インドを代表するローズウッドの一種です(Dalbergia spp.)。ギターに使われる心材は、気乾密度0.7~0.9 g/cm³の硬質材であり、耐久性、加工性に優れています。インド南西、カルナタカ州のフブリ(Hubli)では、濃い赤紫色の美しい材面をもつインドローズウッドが産出します。同じくアコースティックギターの側裏板に使われるマホガニーとは双璧をなし、ギターの伝統的価値観の一端を担っています。
インドローズウッドは古くから高級家具やギターなどの高級材として知られ、インドでは、世界的な高級材であるチーク(Tectona grandis)よりも高級な材として取引されてきました。心材は木材として有用で、東南アジアでは植林実績も多く、1900年代にインドネシアでプランテーションが開始されました。その植林材はソノケリン(Sonokeling)と呼ばれ、広く流通しています。
プロジェクトの概要
インドローズウッドの持続的な利用を目指し、インドの民間企業(Overseas Traders)や森林局(Karnataka Forest Department, Bangalore)、研究機関(Institute of Wood Science and Technology, Bangalore)との協働により、森林生態、木材材質の観点から地域社会と連携した森林保全スキームを構築するプロジェクトです。
プロジェクト対象地域
インド カルナタカ州
インドローズウッドと国有林管理
インドでは基本的に森林は国有資源であり、その中に設置された森林保全区域にて木材が伐採されます。インドローズウッドの他、チーク、インドローレル(Terminalia elliptica)などの有用種は、伐採後オークションを経て売却されます。カルナタカ州では、インドローズウッドなどの有用種を1本伐採すると10本の苗木を植えるといった再造林の規則があります。しかし、インドローズウッドを伐採したからと言って同じ樹種を植える規則はなく、近年はチークが好んで植えられています。
成長と主な用途
伐採されたインドローズウッドは、主にギター指板、側板、裏板に使われます。これらの部材の他、ギターの駒やヘッド、木工小部品や民芸品へと活用されます。また、インド国内向けに燃料としても転用されることもあり、製材時の歩留まりは丸太から25%程度と考えられます。同じローズウッドでも、タンザニアのアフリカン・ブラックウッドとは異なり、通直に成長する上、部材の適用範囲が広いため比較的歩留まりは高くなるのが特徴です。
植林技術の開発
国有林を観察すると、インドローズウッドの成木に比べてチークが圧倒的に多いことがわかります。これは、伐採後の再造林の影響と考えられまずが、一方でインドローズウッドは天然更新しているものの、森林内には1~3 m程度の高さの幼木が少なく次世代個体が成長していません。天然更新を進め、次世代個体を育成するため、伐採跡地やギャップへの植林方法を検証しています。また、種子をとり苗木を育成するスキームを作るため、民間用地に苗畑を建設して技術確立を進めています。
コーヒーとインドローズウッドの関係
カルナタカ州南部、マディケリではコーヒー農園が多くあり、大規模なプランテーションが設置されています。すべてのプランテーションは森林を切り開いたもので、農園の中にインドローズウッドが多く残っています。これはコーヒーの栽培に必要な日陰樹として、設置当初に残されたもので、現在は農園で伐採されたローズウッドも多く流通しています。農園では約30年後にコーヒーと樹木を皆伐して、新たなコーヒーの植え替えを行います。農園内の立木管理、植え替え時のローズウッド植栽を確立するなど、国有林だけでなく地域産業との連携により森林保全の新たな付加価値に繋がるかもしれません。