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音楽ライター記事

ライター:山崎│配信日:2014年4月24日│配信テーマ:洋楽  

ガヴァメント・ミュール・インタビュー/ウォーレン・ヘインズが語るオールマンズ脱退、未来の展望、若手時代の秘話


 2014年4月、ガヴァメント・ミュールが日本公演を行った。

 ギタリスト/ヴォーカリストのウォーレン・ヘインズが、これまで掛け持ちしていたオールマン・ブラザーズ・バンドを年内で脱退すると宣言、渦中で行われたライヴ。だが、そんな“事件性”はみじんも感じさせず、ひたすら極太のサザン・ロックで魅せてくれた。

 来日時に行われたインタビューで、ウォーレンはオールマンズ脱退や未来の展望、そして若手時代の秘話について、時間いっぱいまで語ってくれた。

●ガヴァメント・ミュールのライヴというと野外フェスティバルやシアター規模の会場をイメージしますが、今回の『ビルボードライブ』のようなクラブ・レストランで演奏することはよくありますか?

 いや、実は初めてなんだ。ちょっと違和感はあったけど、ステージに上がってやることは同じだからね。面白い経験だったし、バンドのライヴの幅が拡がったと思う。これからは世界のあちこちのレストランでプレイしていくよ。

●2014年3月、グレッグ・オールマンの気管支炎で、オールマン・ブラザーズ・バンドでのニューヨーク・ビーコン・シアター14階公演の終盤4回が中止になってしまいましたが、その後グレッグは元気になりましたか?

 うん、電話で話したけど、かなり体調は戻っているようだ。オールマンズがビーコン・シアターでやるのは今年が最後だから、4公演が中止になったのは残念だ。年内に何とかメンバー達のスケジュールを調整して、埋め合わせのライヴをやりたいと考えている。

●あなたとデレク・トラックスがオールマンズを脱退するのと、グレッグがオールマンズとしてのツアー活動から撤退するのでは、どちらの方が早い決断だったのですか?

 同じような時期だったと思う。俺とデレクがバンドを脱退することは、もう3年前から話し合っていたんだ。みんなでミーティングもしたし、今年(2014年)で最後にすることに話がまとまった。もちろんマネージャーからは「もう1年延ばせない?」と訊かれたりしたけど、来年以降のスケジュールは既に埋まっているし、これ以上続けることは無理だ。 俺がオールマンズに加入したのは1989年で、25年間このバンドでプレイしてきた。それは一生の宝だけど、人生の次のステップに進むべき時が来たんだ。

●今回のガヴァメント・ミュール来日公演ではショーごとに異なったセットリストを披露していましたが、私が見た初日セカンド・ショーは最新作『SHOUT!』の「ワールド・ボス」から始まり、オールマンズの「ソウルシャイン」で終わるという、バランスの取れた演奏曲目でした。セットリストはどのように組んでいるのですか?

 アメリカでは1回のツアーで何公演も見に来るファンが大勢いるから、いろいろ異なった曲をプレイして、楽しんでもらおうと考えているんだ。日本のファン事情はあまりよく判らないけど、やはり複数回見に来る人もいると思って、曲目を変えている。「ソウルシャイン」はいつも熱狂的な反応がある曲だけど、フランク・シナトラが「マイ・ウェイ」を歌うみたいに、“お約束”や“定番曲”にしたくないんだ。アメリカでは10回ライヴをやって、一度も「ソウルシャイン」をプレイしないことだってあるよ。

●ビリー・コブハムの『スペクトラム』(1973)に収録されている「ストラタス」をカヴァーしていましたが、ライヴ・レパートリーとしてよく演奏しているのですか?

 いや、まだプレイするのは3回目ぐらいなんだ。ビリーとは数年前から面識はあったけど、最近親しくなって、彼が今レコーディングしているニュー・アルバムで俺もギターを弾いている。ビリーのヴァージョンでギターを弾いているのはトミー・ボーリンだよ。トミーからは影響を受けたんだ。初めて彼のギターを聴いたのは『スペクトラム』だった。その後に『ティーザー』(1975)や『魔性の目』(1976)、それからディープ・パープルの『カム・テイスト・ザ・バンド』(1975)、ジェイムズ・ギャングの一連のアルバムを聴いた。数年前にはトミーの生前の音源にゲストの演奏をオーヴァーダブした『トリビュート・トゥ・トミー』を共同プロデュースしている。そういえばジェフ・ベックも最近のライヴでは「ストラタス」をプレイしているね。ジェフのライヴは何度も見たことがあるけど、「ストラタス」を弾くのは見たことがないんだ。CDで聴いたら素晴らしかったんで、ぜひライヴで見てみたい。

●ガヴァメント・ミュールの最新アルバム『SHOUT!』(2013)にはトミーのディープ・パープル時代の盟友であるグレン・ヒューズがゲスト参加していますが、彼のファンでもありましたか?

 もちろん!グレンはハード・ロック界最高のシンガーだ。彼のヴォーカルを初めて聴いたのはトラピーズの『連動』(1972)だった。それから1991年以来の友達なんだ。俺とグレン、メル・ギャレイ、アイアン・メイデンのニコ・マクブレインとジャムをやって、それから朝まで飲んで、友達になった。しばらく連絡してなかった時期もあるけど、最近ではコンタクトしあっているし、良い仲間だよ。ディープ・パープルとは、なんだか縁があるんだ。ガヴァメント・ミュールの『ザ・ディープ・エンドVol.1』(2001)にはロジャー・グローヴァーがゲスト参加しているし、そのお返しとして、俺がロジャーのソロ・アルバム『スナップショット』(2002)でプレイしているよ。パープルの現ギタリスト、スティーヴ・モーズとも友人だし、彼らの音楽も好きだ。

●『SHOUT!』はバンドのみによる本編ディスクと、ゲスト陣を迎えて本編と同じ曲をレコーディングしたボーナス・ディスクの2枚組という変則的アルバムです。グレンやベン・ハーパー、エルヴィス・コステロ、ドクター・ジョンなど錚々たる顔ぶれがゲスト参加していますが、自分のヴォーカルが彼らと比較されることに躊躇はありませんでしたか?

 大丈夫だ、ビビらなかったよ(笑)。むしろ、自分の書いた曲を彼らに歌ってもらえることを光栄だと思った。アルバムの曲を書いているとき、ゲスト・シンガー達を起用することは考えていなかったんだ。ただエルヴィス・コステロ、ドクター・ジョン、そしてトゥーツ・ヒバートの3人が歌うことになって、だったらアルバム全曲をゲストに歌ってもらおう!ということになった。

●『SHOUT!』の曲を書いている時点で、ゲストに歌わせることを念頭に置いていたのですか?

 いや、それは後になってから思いついたんだ。ただ、「ホェン・ザ・ワールド・ゲッツ・スモール」を書いたとき、トラフィック時代のスティーヴ・ウィンウッドの声が頭の中にあったことは確かだ。あと「ファニー・リトル・トラジェディ」を書いたとき、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズっぽいと思った。それでメールで彼に、どうやってヴォーカルを録ればいいか、アドバイスを求めたんだ。1970年代後半の彼みたいなヴォーカルを録りたかったんで、どんなマイクを使えばいいか訊いたら、曲ごとに細かく教えてくれたけど、とどのつまり、安いマイクを使えということだった。シュアのSM58とかね。良い仕上がりになったし、とても気に入っている。

●ところで若手時代のあなたが、伝説のアウトロー・カントリー歌手デヴィッド・アラン・コーのバンドでギターを弾いていたことはよく知られていますが、彼の下ネタ・アルバム『ナッシング・セイクレッド』(1980)や『アンダーグラウンド・アルバム』(1982)ではプレイしていますか?

 いや、弾いていない。あのアルバムは俺が入るちょっと前に作ったものじゃないかな。俺がデヴィッドのバンドに加入したのは1980年、19歳のときだった。実はそのとき、彼のことはあまり知らなかったんだ。でもプロでやれる機会に飛びついて、やることにした。すごくクレイジーなライフスタイルだったけど3年半のあいだ、すごく修行になったし、彼を通じてディッキー・ベッツやグレッグ・オールマンと知り合うことが出来た。デヴィッドには感謝しているよ。彼とのライヴでは“普通の”曲をプレイしていたよ。「マスターベーション・ブルース」なんかは演らなかった(苦笑)。

●オールマンズでの25年、そして今後の活動を総括して下さい。

 最高の経験だった、としか言いようがない。俺は9歳の頃からオールマンズのファンだったんだ。もし人生でたったひとつのバンドに加入することが出来るとしたら、オールマンズに加入するね。ただ、これからも俺の人生は続くし、ガヴァメント・ミュールでこれまで以上に精力的にやっていくつもりだ。また日本でプレイする日を楽しみにしているよ。


Special thanks: Billboard Live Tokyo

2014年4月24日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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