社外取締役メッセージ

[ 画像 ] 社外取締役メッセージ

指名委員長からのメッセージ

ヤマハが培ってきた強みを維持・強化するとともに、既存事業とはまったく異なる新しい価値を生み出すリーダーシップを重視します。

[ 画像 ] 篠原 弘道 独立社外取締役

篠原 弘道 独立社外取締役

略歴

日本を代表する通信・ICT企業である日本電信電話株式会社において、研究企画部門長、常務取締役を歴任し、代表取締役副社長として経営に携わる。2021年6月より現職。

主な兼職の状況

  • 株式会社みずほフィナンシャルグループ 社外取締役

高い専門性を持つ取締役候補を選任

指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案の内容と、取締役会に提出する経営幹部の選解任に関する議案の内容を決定する会議体です。取締役3人と中田社長というメンバー構成で、2023年6月から私が委員長を務めています。

同じく2023年6月、6年にわたって社外取締役を務めてこられた福井琢氏の退任に伴い、後任として江幡奈歩氏が株主総会で承認・選任されました。江幡氏は、前任の福井氏と同じく法律家であり、また、今後の当社の成長戦略にとっても重要性が高い知的財産マネジメントに関する高い専門性を有していることが主な選任理由です。江幡氏の選任は専門性の評価に基づいていますが、女性取締役が2人に増えたことは、取締役会のジェンダーバランスの観点からも望ましい結果になったと考えています。

委員長としてメンバー間の意見交換を重視

経営幹部候補者の評価、あるいは候補者の育成計画の内容と運用の監督にあたっては、各委員がそれぞれ独自に検討するのではなく、意見の交換を通じて相互に気づきを得ることが重要です。この考えに基づき、委員長としてメンバー間の活発な議論を促すよう努めています。

私たちは、当社の取締役の選解任、および経営幹部の選解任に関わる制度と運用が現時点では適切であると判断しています。しかし、経営人材に求められる要件は、時代の要請、事業環境や企業としての成長ステージに応じて変化すべきものです。したがって、今後も候補者を評価する基準をはじめとする選解任プロセスを確認し、さまざまな角度から議論を深める考えです。

チームの力、自律性を引き出すリーダーに期待

経営幹部候補者の人となりを理解する機会として、当社では、年に一度の幹部登用に際して指名委員会が候補者との面談を行うほか、定期的に取締役会メンバーとの昼食会を開催し、交流を図っています。

CEOをはじめとした将来の経営層の候補者を選任する際には、既存事業のマネジメント能力だけでなく、これまでとはまったく異なる価値の創出を含めた将来の成長をリードする能力や経験を備えているかを、私たちは重視しています。また、どんなに優れたリーダーであっても、一人でなし得ることには限界があります。私自身は、論語に「知らざるを知らずと為す、是知るなり」とある通り、自分の弱みを知った上で、それをチームの力でカバーしていく意識をリーダーに期待し、仲間や部下の自律的な活躍を促す経営人材を見い出していきたいと考えています。

監査委員長からのメッセージ

経営の意思決定の状況と決定に至る価値判断プロセスを重視し、ヤマハの持続的な企業価値向上に貢献します。

[ 画像 ] 藤塚 主夫 独立社外取締役

藤塚 主夫 独立社外取締役

略歴

日本を代表するグローバル建設機械メーカーである株式会社小松製作所において、経営企画室長、CFOを歴任し、代表取締役副社長として経営に携わる。2019年6月より現職。

主な兼職の状況

  • 日本精工株式会社 社外取締役

価値判断の優先順位を重視

監査委員会の究極的な役割は、取締役や執行役といった経営者が行うべき意思決定をしているか、その執行の責任を果たしているかを確認することだと、私は考えています。意思決定については、どのような基準で判断したのか、決定に至る価値判断の優先順位に誤りがないか、といった点も重要です。

企業経営は意思決定の連続ですから、必然的に監査委員会の役割も極めて多岐にわたります。監査対象項目の多くは、決算をはじめ毎年チェックが必要な固定的なものですが、通常の監査項目に加え経営の状況に合わせた重点監査項目の追加を毎年検討し、年間の監査計画に反映しています。

グループガバナンスのカギを握る信頼関係

現在の当社の監査委員会のメンバーは、私を含めた3人の社外取締役がまったく異なるバックグラウンドと専門性に基づく多様な視点を持つという意味で、バランスが取れた組み合わせであると考えています。

当社の内部監査体制の強化も評価しています。内部監査部は、監査に関する必要資格の取得などスキルアップを通じてメンバーの質・人数ともに充実を図り、幅広い監査に対応し得る体制となってきました。2020年4月に新設されたポジションである監査役員と監査委員会の連携もスムーズに行われています。監査役員が経営会議などの社内の重要な会議に参加し、「我々がその場にいたらこういう質問をしただろう」という点を掘り下げて経営陣の回答を得た上で、その報告を受けています。

グループガバナンスも強化しています。当社には連結子会社が58社あり、うち44社は海外法人です。会社全体の方針をルールとして整備するのはもちろんですが、実効性という観点では、本社のコーポレート部門や営業・生産部門と各子会社のカウンターパートが「仲間」として関係を築くことが重要です。ルールを徹底するためには、日本の本社から一方的に問題を指摘するだけでなく、各子会社からも「こんな問題があった」と積極的に報告してもらう必要があるからです。

成長機会を左右する意思決定のスピード

2024年3月期は、意思決定と執行のスピードに注目したいと考えています。当社の経営において売上収益比率7割を超える海外市場で成長機会をつかむには、素早い意思決定が必要です。社内のルールの中に意思決定の遅れを生む要素がないか、監査の過程で注視していきます。また、財務目標とは異なる時間軸で測る必要がある非財務目標の進捗を適切に監査するための方法を、内部監査部門とともに確立していく計画です。

報酬委員長からのメッセージ

グローバルなベストプラクティスに照らし、株主の期待に応える持続的な成長を後押しする報酬制度を継続的に検討していきます。

[ 画像 ] ポール・キャンドランド 独立社外取締役

ポール・キャンドランド 独立社外取締役

略歴

グローバルエンターテインメント企業であるウォルト・ディズニー・カンパニーの日本法人における代表取締役社長、アジア地区のプレジデントなどを歴任し、経営に携わる。2019年6月より現職。

主な兼職の状況

  • PMCパートナーズ株式会社 マネージングディレクター
  • 株式会社電通グループ 社外取締役

段階的かつ継続的なガバナンスの強化

2017年の設置以来、社内取締役が務めてきた報酬委員会委員長に、2023年6月に就任しました。当社グループがこれまで段階的かつ継続的にガバナンスの強化に取り組んできたこと、社外取締役が委員長を務める体制がグローバルなベストプラクティスであることに鑑みれば、今回のバトンタッチは自然なステップであったと考えています。

ガバナンス強化施策の一環として、2023年3月期には社外取締役を除く取締役、執行役と執行役員の報酬制度を変更しました。具体的には、報酬を構成する固定報酬、業績連動賞与、譲渡制限付株式報酬のうち、譲渡制限付株式報酬について、従前の評価指標である財務目標に、非財務目標と企業価値目標を追加しました。このうち非財務目標については、中期経営計画において非財務目標を掲げ、具体的な取り組みを推進していることを踏まえ、戦略と報酬制度の一致を図りつつ、当社が真の企業価値向上に取り組んでいることを社内外に発信する意図があります。また、企業価値目標については、株主の皆さまとの目線の共有を従来以上に動機付けることを狙いました。

ただし、サステナビリティや人的資本マネジメントのような非財務目標や、将来的な価値創出を目指す新ビジネスに関しては、1年単位で数字を見ても正しく評価できません。そのため、これらは短期的なインセンティブではなく、長期的な視点で評価しやすい譲渡制限付株式報酬に組み込む形にしました。

適切なリスクテイクを後押しする報酬制度

2024年3月期に報酬委員会が優先的に検討すべき論点は2つあると考えています。1つ目は、前述した新しい報酬制度が意図した通りに機能しているか、当社が進むべき方向性や事業戦略に合致しているかを確認することです。意図や戦略にそぐわない点が明らかになれば、機動的に制度の修正を行います。

2つ目は、優れた経営を行っているグローバル企業の報酬制度を精査し、当社が取り入れるべき仕組みがないかを検討することです。一般的にベストプラクティスといわれるグローバル企業の報酬設計は、譲渡制限付株式報酬とストックオプションを組み合わせるなど、経営陣による適切なリスクテイクを後押しする仕組みを取り入れています。私は報酬委員会の委員長として、当社の報酬制度とその運用を、グローバルなベストプラクティスの水準まで高めたいと考えています。急激に変化する競争環境の中で当社が適切なリスクテイクを行い、株主の期待に応える持続的な成長を遂げるために最適な報酬制度を検討していく考えです。