[ 写真 ] 世界中の子どもたちに、楽器演奏の楽しさを届けたい

世界中の子どもたちに、楽器演奏の楽しさを届けたい

ヤマハは、60年以上の歴史を持つ「ヤマハ音楽教室」をはじめとした音楽教育プログラムをグローバルに展開し、音楽を通じて子どもたちの豊かな成長を支援してきました。より多くの人が音楽を楽しみ、音楽の歓びを広く分かち合い人々の生活を豊かなものにする…そのような社会づくりに貢献することが楽器メーカーであるヤマハの使命であると認識しています。
世界には、設備や指導者不足、指導カリキュラムの未整備などから、学校の音楽授業でさえ十分な教育環境になく、楽器に触れる機会に恵まれない子どもたちがまだ多く見られます。
そこで、より多くの子どもたちに楽器演奏の機会を提供し、音楽・楽器の楽しみ方を伝えるため、学校教育における器楽教育の普及を目指した活動を世界各地で展開しています。

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公立小学校に楽器を楽しむ機会を提供する
「スクールプロジェクト」

[ グラフ ]スクールプロジェクトの展開数の推移
スクールプロジェクトの展開数の推移

ヤマハ(株)と関連現地法人が2015年より新興国を中心とした地域で展開している施策が「スクールプロジェクト」です。これは、楽器に触れたことのない子どもたちに楽器演奏の機会を提供しようと、現地の各教育機関と連携しながら子どもたちが学校教育の中で楽器演奏を体験できる環境づくりをサポートする取り組みです。
小学校に楽器・教材・指導ノウハウをパッケージとして提供する独自プログラム「Music Time」を核に、各国の小学校の音楽授業や課外活動にポータブルキーボードやリコーダーなどを楽しく学べるコンテンツを導入し、展開を進めています。また同時に、子どもたちに学習の成果を発表する場を提供すべく、各種フェスティバルも開催しています。
こうした楽器を用いた教育を通じて子どもたちに音楽の楽しさを訴求することは、子どもの成長を支援することはもちろん、その国の音楽教育や音楽文化の発展にも寄与することが期待できます。
現在、マレーシア、インドネシア、ロシア、ベトナムの4カ国で、その国の音楽文化も取り入れながら展開しています。各国の状況に合わせた学習内容を提案することで、将来的には、楽器を用いた教育が現地に根差し、自国で展開していくことが目標です。

[ 図 ]スクールプロジェクトの展開実績(2018年3月末現在)

― インドネシアにおける取り組み事例 ―

2015年から「Music Time」ポータブルキーボード(PK)プログラムを開始し、展開小学校の全2年生がプログラムを受講するなど、着実に楽器演奏を楽しむ子どもたちを増やしています。2017年には、同国教育文化省が展開する「個性強化教育」協力に関する覚書を締結し、全国490校でリコーダーやピアニカのプログラムを導入。また、同省との共催で「アンサンブル・ビデオコンペティション」を開催するなど、子どもたちに成果発表の場を提供し、インドネシアの音楽教育の発展に貢献しています。

[ 写真 ]小学校でのキーボード授業
小学校でのキーボード授業
[ 写真 ]「個性強化教育」協力に関する覚書締結セレモニー
「個性強化教育」協力に関する覚書締結セレモニー

― ベトナムにおける取り組み事例 ―

ベトナム教育訓練省と連携して、小中学校の音楽教科に楽器を用いた教育の導入・定着化を推進する取り組みを行っています。
同国の小中学校の学習指導要領には、楽器を用いた教育が組み込まれていないため、学校の音楽授業で楽器に触れる機会がありません。そこでヤマハは、同国での音楽教育の質向上のため、2019年に改訂が予定されている学習指導要領への楽器を用いた教育の導入・定着化を目指し、取り組みを行っています。2017年には、教育訓練省初等教育局と「楽器を用いたリコーダークラブ活動の展開」に関する覚書を締結し、2020年までの約3年間、10都市245校の小学校でリコーダークラブ活動を政府公認のもと展開していきます。
これらの取り組みは2016年に文部科学省「日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)」の公認プロジェクトに選定されたのに続き、2018年9月には同応援プロジェクトに選ばれました。また、2018年6月にはJETRO(日本貿易振興機構)の「社会課題解決型ルール形成支援プロジェクト」にも採択され支援を得ることになりました。
ヤマハは今後も、政府や関係機関とのパートナーシップのもと、ベトナムでの音楽文化の創造・発展のために支援を継続していきます。

  • 相手国に規制や奨励制度などのルールを戦略的に導入することで、日本企業の製品・サービスが優位性を発揮できる市場を創出すると同時に、当該国における社会課題の解決に繋がるような企業等の取り組みを支援するもの。

ベトナムでの器楽教育導入支援施策

  • 小学校でのリコーダークラブ活動支援
  • 教科書改訂支援
  • 教員養成支援
[ 写真 ]リコーダートライアル授業
リコーダートライアル授業
[ 写真 ]ヤマハ・リコーダー・フェスティバル(ハノイ)
ヤマハ・リコーダー・フェスティバル(ハノイ)
[ 写真 ]ハノイ国立教育大学での器楽教員養成講座
ハノイ国立教育大学での器楽教員養成講座

より質の高い音楽教育の実現に向けて

ヤマハでは、各国での活動を推進する一方で、横浜国立大学教育学部と共同で、器楽教育のベネフィットを検証する取り組みを行っています。器楽教育のもたらす教育的価値や子どもに与える影響など学術的な検証を通して、より質の高い教育プログラムを世界各地で展開するとともに、音楽教育・文化や国の発展に貢献していきたいと考えています。

中東・アフリカ地域における音楽教育プログラム

ヤマハのノウハウを生かした音楽普及の取り組みは、世界各地で実施しています。
その中でも、西洋音楽教育が浸透していない中東・アフリカ地域を営業管轄とする現地法人ヤマハ・ミュージック・ガルフ(以下、YMGF)では、現地事情に合わせた学校教育における音楽普及活動を展開しています。
中東・アフリカ地域も他の地域同様に、学校教育に音楽の授業はあるものの、楽器や指導者、ノウハウの不足などから、授業では歌唱や理論のみで器楽教育は行われていないケースがほとんどです。YMGFでは、器楽教育を通じて子どもたちの情操教育や成長を支援するため、2012年に学校音楽教育普及プロジェクトを始動。現地代理店と協力して、プロジェクトを推進しつつ、各国の教育関係者による日本の小学校の授業視察などを通じ、音楽教育の重要性を訴求しています。
2016年に南アフリカで1校目をスタートしたのを皮切りに、2017年度には南アフリカ、ナイジェリア、クウェート、UAE、ケニアの5カ国、33校の約3,300人に、リコーダーの授業を実施しました。今後は、パキスタン、モロッコ、ウガンダの新たに3カ国を追加、パキスタンではピアニカの授業をスタートするなど、活動の拡大を図っていく予定です。

[ 写真 ]南アフリカでのリコーダーレッスン
南アフリカでのリコーダーレッスン
[ 写真 ]ナイジェリアでのリコーダーレッスン
ナイジェリアでのリコーダーレッスン
[ 写真 ]UAE講師向けセミナー
UAE講師向けセミナー