• [ 画像 ] 器楽教育の導入でベトナムの学校授業の充実に貢献

Feature 次代への価値創造 01
器楽教育の導入でベトナムの学校授業の充実に貢献

[ 図 ] 価値創造のポイント 音楽教育の発展・子どもの成長支援

楽器を演奏する器楽教育は、その教育的効果から世界中の学校で広く採用されています。しかし中には、設備・指導者不足、指導カリキュラムなどの問題から音楽の授業に導入されていなかったり、質が十分ではない国があります。ヤマハは、楽器演奏の楽しさをより多くの子どもに体験してもらうための「スクールプロジェクト」を展開しています。
2016年度、「スクールプロジェクト」の一環であるベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)での「初等中等義務教育の音楽教科への器楽教育導入及び定着化事業」が、文部科学省「日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)」の公認プロジェクトに選定されました。ヤマハは日本政府と連携し、ベトナムにおける器楽教育の普及、音楽教育の発展に貢献していきます。

[ 画像 ] リコーダーフェスティバル
[ 画像 ] ベトナム小学校での音楽授業

Overview
楽器演奏の楽しさを伝える「スクールプロジェクト」

「スクールプロジェクト」は、総合楽器メーカーであり、かつ音楽教育事業のノウハウを持つヤマハならではの施策です。2015年から、独自開発した「Music Time」プログラムをマレーシア、インドネシア、ロシアで順次展開する一方、2016年にはベトナムで義務教育への器楽教育導入支援施策を開始しました。
学校教育の中で楽器に親しんでもらうことで、子どもたちに音楽の楽しさを訴求し、成長を促しています。また、授業に必要なインフラの提供を通じて、音楽教育の充実にも寄与しています。プログラムについては、その教育的価値を横浜国立大学教育学部と共同研究しています。

「Music Time」プログラム

[ 図 ] 「Music Time」の仕組み
「Music Time」の仕組み

「Music Time」は、公立小学校に楽器と教材、指導ノウハウをパッケージとして提供するプログラムです。ヤマハの研修を受けた指導者が、楽器と専用の教材を使って授業を行います。現在、ポータブルキーボード(PK)・ギ ターのコンテンツを展開し、リコーダー・ピアニカのプログラムを整備しています。

「Music Time」実施状況
開始年 実施校数 使用楽器
マレーシア 2015年2月 100校 PK/ギター
インドネシア 2015年8月 141校 PK
ロシア 2016年9月   7校 PK

2017年3月末時点

ベトナムでの器楽教育導入支援施策

2016年1月に、ベトナムの初等中等教育の音楽教科へ器楽教育の導入を支援する取り組みを開始しました。ベトナムの小・中学校では、学習指導要領の中に器楽教育が含まれておらず、楽器を用いた授業が行われていま せん。
ヤマハは、ベトナムにおける音楽教育の発展のため、教育訓練省と協力して、2018年以降に予定されている初等中等教育の学習指導要領改訂に向けて、器楽教育の導入・定着化を推進しています。
ベトナムの人口は年間100万人程度のペースで増えており、今後も子どもの増加が見込まれます。この施策により、同国での音楽教育への貢献と同時に、将来的な演奏人口の増加による楽器市場の拡大が期待されます。

  • ※出所:国連教育科学文化機関

新たな音楽教育を支援していきます

器楽教育の導入は、音楽教育の発展過程におけるごく自然な流れであり、ベトナムにとって新たな音楽教育の1ページが開かれたとみています。
ヤマハがこれまでグローバル展開してきた事業ノウハウは大きな強みです。また、会社という枠を超えて世界の音楽文化の発展に寄与したいというヤマハの心意気を強く感じ、私自身も共同研究者として共感しています。文化の押しつけにならないよう、現地の音楽文化とうまく融合させながら、器楽教育導入に向けてベトナムの音楽教育を支援していきたいと思います。

[ 顔写真 ] 小川 昌文 様

横浜国立大学 教育学部 教授
小川 昌文 様

Point1 音楽教育の発展
産官学の連携で音楽教育の質向上へ

近年、基礎学力や生活習慣を育む日本の教育に世界が注目しています。しかしこれまで、海外への教育コンテンツの提供は、企業や団体などが個別に取り組むことが大半でした。このような背景のもと、文部科学省が官民協働のオールジャパンで取り組む「日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)」を開始。海外展開による日本の教育産業の振興と、教育を通じた諸外国との信頼・協力関係の強化を図っています。
ヤマハの施策は、日本で長年にわたって展開されている実績、現地のニーズにマッチしている点などが評価され、公認プロジェクトに選ばれました。今後、ヤマハは文部科学省の支援を受けて、ベトナム政府・現地教育機関などとの交渉・調整を進め、同国での器楽教育の導入・定着を支援していきます。

[ 図 ] プロジェクト実施体制
プロジェクト実施体制
Q.「 EDU-Portニッポン」の意義について
日本型教育を海外で展開することは、国際貢献に役立つと同時に、逆に日本の教育の課 題を浮き彫りにします。その課題を自国へフィードバックして日本の教育をよりよく改善し ていくこと。これが文部科学省として進める意義だと認識しています。
Q. ヤマハの器楽教育導入支援事業について
支援先の国において導入後も事業者が自力で続けていけるサステナブルなものであり、かつ将来的に楽器の輸出ビジネスにつながることも期待される、まさに「EDU-Portニッポン」の目指す日本型教育の展開モデルだと言えます。世界の国の中には、日本の道徳教育から日本人の規律を学ぶという動きがありますが、同様に音楽教育も、情操教育といった点で基本的な人間教育に通じると思います。この事業がベトナム全土に展開されることを期待しています。ヤマハには、これまで取り組んできたことを着実に進めていただきたいと思います。
[ 顔写真 ] 匂坂 克久 様

文部科学省 大臣官房国際課長(当時
さぎさか 克久 様

  • ※2017年3月取材

Point2 子どもの成長支援
感性や協調性に富んだ青少年の育成へ

楽器を演奏することは、子どもたちの感情表現の幅を広げ、自己実現の手段を増やします。さらには、他者とのアンサンブルを通じて責任感や協調性を学ぶ機会にもなります。ヤマハの音楽教育事業の原点には、60年以上の歴史を持つ「ヤマハ音楽教室」があります。世界40以上の国と地域で培ったヤマハ音楽教室の実績やノウハウを、ヤマハは器楽教育の導入支援に生かしています。
今後ヤマハは、ベトナムで、リコーダー教育の導入・定着化を推進します。リコーダーは誰でも演奏しやすく、指導方法も比較的容易であることから、楽器入門層にも適しています。これら導入・定着を進める過程で、他の楽器 の導入も図ることで、子どもたちの成長と音楽文化の創造に寄与していきます。

活動実績
2016年 1月 小中学校音楽教師向けリコーダーセミナー初開催(ハノイ)
5月 リコーダーセミナー開催(ハノイ)
7月 横浜国立大学小川教授による教育訓練省関係者向け「音楽教育フォーラム」開催
8月 リコーダーセミナー開催(ハノイ)
9月 ハノイ市内10の小中学校でリコーダークラブ活動開始
12月 横浜国立大学小川教授による現役音楽教師向け教員養成授業開催
2017年 4月 教員養成大学生向けリコーダーセミナー開催(ホーチミン市)
5月 在ベトナム日本国大使館と「ヤマハ・リコーダー・フェスティバル」共催(10校約200人の生徒が参加)
リコーダーセミナー開催(ハノイ/ダナン)

子どもたちの才能を伸ばし、国の文化発展につながることを期待します

ベトナムでは、地域や学校間で学校の設備や教師の指導レベルに大きな違いがあり、学習指導要領に器楽の授業が含まれていないことに以前から問題意識を感じていました。器楽教育は、子どもたちの才能を伸ばすだけでなく、異文化を学ぶきっかけにもなります。ベトナムの音楽教育の質的向上と国の文化発展につながることを期待しています。

[ 顔写真 ] Le Anh Tuan 様

ベトナム国立教育科学院 音楽教育室長
Le Anh Tuan 様

子どもたちに平等な機会を与える学習プログラムです

リコーダーは、持ち運びが便利で小さな子どもたちも扱いやすい上に、大勢で合奏できるので生徒数が多いベトナムの学校授業にも適しています。子どもたち全員に同じ体験をさせる日本型教育は、子どもたちに平等な成長機会を与える、とても素晴らしいシステムだと思います。

[ 顔写真 ] Can Thi Ngoc Bich 様

Thanh Cong A Primary School 校長
Can Thi Ngoc Bich 様

集中力や連帯感が高まりました

楽器を演奏することでリズム感が身につくだけでなく、リコーダーは皆で合奏するので子どもたちがお互いの音をよく聞くようになり、集中力が養われました。クラスの一体感も高まり、チームワークが良くなりました。達成感に満ちた子どもたちの顔を見ていると、とても幸せな気持ちになります。

[ 顔写真 ] Phung Ngoc Ha  様

The Brendon Primary School 音楽教師
Phung Ngoc Ha 様