持続可能な資源の利用

ヤマハグループが生産しているピアノや弦打楽器、木管楽器などの多くは、主に木材でつくられています。また、音響性能や機能性、デザイン性、質感の良さなどから、電子楽器やスピーカー、防音室などにも木材を多く使用しています。
このように、事業活動において多種多様な木材を使用していることを踏まえ、今後未来、貴重な木材資源を維持し、持続的に活用していけるよう、ヤマハグループでは「ヤマハグループ木材調達方針」を定めるとともに、「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」で木材資源の伐採および取引に際して調達先に順守を要請する事項を明確にしています。
これらの方針や行動基準のもと、ヤマハグループでは自然環境や生物多様性に配慮した持続可能な木材調達の実現とともに、再生可能な優れた資源である木材を無駄なく最大限に生かすことを目指しています。

ヤマハグループが使用する木材資源の原産地比率(2017年度)

[ 図 ] ヤマハグループが使用する木材資源の原産地比率(2017年度)
ヤマハブランドではない製品およびOEM/ODM製品を除く

体積の数値については、環境データのページに掲載しています。

持続可能な木材調達のための取り組み

木材を持続可能な形で利用し続けるには、森林保全や木材資源量への配慮と、サプライチェーンが経済的にも持続可能であるよう、雇用創出やインフラ整備といったコミュニティーの発展に資することが必要です。ヤマハグループでは、違法に伐採された木材を調達してしまうことがないよう、デューディリジェンスの仕組みを構築し、調達先への書類調査や訪問調査を通じて、伐採時合法性の厳格な確認を進めています。また、環境面に加え、地域コミュニティーの発展など社会・経済面でも持続可能な森林から産出される、FSCなどの認証木材の利用拡大を進めています。
2015年度からは、木管楽器の重要な材料である「アフリカン・ブラックウッド」について、原産地であるタンザニア連合共和国で種の保全と安定調達の実現に向けて、その生態や資源量、森林管理状況などの調査を開始しました。
同種はIUCNレッドリストでNear Threatened(準絶滅危惧)に分類されるなど、近年その資源量が減少傾向にあると言われています。分布、生育、天然更新などの生態や森林の管理状態を調査した結果、適切な管理により持続的な調達が見込める可能性があることが分かりました。この結果を踏まえ、2016年度からはアフリカン・ブラックウッドを楽器素材として持続的に利用できるビジネスモデルの構築を目指し、国際協力機構(JICA)のBOPビジネス連携事業として調査の継続と施策立案を進めています。
2017年度は、現地NGOや地域住民と連携し、将来の資源量確保に向け、アフリカン・ブラックウッドの植林活動を開始しました。また、現地製材業者とパートナーシップを組み、FSC認証森林からの認証木材の調達や材料の利用効率向上など、現存資源の有効活用に向けた取り組みも進めています。

  • ※ FSC認証林は、第三者機関による持続可能な森林経営のためのモニタリングが実施されることから、この認証を取得していることが、森林経営の持続性を保証していると考えられます。
[ 画像 ] 生態調査
生態調査
[ 画像 ] アフリカンブラックウッドの苗
アフリカンブラックウッドの苗
[ 画像 ] 地域農村の一角に井戸、給水タンク、ポンプなどの育苗施設を建設
地域農村の一角に井戸、給水タンク、ポンプなどの育苗施設を建設

循環型の森林づくり

アカエゾマツ天然林材を使ってピアノの響板を製造している北海道の北見木材(株)は、循環型の森林づくりとアカエゾマツ人工林材の需要拡大に協力すべく、オホーツク総合振興局、北海道紋別郡遠軽町と「『ピアノの森』」設置に関する協定」に2016年3月に調印しています。
近年、天然林材の減少に伴い、道産木材の安定的な確保が必須となっています。そこで、アカエゾマツを安定的に供給するため、「ピアノの森」をオホーツク管内の道有林や遠軽町有林に設置し、アカエゾマツの適切な管理や植樹を行うことで森林を保全するとともに、オホーツクの「木の文化」を次世代に引き継ぐことを目指しています。
さらに将来的には、この森林からピアノ響板に使用できる高品質な原木を産出していけるよう取り組んでいきます。

[ 画像 ] アカエゾマツの人工林
アカエゾマツの人工林

木材資源に対する製品の環境配慮

ヤマハグループでは、再生可能な優れた資源である木材を持続的に活用していくために、森林や生態系を損なうことのないよう適正に管理された認証木材や、計画的に植林された産業用途の木材を積極的に導入しています。
一方、楽器に適した希少樹種の優れた機能を再現した代替素材の開発にも注力しています。

製品における省資源化

製品の小型・軽量化や複数製品の一体化、梱包材の削減など、さまざまな視点から製品の省資源化を進めています。また、省資源につながる製品の長寿命化、ピアノリニューアル事業などにも取り組んでいます。

持続可能な原材料の活用

希少木材に代わる素材の開発や、バイオマス由来樹脂など再生可能な素材を製品に採用する取り組みを進めています。

木材資源の有効活用

木材加工において、歩留まり向上によるロス削減を進めるとともに、工程から出る木くずの再利用・再生利用を進めています。端材から他の部品を製作したり、建材メーカーにハードボード原材料として売却するなどのほか、最近ではピアノ製造を行う掛川工場の木材加工工程から排出されるおがくずを、牛の寝床となる敷料に活用していただくというユニークな取り組みも開始しました。

[ 画像 ] ギターボディ内部の補強材として再加工された端材
従来は廃棄していた端材を隅木(ギターボディ内部の補強材)として再利用
[ 画像 ] ピアノ製造工程から排出された木粉(ペレット化)
ピアノ製造工程から排出された木粉(ペレット化)
[ 画像 ] WPC(Wood Plastic Composite)の原材料として再利用
WPC(Wood Plastic Composite)の原材料として再利用

廃棄物の排出削減と再資源化

ヤマハグループは、工場や事業所から排出される廃棄物の削減と再資源化を推進するため、回収・分別などのシステムを確立しています。ヤマハグループ(国内)における再資源化率は約99%です。

廃棄物削減の事例
事業所 時期 活動内容
豊岡工場 2010年11月 液状廃棄物の減圧濃縮装置を導入し、管楽器生産工程からの廃酸・廃アルカリなどの排出量を約80%削減。
2011年度 研究開発部門から出る希少金属含有廃棄物を有価物処理に切り替え、資源を有効活用
掛川工場 2009年9月 廃水処理施設を増設し、ピアノ製造工程から出る接着剤を含む廃水を社内で処理。廃棄物削減効果約900トン/年
2012年9月 接着剤を含む廃水の処理能力を増強。廃棄物削減効果約270トン/年
蕭山ヤマハ楽器 2013年度 楽器の塗装ブースで用いる循環水を清浄に保ち、長持ちさせることで、塗装工程廃棄物を削減。廃棄物削減効果約120トン/年
ヤマハファインテック(株) 2011年度 設備不良や品質不良の改善によってカーパーツの不良品を削減。工場全体での廃棄物排出量を16%削減するとともに、生産性の向上によって省エネ・省資源も実現
[ 画像 ] 減圧濃縮装置(豊岡工場)
減圧濃縮装置(豊岡工場)

廃棄物関係のデータについては、環境データのページに掲載しています。

製品や容器包装の再資源化

EUのWEEE指令をはじめ、各国、地域における製品や容器包装などのリサイクル法令に対応するとともに、日本国内では使用済みエレクトーン製品の回収拠点を全国に整備し、回収・リサイクルを行うなど資源の有効活用に努めています。

ヤマハグループでは、製品の洗浄工程や設備の冷却などで水資源を使用しています。水リスクについてはグループ全体で実施する総合リスク評価に加え、全ての拠点について水リスク判定ツールやアンケート調査により「物理的な水ストレス」、「水の質」、「水資源に関する法規制リスク」、「レピュテーションリスク」を評価しています。現在、水資源に乏しい地域での大規模な生産活動はしておらず、取水による環境への大きな影響はないと認識しています。
一方、管楽器の製造工程である、めっきや洗浄工程では多量の水を使用するため、1970年代前半から冷却水の循環利用や逆浸透膜(RO膜)装置などによる工程廃水の再生利用、用水設備の漏えい対策などに取り組んでいます。

取水量や水の再生利用に関するデータについては、環境データのページに掲載しています。

節減や再生利用の取り組み

蕭山ヤマハ楽器

管楽器、打楽器の製造を行っている中国の蕭山ヤマハ楽器では、純水レベルまで再生する性能を備えた廃水処理施設を導入して以来、廃水の約80%を工程用水として再利用しています。(浙江省電気めっき企業汚染改善検収方案※4適合)
2015年1月には、管楽器の銅管部品の熱処理に使用する焼鈍炉の冷却を、循環水で供給可能な方式に変更。これにより、冷却水の使用量が前年度に比べ約5,700トン削減されました。

  • ※4 電気めっき工場における環境保全のための浙江省の法律。電気めっき工程を持つ企業に、環境保全体制や設備などに関する56項目の要件を課しており、銅、ニッケルなどの金属については、一般の工場排水基準よりも厳しい基準が設定されています
[ 画像 ] 廃水処理施設(蕭山ヤマハ楽器)
廃水処理施設(蕭山ヤマハ楽器)
[ 画像 ] 循環水で供給可能な冷却装置(蕭山ヤマハ楽器)
循環水で供給可能な冷却装置(蕭山ヤマハ楽器)

ヤマハ・ミュージカル・プロダクツ・インドネシア

管楽器の製造を行っているヤマハ・ミュージカル・プロダクツ・インドネシア(YMPI)では、廃水の60%以上を再利用できる廃水処理施設を導入しています。また、廃水処理プロセスの合理化によって、薬品使用量の削減も図っています。
2017年にはリコーダー生産工程で使用する洗浄水を循環再生利用できる設備を導入し、年間約1万2千トンの水を削減しました。

[ 画像 ] 廃水処理施設(YMPI)
廃水処理施設(YMPI)

杭州ヤマハ

杭州ヤマハでは、厳格化する排水基準に対応すべく、2016年5月に新たな廃水処理設備を導入しました。この設備は、廃水を再利用可能なまでに浄化することが可能で、同設備で処理した廃水を冷却水などとして再利用することにより、2016年度は年間約1万トンの水資源を節約しました。

[ 画像 ] 廃水処理施設(杭州ヤマハ)
廃水処理施設(杭州ヤマハ)
[ 画像 ] 廃水を冷却水などに再利用(杭州ヤマハ)
廃水を冷却水などに再利用(杭州ヤマハ)