持続可能な資源の利用

  1. 木材資源への取り組み
  2. 原材料の節減と持続可能化
  3. 水資源の保全

ヤマハグループが生産しているピアノや弦打楽器、木管楽器などの多くは、主に木材でつくられています。また、音響性能や機能性、デザイン性、質感の良さなどから、電子楽器やスピーカー、防音室などにも木材を多く使用しています。
このように、事業活動において多種多様な木材を使用していることを踏まえ、貴重な木材資源を維持し、持続的に活用していけるよう、ヤマハグループは2007年度に木材資源の調達と活用の方向性を示した方針を定めました。また、2014度に制定した「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」では、木材資源の伐採および取引に際して調達先に順守を要請する事項を明確にしました。
ヤマハグループは、これらのガイドラインや行動基準のもと、自然環境や生物多様性に配慮した持続可能な木材調達の実現とともに、再生可能な優れた資源である木材を無駄なく最大限に生かすことを目指しています。

ヤマハグループが使用する木材資源の原産地比率(2016年度)

[ 図 ] ヤマハグループが使用する木材資源の原産地比率(2016年度)
ヤマハブランドではない一部の製品を除く

体積の数値については、環境データのページに掲載しています。

木質資源のサプライチェーン調査

森林資源を持続可能な形で利用し続けるには、環境への配慮はもちろんのこと、サプライチェーンが経済的にも持続可能で、雇用創出やインフラ整備といったコミュニティーの発展に資することが必要です。ヤマハグループでは、調達先の協力を得ながら、木材資源の持続可能性や合法性の厳格な確認を進めるとともに、楽器用木材を産出する森林の資源量・管理状況の調査を実施しています。
2015年度には、木管楽器の材料である「アフリカン・ブラックウッド(通称グラナディラ)」について、原産地であるタンザニア連合共和国で資源量・森林管理状況などを調査しました。
アフリカン・ブラックウッドは、家具、工芸品、楽器などへの利用価値が高い一方、個体数減少が危惧され資源量などの正確な把握が求められる木材です。調査は日本の林野庁補助事業「途上国持続可能な森林経営推進事業」として、現地NGOの協力のもと実施。調査の結果、分布、生育、天然更新の状況など、生態に関する多くの知見を得られました。また、現地コミュニティーで管理されている、アフリカン・ブラックウッド産出が可能なFSC認証林※1を調査し、その森林経営、加工・流通状況についても確認しました。
2016年度には、国際協力機構(JICA)と連携し※2、「現存する資源の有効活用」と「計画的な森林管理・植林による将来の資源量確保」を目的に、アフリカン・ブラックウッドを楽器素材として持続的に利用できるビジネスモデルの構築を開始しました。
現在、2015年度の調査に基づいて、持続可能な循環型の木材調達を想定した課題抽出を進めています。2017年度以降は森林経営技術の向上を目指して、FSC認証林から約15haをピックアップして詳しい森林調査を実施するとともに、現地住民による苗木作成から植林までのスキーム構築、コミュニティーの社会経済調査なども進め、現地の森林経営を技術面から支援していきます。

  • ※1 FSC認証林は、第三者機関による持続可能な森林経営のためのモニタリングが実施されることから、この認証を取得していることが、森林経営の持続性を保証していると考えられます
  • ※2 この活動は、JICAの民間連携事業の一つである「協力準備調査(BOPビジネス)(現:途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査)」において「FSC認証森林からの持続可能な木材調達事業準備調査(BOPビジネス連携促進)」として2016年8月に採択されています
[ 画像 ] アフリカン・ブラックウッドの木
アフリカン・ブラックウッドの木
[ 画像 ] 生態調査
生態調査
[ 画像 ] アフリカン・ブラックウッドの断面
アフリカン・ブラックウッドの断面

循環型の森林づくり

アカエゾマツ天然林材を使ってピアノの響板を製造している北海道の北見木材(株)は、循環型の森林づくりとアカエゾマツ人工林材の需要拡大に協力すべく、オホーツク総合振興局、北海道紋別郡遠軽町と「『ピアノの森』」設置に関する協定」に2016年3月に調印しています。
近年、天然林材の減少に伴い、道産木材の安定的な確保が必須となっています。そこで、アカエゾマツを安定的に供給するため、「ピアノの森」をオホーツク管内の道有林や遠軽町有林に設置し、アカエゾマツの適切な管理や植樹を行うことで森林を保全するとともに、オホーツクの「木の文化」を次世代に引き継ぐことを目指しています。
さらに将来的には、この森林からピアノ響板に使用できる高品質な原木を産出していけるよう取り組んでいきます。

[ 画像 ] アカエゾマツの人工林
アカエゾマツの人工林

木材資源に対する製品の環境配慮

木材資源の減少によって、楽器などの製品に適した質の良い木材を安定的に入手することが年々難しくなっています。ヤマハグループでは、木材を最大限に活用するとともに、計画的に植林された産業用途の木材を積極的に導入しています。
また、楽器づくりに適した希少樹種木材の優れた機能を再現した代替素材の開発にも注力しています。

製品の省資源化

製品の小型・軽量化や複数製品の一体化、梱包材の削減など、さまざまな視点から製品の省資源化に取り組んでいます。また、廃棄物の削減という面で省資源につながる、製品の長寿命化にも注力しています。

持続可能な原材料の活用

希少木材に代わる素材の開発や、バイオマス由来樹脂など再生可能な素材を製品の材料に採用する取り組みを進めています。

木材資源の有効活用

木材加工において、歩留まり向上によるロス削減を進めるとともに、工程から出る端材や未利用材について、再利用、再生利用を進めています。

[ 画像 ] ギターボディ内部の補強材として再加工された端材
従来は廃棄していた端材を隅木(ギターボディ内部の補強材)として再利用
[ 画像 ] 木くずを建材メーカーにハードボード原材料として売却
木くずを建材メーカーにハードボード原材料として売却
[ 画像 ] ピアノ製造工程から排出された木粉(ペレット化)
ピアノ製造工程から排出された木粉(ペレット化)
[ 画像 ] WPC(Wood Plastic Composite)の原材料として再利用
WPC(Wood Plastic Composite)の原材料として再利用
[ 画像 ] 端材・未利用材を利用した記念品
端材・未利用材を利用した記念品

廃棄物の排出削減と再資源化

ヤマハグループは、限りある資源の有効活用を目指して、廃棄物の排出量削減と再資源化を推進するため回収・分別などのシステムを確立しています。
ヤマハグループ(国内)の最終埋立処分量は廃棄物総発生量の1%以下で、「ゼロエミッション」※3を維持しています。

  • ※3 ヤマハグループでは「ゼロエミッション」を「最終埋立処分量が廃棄物排出量の1%以下」と定義しています
廃棄物削減の事例
事業所 時期 活動内容
豊岡工場 2010年11月 液状廃棄物の減圧濃縮装置を導入し、管楽器生産工程からの廃酸・廃アルカリなどの排出量を削減。工場の2011年度排出量49トン(2009年度比80%削減)。ヤマハグループ国内の排出量削減に大きく寄与
2011年度 研究開発部門から出る希少金属含有廃棄物を有価物処理に切り替え、資源を有効活用
掛川工場 2009年9月 廃水処理施設を増設し、ピアノ製造工程から出る接着剤を含む廃水を社内で処理。2010年度以降の廃棄物削減効果約900トン/年
2012年9月 新設した工程において、接着剤を含む廃水の処理能力を増強。廃棄物削減効果約270トン/年
蕭山ヤマハ楽器 2013年度 楽器の塗装ブースで用いる循環水を清浄に保ち、長持ちさせることで、塗装工程廃棄物を削減。2013年度の排出量は2011年度比5割以上削減(202トン→85トン)
ヤマハファインテック(株) 2011年度 設備不良や品質不良の改善によってカーパーツの不良品を削減。工場全体での廃棄物排出量を16%削減するとともに、生産性の向上によって省エネ・省資源も実現
[ 画像 ] 減圧濃縮装置(豊岡工場)
減圧濃縮装置(豊岡工場)

廃棄物関係のデータについては、環境データのページに掲載しています。

ヤマハグループでは、製品の洗浄工程や設備の冷却などで水資源を使用しています。水資源に乏しい地域での生産活動はしておらず、取水による環境への大きな影響はないと認識しています。管楽器の製造では、めっきや洗浄の工程で多量の水を使用します。ヤマハグループは、1970年代前半から冷却水の循環利用や逆浸透膜(RO膜)装置などによる工程廃水の再生利用、用水設備の漏えい対策などに取り組んでいます。

取水量や水の再生利用に関するデータについては、環境データのページに掲載しています。

節減や再生利用の取り組み

蕭山ヤマハ楽器

管楽器、打楽器の製造を行っている中国の蕭山ヤマハ楽器では、純水レベルまで再生する性能を備えた廃水処理施設を導入して以来、廃水の約80%を工程用水として再利用しています。(浙江省電気めっき企業汚染改善検収方案※4適合)
2015年1月には、管楽器の銅管部品の熱処理に使用する焼鈍炉の冷却を、循環水で供給可能な方式に変更。これにより、冷却水の使用量が前年度に比べ約5,700トン削減されました。

  • ※4 電気めっき工場における環境保全のための浙江省の法律。電気めっき工程を持つ企業に、環境保全体制や設備などに関する56項目の要件を課しており、銅、ニッケルなどの金属については、一般の工場排水基準よりも厳しい基準が設定されています。
[ 画像 ] 廃水処理施設(蕭山ヤマハ楽器)
廃水処理施設(蕭山ヤマハ楽器)
[ 画像 ] 循環水で供給可能な冷却装置(蕭山ヤマハ楽器)
循環水で供給可能な冷却装置(蕭山ヤマハ楽器)

ヤマハ・ミュージカル・プロダクツ・インドネシア

管楽器の製造を行っているヤマハ・ミュージカル・プロダクツ・インドネシア(YMPI)では、2014年度に廃水の60%以上を再利用できる新たな廃水処理施設を導入しています。また、廃水プロセスの合理化によって、薬品使用量の削減も図っています。

[ 画像 ] 廃水処理施設(YMPI)
廃水処理施設(YMPI)

杭州ヤマハ

杭州ヤマハでは、厳格化する排水基準に対応すべく、2016年5月に新たな廃水処理設備を導入しました。この設備は、廃水を再利用可能なまでに浄化することが可能で、同設備で処理した廃水を冷却水などとして再利用することにより、2016年度は年間約1万トンの水資源を節約しました。

[ 画像 ] 廃水処理施設(杭州ヤマハ)
廃水処理施設(杭州ヤマハ)
[ 画像 ] 廃水を冷却水などに再利用(杭州ヤマハ)
廃水を冷却水などに再利用(杭州ヤマハ)