MODUS F01のプロジェクトは「かつてない新しいコンセプトの電子ピアノを作る」というミッションから始まりました。まず、電子ピアノにできることは何か、電子ピアノの生き様とは何か、という点を問い直すと、演奏する機構としては「鍵盤」と「スピーカー」とそれを支持する「筐体」があればいい。しかしピアノには、他の楽器にはない機能がある。それは「部屋に存在する」という機能なのだと気づきました。電子ピアノはコンパクトなのでピアノよりも自由に設置できる。そして物理的な発音構造に縛られることのない、比較的自由な造形が可能な楽器である。であれば、より「部屋に存在する」機能にフォーカスした電子ピアノを作る、という立脚点からデザインをスタートしました。
それまでの電子ピアノのデザインは、部屋に馴染む、部屋の一部になるという方向性でしたが、MODUSでは部屋の中で存在感を示し、部屋のアクセントとなる存在を目指しています。空間と人の間に、楽器がある。その時楽器はインターフェイスであり、結界となります。MODUSのカラフルなボードは、空間のアクセントとなる存在感を示していると共に、人と空間と音楽の間に立つ結界としての機能を持っているのです。(談:デザイン研究所 峯郁郎)