Yamaha Design “Synapses”
ASTFL
2025 / FLUTE ASSIST ATTACHMENT
吹いた瞬間、音が鳴る。世界が変わる、フルートアシスト。
チョウワ調和 / Harmony
フルートの発音をサポートしながらも控えめに楽器に寄り添う存在。止まり木で歌う鳥のような愛らしい姿が生まれました。
シアゲ仕上げ / Well-Made
口にくわえることに配慮した安全な溶着と口当たりを滑らかにする磨き、複数のパーツの繋がりをスムーズにみせるための面取りや艶感など、隅々にまでこだわりを忍ばせました。
アタラシイ新しい / Revolutionary
装着して息を吹き込むだけで誰でも音が出せる革新的な機能に、かわいらしい“生きもの感”をまとわせました。人間と楽器の間に宿り、共鳴する存在をイメージしています。
ヒキゴコチ弾き心地 / Inspiring
吹いた瞬間に音が出る。それは初心者のやる気を引き出します。フルートの美しさを損なわらないルックスや練習を続けたくなる使いやすさをデザインし、奏者をインスパイアします。
- Toshihide Suzuki
- Designer
- Yamaha Design Laboratory
控えめに愛らしく楽器と共存する。
フルートは美しい音色の裏に繊細な技術が求められる楽器です。とりわけ音を出すという最初の一歩が難しく、その壁を越えられずに運指練習にまで進めない人は少なくありません。そんなハードルを軽やかに乗り越え、奏でる喜びへ導くために生まれたのがASTFL(フルートアシストアタッチメント)です。リッププレート(唄口)に装着して息を吹き込むだけで簡単に音が出るこの補助具は、息の流れの感覚を掴んで構え方に集中し、存分に運指練習ができるように開発されました。
フルートの音が出にくい原因のひとつは、アンブシュア(唇の形)が適切でないことです。ASTFLは理想的なアンブシュアを奏者に代わり再現。フルート奏者の上唇・下唇の微妙な凹凸までも樹脂で忠実に成形することで、ただ音が出るだけでなく、フルートらしい音色までも生み出します。
この新しい機能にふさわしいデザインとして目指したのは、控えめでありながらも美しく、フルートと調和する佇まいです。唇という有機的でリアルな存在を新しい姿に昇華させ、楽器といかに共存させるか。その問いに向き合うことが、このデザインにおける出発点でした。 模索を続けるなかで浮かんできたイメージは、小鳥が止まり木にちょこんと止まっているような、かわいらしい姿です。それを造形に落とし込んだ結果、不要な要素を極限までそぎ落としたスリムな本体と、尾羽のように巻きつく取り付け用のアームに行き着きました。アームは丸みと内側の微細な突起、そして樹脂のバネ性を活かした設計を施すことでしっかり固定でき、かつ容易に装着できるようになっています。
道具としての完成度を高めることにも注力しています。素材は安全性に優れ、ピアニカ(鍵盤ハーモニカ)にも使用されている樹脂を採用しました。わずか縦横数センチの小さな中に、唇のように波打った形を有しているその構造は複雑で繊細です。唄口に接する唇を模した部品は接着剤ではなく、高精度で安全な超音波で溶着されています。 さまざまな形状のパーツに自然な結びつきを与える面取りや、くわえる先端部の磨きになど細部にいたる一つひとつにも配慮を重ね、滑らかでスッキリとした外観に仕上げました。
初めてでも音が出る、それだけで楽しい。そして奏でる喜びも味わえる。演奏の大きなステップアップを後押しする存在になる事を願っています。