Yamaha Design “Synapses” TORCH T01

2025 / DIGITAL PIANO

GOOD DESIGN AWARD


限りある木材を有効活用した、黒い鍵盤の電子ピアノ。

イツマデモ何時までも / Timeless

グラナディラの未利用材から生まれた黒い鍵盤の電子ピアノ。「資源を活かす」「長く使い続けられる」ことをカタチにしました。

シアゲ仕上げ / Well-Made

譜面台、側板、椅子に施されたグラナディラの樹皮パターンのレーザー加飾が、鍵盤の背景にあるストーリーを表現しています。

テザワリ手触り / Tactile

グラナディラを主原料とする鍵盤は、わずかに水分を吸収する性質を持っています。しっとりとした質感により、長時間でも心地よく演奏することができます。

チョウワ調和 / Harmony

グラナディラを活用した鍵盤と樹皮パターン、わずかに丸みを持たせた造形と触り心地の良い表面処理によって、楽器全体に木の温もりをまとわせています。

ショウジキ正直 / Honest

素材にまっすぐ向き合い、ありのままの魅力をカタチにしたデザインには、持続可能なものづくりへの挑戦が詰まっています。


Kazuki Kashiwase
Kazuki Kashiwase
Designer
Yamaha Design Laboratory

素材を偽らないデザインに。

TORCH T01はグラナディラの未利用材を活用した黒い鍵盤の電子ピアノです。グラナディラはクラリネットなどの木管楽器に使われる木材で、心材が黒いのが特徴です。伐採されたグラナディラの原木のうち、楽器として利用できるのは伐採量の10%未満に留まっています。資源の有効利用を通して持続可能な森林保全・原産地の社会経済発展に貢献しようとする取り組みから、この鍵盤が生まれ、黒い鍵盤を主役とする電子ピアノを成立させるために、その背後にあるストーリーをデザイン全体に反映させることを目指しました。

Medium Density Fiberboard (MDF)の均質な特性をうまく利用して、色味や質感のばらつきによる生産ロスの削減を図り、魅力的なプロダクトにすることもこのプロジェクトにおいてとても重要なポイントでした。譜面台と側板、そして椅子のMDFの表面は、ポリ塩化ビニルシートを貼らずに素地を見せることで「木」を際立たせています。ポリ塩化ビニルシートを張らないことで MDFの接合部や木口に丸みを持たせる加工が可能となり、木材特有のやさしい印象を深めることにもつながっています。さらにMDFにレーザー加飾したグラフィックパターンは、現地タンザニアで撮影した樹皮の写真から生成しています。樹皮から原木を連想させ、この製品の主役である鍵盤の背景にあるストーリーに目を向けてもらうきっかけ作りをしています。

椅子やペダルボックスもT01専用にデザインしました。椅子の昇降機能は組み込まない方がスッキリとした見た目に仕上がるのですが、こどもから大人まで末長く使っていただきたく、昇降機能は積極的にデザインに取り入れました。

持続可能なものづくりには、粘り強い取り組みの継続が求められます。白と黒の鍵盤もいいけど、これもいいよね、とピアノの選択肢の一つとして根付いていくことが、この取り組みの成功の一つのあり方であるように思います。

  • 補足の写真1
  • 補足の写真2
  • 補足の写真3
  • 補足の写真4