Yamaha Design “Synapses”
FGDP-50/FGDP-30
2023 / FINGER DRUM PAD
GOOD DESIGN AWARD
Red Dot Award
Design for Asia Award
左FGDP-50/右:FGDP-30
アタラシイ新しい / Revolutionary
打楽器は最もプリミティブな楽器の一つです。そのためFGDPではプレーンさを追求し、奏者が既存の思考にとらわれず自由な表現にチャレンジできるデザインを目指しました。
ヒクスガタ弾く姿 / Dual-View
全身を使う大掛かりなアコースティックドラムセットを極限まで整理・小型化。指先から生まれる新たなパフォーマンスのカッコよさを引き出します。
ツカイゴコチ使い心地 / Intuitive
奏者に向かって広がる円弧で構成されたパッドが見た目の楽しさと軽やかさ、同時に高いプレイアビリティを提供します。
モツヨロコビ持つ喜び / Pride
FGDPの誕生で、ドラムセットを鞄に入れて持ち運べるように。人と楽器の新たな関係が生まれたことも、このデザインの魅力の一つです。
- Masato Fukuyama
- Designer
- Yamaha Design Laboratory
- Kunihiro Takei
- Designer
- Yamaha Design Laboratory
「ドラムを指で演奏する」をデザイン。
FGDP(フィンガードラムパッド)は、企画を含め5年をかけて完成しました。ドラム音を発する機器は、音楽制作者やDJが扱うものとしてこれまでも存在しましたが、このプロジェクトが目指したのは、ドラムの簡易版をつくるのではなくフィンガードラム専用の新しい楽器を生み出すこと。まだない楽器を生み出すことは、ヤマハでもそう経験できるものではありません。製品の形状を模索する以前に、指でドラムを演奏するとはどういうことなのか、そこからデザインしていく必要がありました。
フィンガードラムにおけるメインパッドは、ピアノにおける鍵盤のような存在。FGDPには30と50の2つのモデルがありますが、メインパッドそのものは同じサイズ・カタチをしています。どのような配置が演奏しやすいのか、ドラム演奏の基本である8ビートを3本の指で安定して叩けるようにすることから探っていきました。ドラムセットの器材や配置にならった訳ではないのですが、指で叩く演奏法を追求していくと、演奏者の手前にバスドラムを、その奥にハイハットやスネアドラムを置くなど、本来のドラムと近しい配置が最適であることがわかりました。結果的に、正円の集合体であるドラムセットの外観的な特徴を整理して凝縮させ、打楽器特有の回転体を意識した造形でドラム感を表現しています。
パッドレイアウトは指の動きだけを考えて生まれたものではありません。上体や肘が自由に動かせるカタチを追求しています。開発の過程では、演奏のしやすさやフィンガードラムの可能性、そしてユーザーにとっての喜びとは何かなど、製品の余白となる部分まで突き詰めていきます。そこまで考えるのかというほど考え抜き、その核となる部分がトリミングされて姿を現したものが製品となるのです。
これまでにない楽器を生み出すこと。ドラムを鞄に入れて持ち歩く新しい音楽ライフを提供すること。FGDPをデザインすることはまさに、製品の造形に収まらないさまざまな可能性に目を向け、そこに一つずつ解を導いていくことの連続でした。
製品の表情や手触りを決定づける仕上げにも数々のこだわりがあります。開発の初期段階からぼんやりとイメージにあったのは「プレーンな板」をつくること。そこには、ユーザーを問わない柔軟さや演奏者の創造性を誘発したいという想いが込められています。いろんなものを詰め込んだパッケージ感やポータブル性の高さを、およそ20cm四方のコンパクトな「板」で表現しようとしたのです。ただその結果、筐体の上ケースと下ケースの段差が生まれないような合わせにしたり、パッドと筐体の色味を統一させたり、開発には想像以上に手間がかかりました。これらは、使う人が気づかない箇所かもしれません。でも、そこまでこだわって努力を重ねることが、楽器としての完成度を高めることにつながると信じています。