Design Insights Alto Venova™

2019 / CASUAL WIND INSTRUMENTS

Red Dot Award
iF Design Award


手軽なのに本格的な新しい管楽器のアルトバージョン。

Venovaと同様の分岐管構造を持ち、一回り大きな本体とマウスピース。
機構的なサイズアップが演奏性や外観に影響を与えないように熟考し、Venovaの手頃なサイズ感や管楽器としての佇まいを継承しました。

イメージを踏襲しながらアルトの音域を出すために、Venovaと比べパイプの長さや径の太さ、音孔の間隔などが変わっています。
演奏性を考慮して、蛇行形状により全長を短くし、キイ形状も調整しました。

Venovaでも象徴的であった筒の下側の蛇行部。
Alto Venovaではさらに大きく個性が強くなってしまうところを、蛇行形状を凝縮させることで
Venovaの特徴と管楽器らしさを共存させ、バランスを整えています。

ソプラノの音域をカバーするVenovaと、アルト音域をカバーするAlto Venovaの組み合わせで、より豊かな演奏体験が可能に。
他の楽器とのアンサンブルなど表現の幅も大きく拡がりました。

Keizo Tatsumi
Keizo Tatsumi
Designer
Yamaha Design Laboratory

カジュアル管楽器の更なる発展。

カジュアル管楽器という新しいジャンルを創出したVenovaが、発売から約半年間は予約しても入手することが難しい状態が続くなど、その人気に後押しされる形でC管のVenovaに続いてF管のAlto Venovaの開発が始まりました。

Venovaで培った造形言語を継承し、統一感のあるデザインを目指すことは早々に決まっていたので、目指すゴールは見えていました。ただし、前回同様に音程、演奏性や成型のための設計条件がそのまま外観となって表れてくるため、造形にはいくつもの制約が生まれます。その制約の中、蛇行形状を簡潔に凝縮することに心血を注ぎました。

機構的にキイのピッチやサイズも大きくなってしまうのですが、演奏性は変わらないように造形処理をしています。キイの造形は人間工学による演奏性と、楽器らしさを両立させる必要があります。それを3Dデータとしてなめらかにモデリングするのは難易度が高く非常に苦労しますが、やりがいのあるところです。

パッケージなどで使用しているイメージカラーも、音質に合わせてソプラノイエローに追加してアルトオレンジを採用することになりました。Venovaはソプラノの高く軽やかな音色に合わせて朝の明るいイメージでしたが、アルトでは少し日が暮れかかったイメージで、暖かさも感じられる落ち着きのあるトーンにしています。

新しい管楽器として世の中に登場したVenovaですが、演奏できる楽曲も増え、音楽教室などでも習うことができるようになり、演奏者の数も増えています。カジュアル管楽器として普及し始めたこのタイミングでアルトが発売され、音楽の楽しみ方もさらに拡がることでしょう。いずれスタンダードな楽器として定着し、歴史を刻んでくれることを願っています。

  • 補足の写真1
  • 補足の写真2