Design Insights
S2000 series
2007 / HIFI COMPONENT
伝統のナチュラルサウンドを継承し、原音再生を追い求めたHiFiオーディオ。
最先端のネットワークプレイヤーNP-S2000(2010年発売)はナチュラルな素材と仕上げ、
間を生かしたレイアウトなどシリーズ間でデザイン上の調和をはかりながら、セレクトノブなどの形状で機能の違いを表しています。
左 : A-S2000 右 : CD-S2000
「原音再生」の理想を追い求めたナチュラルサウンドを体現するもの。
それは時代に左右されずに本質を捉えた、普遍的なデザインです。
写真上:CA-1000(1973年製造)
内部は左右対称の機構を採用しながら、フロント面は必要十分な操作子を「間」を生かして非対称に配置。
伝統を継承しながら緊張感のある顔作り。
つまむタイプのレバーは先が細めのテーパー形状に、大きめのノブは先が太めの逆テーパー形状に。
触れる質感、操作感を通して音楽への高揚感を後押しします。
ヘアライン仕上げのアルミパネルと、天然木(バーチ)製のサイドウッドが醸し出す精緻な質感。
異素材を組み合わせた筐体は制振性に優れ、音質向上にも貢献します。
- Kenshiro Tanaka
- Designer
- Design Holon Inc.
目指したのは、「音の器」
ヤマハHiFiオーディオの銘機「CA-1000」(1973)の血統を受け継ぐ、新たなフラッグシップモデルA-S2000、CD-S2000。そのプロダクトデザインのキーワードは「音の器(うつわ)」でした。
今から35年以上前に発売されたCA-1000は、パネルにコントローラーがギッシリと詰まった精緻でメカ的な存在でした。しかし今、オーディオに求められているのは、存在を強く主張しない「静謐な佇まい」。音楽で言えば "ピアニッシモ" のような存在感ではないか、と考えました。そこから導き出されたのが、日本的な「間の美」を生かしたデザインという方向性。間とは「粗と密」のバランスであり、空間に豊かな意味を与えるためには、構成要素を減らし、ディテールを磨き込み、絶妙なバランスで配置しなくてはいけません。たとえば最小限の薄さを実現したCDトレイ、触感にこだわったツマミやレバー、徹底して要素を絞り込んだリモコンなど。細部まで「間の美」というデザインコンセプトが貫かれています。
「器」とは暮らしに密着した存在です。たとえば食器、花瓶、文箱。楽器も「楽しい器」です。そして器は、中に入るものを主役にします。オーディオも、主役は機器ではなく、あくまで音楽、そして聴き手。主役を引き立てる控えめな存在感こそが、ヤマハのHiFiオーディオの新しいデザインアイデンティなのです。