ヤマハピアノが体現する
サステナビリティ──
表現力を追求する設計と
循環型消費
「モノを大切に長く使い続ける」という行動も、持続可能な社会を支える大切な一歩。ヤマハにとってピアノは、その価値を体現する代表的な楽器です。
ヤマハピアノが念頭に置いているのは、天然素材が生み出す豊かな響きが年月とともに深まり、演奏者とともに成長していくこと。
私たちヤマハは、表現力と持続する品質を兼ね備えた楽器づくり、「リニューアルピアノ®」の取り込みなどを通じて、音楽文化の未来と資源の循環のバトンを将来世代へつなぐことに向き合っています。
ヤマハの考える「いいピアノ」とは
ヤマハのピアノづくりには、「楽器は単なるモノではなく、演奏者と対話し、ともに成長する存在である」という哲学が息づいています。
そもそもピアノの耐用年数は、50年、100年、さらにそれ以上ともされます。100年以上前に製造されたピアノが今でも豊かな響きを保っている例もあり、適切に手入れされながら長く使われたピアノは、響きが良くなると言われています。
実際に「ピアノと対話しているような感覚で演奏を楽しんでいる」「長年弾き込むうちに、自分の音にピアノが応えてくれるようになった」といったお客様からの声が寄せられており、人と楽器の関係性を大切にピアノの設計・製造を行っています。
私たちのピアノづくりにおいて最も重要なのは、演奏者の繊細なニュアンスに応えられる高い表現力(レスポンス)です。
ピアノそのものが演奏者の表現に応え、演奏者と楽器が長い年月をかけて影響し合い、音楽表現を深めていくこと——そうしたレスポンスを備え、楽器としての表現力を最大限に発揮し続けるピアノは、必然的に長期間にわたる使用に耐えることが重要になります。
ヤマハの定義する「いいピアノづくり」は、こうしたピアノの楽器としての特性を前提としたものなのです。
「いいピアノづくり」はサステナブル
ユーザーが人生をともにできるだけの長い寿命を持ち合わせ、時間をかけて豊かな響きを育んでいくことと、「いいピアノ」であることは不可分です。私たちは、いい楽器をつくること自体が持続性(サステナビリティ)の高いことだと考えています。
ヤマハピアノの設計・製造のポイントは、ピアノ全体が一体となって響くこと。そこで重要となるのが楽器の体積の約90%を占める木材の品質管理、特に加工の前段階での木材乾燥です。
加えてその木材の取り扱い、例えば何十箇所もある木材同士のつなぎ目の接着・接合処理などにも、ヤマハのこれまでの経験と技術が注ぎ込まれています。
ヤマハピアノの最上位モデル、コンサートグランドピアノCFXでは、ピアニストとピアノが一体化し、意のまま奏でられる「UNIBODY CONCEPT」を設計理念に掲げる。まるでひとつの木から削り出したようなボディによって、弾き手のエネルギーを無駄なく響きに変換することを目指している
木材をはじめとした天然の資源を可能な限り長く、大切に扱う。そうした点からも高い品質を追求したピアノづくりは、サステナブルであると私たちは考えています。
ピアノが高い性能のまま、長く生きるために
何十年にもわたって演奏者に寄り添い続けるピアノづくりには、多岐にわたる設計段階の品質確認試験も欠かせません。
例えば、高温多湿などに長時間晒されても機能を失わないことを確認する環境試験もその一環。「アクション」と呼ばれる鍵盤の内部機構においては、膨大な打鍵を想定した試験を通じて、長く演奏できることを確認しています。
これらに代表される数々の試験を通して品質を確認できたピアノのみが製品となり、市場に送り出される資格を得ることができます。
また楽器を長年使用するにあたり、部品の調整や交換は避けられません。お客様がピアノと長く時間をともにできるための体制づくりにも、ヤマハは力を入れています。
ヤマハは世界中にサービス拠点と熟練の技術者ネットワークを整備し、ユーザーが安心してピアノを使い続けられる環境を提供。加えて、自社の研修機関である「ピアノテクニカルアカデミー(PTA)」でピアノ調律技術者の育成にも注力しています。
ピアノテクニカルアカデミーは60年以上の歴史を通じて、延べ7000人以上の技術者を新規養成・育成。アフターサービスの拡充に取り組んできた
大切にされてきたピアノに「第二の人生」を
こうした品質の妥協なき追求、その先のアフターサポート体制構築に加え、ヤマハピアノのサステナビリティの実現に向けた独自の取り組みとして展開しているのが「ヤマハリニューアルピアノ」です。
リニューアルピアノとはヤマハ公式の中古ピアノ。この事業は20年以上前から存在していましたが、世界的なSDGs(持続可能な開発目標)や循環型経済(サーキュラーエコノミー)への関心が高まりを受け、その価値が再注目されています。
リニューアルピアノの取り組みにおいて重要なのは、ただ中古品を売買するのではない、ということです。私たちメーカーが品質を保証することは、次のユーザーにも安心して愛用していただくだけでなく、大切に使われてきたピアノに「第二の人生」を与えることにもつながります。
リニューアルピアノの背景には、単に循環型社会の実現のための仕組みづくりだけでなく、お客様一人ひとりのピアノへの愛情や思いに寄り添いたいという私たちの願いがあるのです。
一方で、ピアノを長期間にわたって使い続けていただくことは、ビジネスとしては簡単ではない側面もあります。私たちにとって大切なのは、新しいピアノと高品質な中古ピアノ、その両方をユーザーに選択肢として提示すること。リニューアルピアノはヤマハのピアノ事業において、その価値観を実現するための大切な取り組みです。
ヤマハはリニューアルピアノを通じて新品のピアノと中古ピアノの市場価値を共存させる道を開拓している
「いいピアノ」をつくることは、新たな時代の「こころ豊かさ」に貢献する
いい楽器をつくることが、すなわちサステナビリティへとつながる——。
高い品質追求、アフターサポートの拡充、リニューアルピアノの仕組みづくりを通じて、私たちはピアノという楽器をより多くの人々に届けるだけではなく、できるだけお客様と長く時間をともにしていただくことを目指しています。
私たちが考える「いいピアノ」を一台でも多く作り、多くの演奏者に長く使っていただくことで楽器が生み出す価値を最大化し、その先で音楽文化の発展にも寄与できるはず——。音楽を愛する人々のこころ豊かなくらしへの貢献を目指して、私たちは挑戦を続けていきます。