ジョン・チョウニング博士「Technical Grammy Award」受賞
-博士が発見し、ヤマハと共同開発したFM音源が高く評価-

スタンフォード大学で音色合成を研究してきたジョン・チョウニング(John Chowning)博士が、全米レコード芸術科学アカデミー(the National Academy of Recording Arts and Sciences、以下 Recording Academy)から2026年の「Technical Grammy Award(以下、テクニカル・グラミー賞)」を受賞しました。

[メインビジュアル] チョウニング博士「Technical Grammy Award」受賞

テクニカル・グラミー賞は、グラミー賞における特別功労賞の一つで、プロデューサー&エンジニア・ウィング諮問委員会および支部委員会の投票と、レコーディング・アカデミーの全国評議員会の承認により、レコーディング分野に卓越した技術的貢献を果たした個人、企業、組織、機関に授与されます。

ジョン・チョウニング博士は1967年に周波数変調(FM)合成法を発見し、電子音響に革命をもたらした作曲家であり、コンピュータ音楽の革新者です。スタンフォード大学で初期コンピュータ音楽プログラムを立ち上げ、サラウンドサウンドの定位を実現する初のデジタルアルゴリズムを開発しました。スタンフォード大学がチョウニング博士のFM特許をヤマハ株式会社(以下、当社)にライセンス供与したことで、電子楽器の歴史上最も成功した合成エンジンが誕生しました。

テクニカル・グラミー賞とジョン・チョウニング博士の受賞についての詳細は、下記サイトをご覧ください。

ジョン・チョウニング博士との関わり

当社はFM特許の革新性に着目し、1975年に博士が所属するスタンフォード大学と独占契約を締結しました。その後、当社によるデジタル技術と大規模集積回路(LSI)の開発を背景に、チョウニング博士と製品化に向けた開発を進めました。

[写真] FM音源の原理を発見したチョウニング博士(右から2人目)
FM音源の原理を発見したチョウニング博士(右から2人目)
[写真] チョウニング博士
チョウニング博士

この技術は1981年発売のデジタルキーボード「GS1」や、1983年発売のデジタルシンセサイザー「DX7」に結実し、電子楽器のデジタル化を急速に前進させ、世界の音楽シーンに革命をもたらしました。その後FM音源は電子楽器に加えパソコンやゲーム機、携帯電話など多くのデバイスに搭載され、音楽文化の発展に大きく貢献しています。

当社は、2007年に永年にわたる音楽・レコーディング分野への貢献が評価されテクニカル・グラミー賞を授与されています。FM音源は現在もシンセサイザー「MONTAGE M」「MODX M」、ステージキーボード「YCシリーズ」をはじめ多くの当社製品に搭載し、半世紀を経てもその価値は色褪せることはありません。今回のチョウニング博士の受賞は、米国の研究者および教育機関と日本企業の協業による技術革新の象徴であり、当社としても誇りとなるものです。

[写真] FM音源を初めて実用化したGS1
FM音源を初めて実用化したGS1
[写真] FM音源を搭載し世界的に大ヒットしたDX7
FM音源を搭載し世界的に大ヒットしたDX7

ジョン・チョウニング博士略歴

[写真] ジョン・チョウニング博士

1934年米国ニュージャージー州生まれ。作曲家・音楽技術者、FM音源の発明者。1959年にウィッテンバーグ大学で音楽学士号を取得後、パリで音楽教育者、ナディア・ブーランジェ氏に師事。1966年にスタンフォード大学で博士号を取得。その後、コンピュータ音楽研究に取り組み、1967年、FM音源の原理を発見。これは音色合成の手法として画期的で、音色合成と電子楽器に革命をもたらした。1974年、音楽・音響学の研究センター、CCRMA(Center for Computer Research in Music and Acoustics)を設立。現在もコンピュータ音楽および関連研究の主要拠点となっている。1988年アメリカ芸術科学アカデミー会員、1990年ウィッテンバーグ大学名誉音楽博士号取得、1995年フランス芸術文化勲章を受章。2010年クイーンズ大学名誉博士号、2016年ハンブルク大学名誉博士号。

当社コメント

執行役員 楽器事業本部電子楽器事業部長 阿部征治

[写真] 執行役員 楽器事業本部電子楽器事業部長 阿部征治

チョウニング博士のテクニカル・グラミー賞授賞を心よりお祝い申し上げます。

昨年、一昨年にジョン・チョウニング博士とお会いする機会に恵まれ、あらためて半世紀前にさかのぼるFM音源の協業を再認識しました。FM音源は今や当社製品の枠を超え、世界中のユーザーが活用しています。そのことを大変誇りに思います。

また、当社の研究開発部門とチョウニング博士が設立したCCRMAとの長年にわたる技術・人材交流を通じて、博士の功績に深く関わることができたのはとても栄誉なことです。

チョウニング博士が当社で講演した際に寄せてくださった「イノベーションの核心は情熱に従うこと(follow your passions)」を教訓に、今後もより良い製品・サービスの提供に努めてまいります。

[写真] 当社で講演するチョウニング博士(2024年)
当社で講演するチョウニング博士(2024年)
[写真] 当社主催「ヤマハシンセサイザー50周年記念公演」で演奏するチョウニング博士(2025年)
当社主催「ヤマハシンセサイザー50周年記念公演」で演奏するチョウニング博士(2025年)

当社はチョウニング博士との協業の経験と絆を財産とし、今後も音楽文化の未来を切り拓いてまいります。

[ご参考]